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胃カメラを苦しくなく受けるコツ5つ|嘔吐反射が強い人の楽な方法

2026年10月25日

「胃カメラは苦しい」「前回しんどかったので、次の検査が怖い」と感じている方は少なくありません。苦しさの多くは、のどで起こる反射と緊張によるもので、受け方のコツを知っておくだけで楽になることがあります。この記事では、消化器内視鏡医の立場から、検査中に自分でできる5つのコツと、嘔吐反射が強い方に向く検査方法をわかりやすく解説します。

胃カメラを苦しくなく受けるコツは?

胃カメラを苦しくなく受けるコツは、検査中に「肩とのどの力を抜く」「鼻から吸って口からゆっくり吐く」「唾液は飲み込まずに口の外へ流す」「ゲップはできるだけこらえる」「目を開けて一点を見る」の5つです。

胃カメラが苦しい・しんどいと感じる主な原因は、内視鏡がのどの奥に触れたときに起こる嘔吐反射(オエッとなる反射)で、検査前の不安が強いほど苦しさを感じやすいことが報告されています。

嘔吐反射が強い方や、以前の検査がつらかった方は、鼻から入れる方法や鎮静剤を使う方法を医師に相談すると、楽に受けられる可能性があります。

胃カメラが苦しい・しんどいと感じる主な原因は「嘔吐反射」

胃カメラでいちばんつらいと感じやすいのは、検査の最初、内視鏡がのどを通過する数秒間です。まずは、なぜそこで苦しくなるのかを知っておきましょう。

口から入れた内視鏡が舌の付け根とのどの奥に触れる位置を示した、のどの断面図

口から内視鏡を入れると、舌の付け根(舌根)やのどの奥(咽頭)に触れます。ここは異物を外へ押し出そうとする反射が起こりやすい場所で、触れると「オエッ」と吐き気がこみ上げます。これが嘔吐反射(咽頭反射)です。歯みがきで舌の奥に歯ブラシが当たるとオエッとなる方は、この反射が強めの傾向があります。

内視鏡がのどを越えて食道に入ると、反射は徐々に落ち着くことが多いです。検査中は胃をふくらませて観察するため、お腹の張りやゲップが出そうな感覚もあります。つまり「のどを通るとき」と「お腹の張り」を上手にやり過ごすことが、楽に受けるポイントになります。

胃カメラを苦しくないように受けるコツ5つ

日本消化器内視鏡学会も、検査中は肩や首、のどの力を抜き、唾液は飲み込まずに流し、ゲップはできるだけ我慢するよう案内しています[1]。ここでは、これらに姿勢と目線のポイントを加えた5つのコツを紹介します。

コツ① 肩・首・のどの力を抜く

体に力が入ると、のどの筋肉もこわばって内視鏡が通りにくくなります。検査台では左を下にして横向きに寝ます。ベルトや締めつけの強い服はゆるめ、肩をストンと落とすイメージで力を抜いてください。

あわせて、内視鏡がのどを通るまでは、においをかぐときのようにあごを軽く前に出すのがポイントです。首を軽く伸ばすとのどの通り道が広がり、反対にあごを引くと狭くなることが報告されています[2]。あごを強く引いてしまうと、内視鏡が通りにくくなることがあります。

検査台で左を下にして横向きに寝て、肩の力を抜き、あごを軽く前に出した胃カメラ検査中の姿勢

コツ② 鼻から吸って、口からゆっくり吐く

息を止めると体が力み、反射が強く出やすいといわれています。内視鏡がのどを通る瞬間は特に、鼻から静かに吸い、口から「ふーっ」と細く長く吐く呼吸を続けてみてください。吐く時間を長めにすると、体の緊張がゆるみやすくなります。

鼻から静かに息を吸い、口から細く長く吐く呼吸のイメージ図

コツ③ 唾液は飲み込まず、口の外へ流す

のどには麻酔をしているため、唾液を飲み込もうとするとむせやすくなります。たまった唾液は飲み込まず、口の端から外へ流してください。検査中は唾液が出るのは自然なことなので、気にせず流してしまって大丈夫です。

コツ④ ゲップはできるだけこらえる

胃の中をすみずみまで観察するため、検査中は空気を入れて胃のひだを伸ばします。ゲップで空気が抜けると胃がしぼみ、もう一度ふくらませる必要があるため、検査時間が延びることがあります。ただし無理は禁物です。つらいときは、手を軽く上げるなどの合図で知らせてください。

コツ⑤ 目を開けて、一点を見る

目を閉じると、のどの感覚に意識が向きやすいといわれます。目を開けて壁や看護師の手元など一点を見ていると、気がまぎれて楽になる方が多い印象です。鼻からの検査では、モニターを見ながら医師の説明を聞ける場合もあります。

胃カメラが怖い・初めての人が検査前にできること

不安や緊張は気持ちの問題だけでなく、検査中の苦しさにもつながりやすいことがわかってきています。検査前に流れを知り、不安を減らしておくことも準備の一つです。

鎮静剤を使わない胃カメラを受けた348人を調べた研究では、検査前の不安が強い人ほど強い不快感を訴える割合が高く、不安が高いグループでは低いグループに比べて約7倍だったと報告されています[3]。また、検査時に音楽を聴くことで不安や痛みが和らいだとする研究のまとめもあります[4]。

検査前にしておくと安心なこと

✓ 前日の夕食は早めに、消化のよいものを軽めに済ませる(詳しくは「胃カメラ前日の食事と過ごし方」)

✓ 以前の検査で苦しかったこと、歯みがきでオエッとなりやすいことを事前に伝える

✓ 待ち時間は好きな音楽を聴くなど、リラックスできる工夫をする

✓ 検査後に食べられる時間やメニューを確認しておく(「胃カメラ後の食事はいつから?」)

嘔吐反射が強い人に向く楽な方法|鼻からの検査と鎮静剤

コツを意識しても、反射が強く出てしまう方はいます。反射の強さには体質による部分もあるため、我慢を重ねるより、検査の方法そのものを変えるほうが現実的です。

口から入れる胃カメラと鼻から入れる胃カメラの経路の比較。鼻からの経路は舌の付け根に触れにくい

鼻から入れる(経鼻内視鏡)

鼻から入れる方法では、内視鏡が舌の付け根に触れにくく、のどへの刺激が少ないため、一般に苦痛が少ないとされています[1]。同じ細さの内視鏡で鼻からと口からを比べた無作為化比較試験でも、鼻からのほうが受け入れやすかったと報告されています[5]。一方で、鼻の通り道が狭い方では入りにくいことや、鼻血が出ることがあります。

鎮静剤でウトウトした状態で受ける

嘔吐反射が特に強い方、以前の検査がつらかった方、不安が強い方には、鎮静剤で眠ったような状態になって受ける方法があります。先に紹介した研究でも、不安が強いことは鎮静剤を使う理由になりうると考察されています[3]。当院では、口からの検査はすべて鎮静剤を使って行っています。

ただし、検査後はしばらく院内で休む必要があり、当日は車・バイク・自転車の運転ができません。鎮静剤の種類や注意点は「胃カメラ・大腸カメラの鎮静剤」をご覧ください。

胃カメラのコツに関するよくある質問

胃カメラのコツについて、気になりやすい点をまとめました。気になる項目をタップすると回答が開きます。

Q. 鎮静剤なしで胃カメラを受けるコツはありますか?+

肩とのどの力を抜く、鼻から吸って口からゆっくり吐く、唾液は飲み込まずに流す、ゲップはこらえる、目を開けて一点を見る、の5つが基本です。鎮静剤を使わずに楽に受けたい方には、のどへの刺激が少ない鼻からの検査も選択肢になります。

Q. 胃カメラで涙が出るのはおかしいですか?+

嘔吐反射が起こると、涙や鼻水が一緒に出ることはよくあります。体の自然な反応と考えられており、恥ずかしいことではありません。気になる方はハンカチをお持ちください。

Q. のどの麻酔が苦しいときはどうすればよいですか?+

のどの麻酔は苦みや、のどが詰まったような感覚が出ることがあります。一方で、のどの麻酔を行うと検査中の不快感が少なくなる傾向があったとする研究のまとめがあり[6]、楽に受けるための大切な準備です。つらいときは遠慮なくスタッフにお伝えください。

Q. 胃カメラの最中に吐いてしまったらどうなりますか?+

検査前は食事を控えているため、胃の中に出てくるものはほとんどないことが多いです。唾液や胃液が上がってきた場合も、内視鏡で吸い取りながら検査を続けられます。苦しさが強い場合は、合図をいただければ一度止めることもできます。

Q. 嘔吐反射が強いと言われたことがあります。胃カメラは受けられますか?+

受けられます。嘔吐反射が強い方には、舌の付け根に触れにくい鼻からの検査や、鎮静剤で眠ったような状態になって受ける方法があります。どちらが合うかは、過去の経験やご希望をうかがって一緒に決めましょう。

苦しくない胃カメラのご相談は大塚駅1分の当院へ

鼻から(鎮静剤なし)・口から(鎮静剤あり)を選べます。

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参考文献

[1] 日本消化器内視鏡学会「上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療」「経口内視鏡と経鼻内視鏡の違いは何ですか?」

[2] Isono S, et al. Influences of head positions and bite opening on collapsibility of the passive pharynx. J Appl Physiol. 2004;97(1):339-346. doi:10.1152/japplphysiol.00907.2003

[3] Yang M, et al. Associations of anxiety with discomfort and tolerance in Chinese patients undergoing esophagogastroduodenoscopy. PLoS One. 2019;14(2):e0212180. doi:10.1371/journal.pone.0212180

[4] Wang MC, et al. Effect of music in endoscopy procedures: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Pain Med. 2014;15(10):1786-1794. doi:10.1111/pme.12514

[5] Thota PN, et al. A randomized prospective trial comparing unsedated esophagoscopy via transnasal and transoral routes using a 4-mm video endoscope with conventional endoscopy with sedation. Endoscopy. 2005;37(6):559-565. doi:10.1055/s-2005-861476

[6] Evans LT, et al. Pharyngeal anesthesia during sedated EGDs: is “the spray” beneficial? A meta-analysis and systematic review. Gastrointest Endosc. 2006;63(6):761-766. doi:10.1016/j.gie.2005.11.059

東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚の診察風景

記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 スクリーニング医・専門医・指導医
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医・評議員
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール

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