潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる、原因不明の慢性的な炎症性疾患です。
炎症は直腸から始まり、連続的に大腸の奥(口側)へと広がっていくのが特徴で、国の指定難病(指定難病97)に認定されています。

多くの患者様が「再燃(症状が悪化する時期)」と「寛解(かんかい=症状がほとんどない、落ち着いた時期)」を繰り返しながら、長期にわたり病気と付き合っていく病気です。
炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれる病気には、もう一つ「クローン病」という似た病気があります。
潰瘍性大腸炎は炎症が大腸に限られ直腸から連続的に広がるのに対し、クローン病は口から肛門まで消化管のどこにでも、とびとびに炎症が起こる点が大きな違いです。
(クローン病について詳しく見る / 2つの病気の違いをまとめて見る)

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができることで、主に以下のような症状が現れます。
症状は炎症が起きている範囲(直腸のみ/左側大腸/大腸全体)や重症度によって大きく異なります。
軽症では血便が出ない場合もありますが、重症化すると水様性の下痢に出血が混じり、粘液と血液が混ざった状態になることもあります。
関節炎、虹彩炎、皮膚症状(結節性紅斑など)といった腸管外の合併症を伴うこともあります。
潰瘍性大腸炎の重症度は、排便回数や血便の程度、全身症状などから「軽症・中等症・重症」の3段階に分類されます。
| 項目 | 軽症 | 中等症 | 重症 |
|---|---|---|---|
| 排便回数 | 4回以下 | 軽症と重症の中間 | 6回以上 |
| 顕血便 | (−)〜(+) | (+++) | |
| 発熱 | なし | 37.5℃以上 | |
| 頻脈 | なし | 90/分以上 | |
| 貧血 | なし | Hb10g/dL以下 | |
| 赤沈/CRP | 正常 | 30mm/h以上 または CRP3.0mg/dL以上 |
※重症は上記排便回数・顕血便に加え、発熱または頻脈のいずれかと、6項目中4項目以上を満たす場合。軽症は6項目すべてを満たす場合。中等症はそれ以外。
(出典:厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」診断基準・治療指針)
潰瘍性大腸炎の原因は、現在のところ完全には明らかになっていません。 遺伝的要因と環境要因(食生活の変化、腸内細菌の状態など)が複雑に絡み合い、腸管の免疫細胞が過剰に反応することで炎症が持続すると考えられています。 家族内での発症も一定数報告されており、近親者にIBD患者がいる場合は発症リスクがやや高まるとされていますが、遺伝のみで発症が決まるわけではありません。
潰瘍性大腸炎は20代を中心に、小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。クローン病のように若年層に集中する傾向はなく、男女差もほぼないと考えられています。
血液検査(炎症反応・貧血の有無)、便検査に加え、確定診断には大腸内視鏡検査が重要な役割を果たします。
内視鏡で大腸粘膜を直接観察し、特徴的な所見(血管透見像の消失、粘膜の細顆粒状変化、易出血性、潰瘍など)を確認するとともに、組織を採取(生検)して他の疾患(感染性腸炎、虚血性腸炎、クローン病など)との鑑別を行います。
血便や下痢が2週間以上続く場合は自己判断せず、早めに大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
当院では鎮静剤を使用した負担の少ない検査が可能です。
治療の目標は、炎症を抑えて寛解(かんかい=症状がほとんどない状態)に導き、それを維持することです。
重症度・炎症の広がり・これまでの治療への反応を見ながら、以下の薬を単独または組み合わせて使用します。
どの薬から始めるか、いつ次の段階に進むかは、症状の変化・血液検査・内視鏡所見を組み合わせて医師が判断します。
「薬を変えたらすぐ良くなる」というものではなく、効果が出るまで数週間かかる薬もあるため、自己判断で中止せず経過を一緒に見ていくことが大切です。


症状がない、または軽い状態を「寛解期」と呼びます。寛解期に入ると「もう治った」と感じて薬をやめてしまう方がいますが、これが最も再燃(症状の悪化)につながりやすい原因の一つです。
医師の指示通りに薬を継続し、定期的な通院・検査で炎症が抑えられているかを確認することが、症状のない生活を長く維持するための基本になります。
暴飲暴食やストレス、風邪・インフルエンザなどの感染症が再燃のきっかけになることもあるため、規則正しい生活も意識していただきたいポイントです。
また、長期間罹患している場合は大腸がんのリスクがやや上昇するため、症状がなくても医師の指示に応じた定期的な大腸内視鏡検査(サーベイランス検査)を受けることが重要です。
当院院長は、帝京大学医学部附属病院 IBDセンターの非常勤講師を務めており、炎症性腸疾患(IBD)の診療に約23年携わってきました。
大学病院の最前線で蓄積した知見を、地域のかかりつけ医療として身近な場所で提供できることが当院の強みです。
おなかとおしりのクリニック東京大塚では、潰瘍性大腸炎の診断から、5-ASA製剤・ステロイド・生物学的製剤を含む薬物治療まで、当院で一貫して対応しています。
診断がついたら大病院に紹介してそれで終わり、ということはなく、日常的な経過観察・お薬の調整・採血や内視鏡によるモニタリングまで、地域のかかりつけ医として継続的に診療いたします。
特に、大学病院などで診断・治療を受けた後「自宅や職場から通いやすい場所で継続診療を受けたい」という転院・かかりつけ医探しのご相談も多くいただいています。
紹介状をお持ちでなくても、現在の治療内容を確認のうえ、スムーズに当院での継続診療に移行できるケースが多くなっています。
なお、緊急の手術が必要な場合や、当院での薬物治療で十分な効果が得られない非常に難治性のケースについては、連携する高度医療機関へご紹介し、治療後も再び当院で継続フォローを行う体制を整えています。
いいえ。血便の原因は痔、感染性腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなど多岐にわたります。
血便が続く場合は自己判断せず、大腸内視鏡検査で原因を確認することが重要です。
症状が落ち着いている「寛解期」には特別な食事制限は基本的に不要とされていますが、症状が強い時期(再燃期)は消化に負担をかけにくい食事(低脂肪・低残渣食など)が勧められることがあります。
具体的な食事内容は症状や重症度によって異なるため、主治医にご相談ください。
症状が落ち着いている「寛解期」であれば妊娠・出産は可能とされています。妊娠を希望される場合は、薬の調整なども含めて事前に主治医に相談することが大切です。
うつる病気ではないと考えられています。潰瘍性大腸炎は感染症ではなく、自己免疫の異常などが関与すると考えられている病気です。ご家族や周囲の方に感染する心配は基本的にありません。
過度な飲酒は腸への刺激や薬の作用に影響することがあるため、症状が強い時期は控えることが望ましいです。
喫煙については、潰瘍性大腸炎においては禁煙によって症状が悪化するという報告もあり、クローン病とは異なる注意点があります。自己判断で習慣を変える前に、主治医にご相談ください。
寛解期であれば、多くの方が普段通りの仕事・学業・運動を続けています。再燃時にはトイレに行く頻度が増えたり、体調に波が出たりすることがあるため、症状に応じて一時的に負荷を調整することも大切です。
潰瘍性大腸炎は国の指定難病(指定難病97)に認定されており、一定の重症度基準を満たす場合は「特定医療費(指定難病)受給者証」による医療費助成の対象となります。
申請方法や対象基準については当院でもご案内可能です。
寛解期は概ね1〜3ヶ月ごとの通院で経過を確認することが多いですが、症状の安定度や使用している薬によって異なります。
大腸内視鏡検査は、診断時に加え、治療効果の確認や、長期罹患の方への大腸がんサーベイランスとして医師の判断で定期的に実施します。
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