クローン病
クローン病
クローン病とは、口から肛門までの消化管のあらゆる部位に炎症や潰瘍が起こりうる、原因不明の慢性炎症性疾患です。
炎症が大腸に限られる潰瘍性大腸炎とは異なり、消化管のどこにでも病変が生じ、正常な部分と炎症部分がまばらに混在する「非連続性」の広がり方をするのが特徴です。
国の指定難病(指定難病96)に認定されており、潰瘍性大腸炎と同様に「再燃(症状が悪化する時期)」と「寛解(かんかい=症状がほとんどない、落ち着いた時期)」を繰り返す経過をたどります。
炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれる病気には、もう一つ「潰瘍性大腸炎」という似た病気があります。
潰瘍性大腸炎は炎症が大腸に限られ直腸から連続的に広がるのに対し、クローン病は消化管のどこにでも、とびとびに(非連続性に)炎症が起こる点が大きな違いです。
(潰瘍性大腸炎について詳しく見る / 2つの病気の違いをまとめて見る)
クローン病は口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起こりうる病気で、特に小腸の終わり(回盲部)に好発します。
主な症状は以下の通りです。
潰瘍性大腸炎と異なり血便は必発ではなく、腹痛・下痢・体重減少が主体となることが多いのが特徴です。
また、痔瘻や肛門周囲膿瘍といった肛門の症状が先行して見つかり、そこから消化管の精密検査でクローン病と診断されるケースも少なくありません。
クローン病の原因も潰瘍性大腸炎と同様、現在のところ完全には解明されていません。
遺伝的要因に加え、食生活の欧米化や腸内細菌バランスの変化といった環境要因が複雑に関与し、腸管の免疫システムが過剰に反応することで慢性的な炎症が続くと考えられています。
内視鏡診断技術の進歩や疾患への認知度向上に加え、食生活の変化も患者数増加の一因と指摘されています。
クローン病は10代〜20代の若年層に発症が集中する点が大きな特徴です。男女比はおよそ2:1で男性に多く発症するとされています(潰瘍性大腸炎は男女差がほとんどありません)。
クローン病は炎症の主な部位によって、以下のように分類されます。
炎症は非連続性(病変と正常な部分がまばらに存在する)に出現することが多く、これは大腸から連続的に炎症が広がる潰瘍性大腸炎との大きな違いです。
血液検査・便検査に加えて、大腸内視鏡検査による回盲部・大腸の観察と生検が診断の中心となります。
クローン病に特徴的な「縦走潰瘍」や「敷石像(粘膜がデコボコした敷石のような外観)」の有無を確認します。
小腸の評価が必要な場合は、カプセル内視鏡や小腸造影、CT・MRIなどの画像検査を組み合わせて全体像を把握します。
腹痛・下痢・体重減少が続く場合や、痔瘻・肛門周囲膿瘍を繰り返す場合は、クローン病の可能性も考慮した精密検査をおすすめします。
当院では鎮静剤を使用した負担の少ない大腸内視鏡検査が可能です。
クローン病の治療は、炎症を抑えて寛解(症状がほとんどない状態)に導き、それを維持することと、栄養状態を改善することの両方を目的に行われます。
病変の部位・範囲、重症度、これまでの治療への反応をみながら、以下を単独または組み合わせて使用します。
クローン病は手術後も再発しやすい病気であるため、術後も継続的な内科的治療と定期的な内視鏡検査によるフォローが重要です。
どの治療段階に進むかは症状・血液検査・内視鏡所見・画像検査を組み合わせて医師が判断するため、自己判断で薬を中止せず、経過を一緒に見ていくことが大切です。
クローン病では腸管の狭窄(腸が狭くなり詰まりやすくなる)、瘻孔・膿瘍、肛門病変(痔瘻)などの合併症が起こることがあります。
腹痛が急激に悪化した、嘔吐を伴う、発熱が続くといった場合は早めに主治医または医療機関に相談してください。
当院院長・端山 軍(はやま たむろ)は、帝京大学医学部附属病院 IBD(炎症性腸疾患)センターの非常勤講師を務めており、消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・大腸肛門病専門医として23年間、消化器疾患・炎症性腸疾患(IBD)の診療に携わってきました。
クローン病は経過が長く治療の調整も複雑になりやすい病気ですが、大学病院の最前線で培った知見を、地域のかかりつけ医療として身近な場所で提供できることが当院の強みです。
おなかとおしりのクリニック東京大塚では、クローン病の診断から、栄養療法・5-ASA製剤・ステロイド・生物学的製剤を含む薬物治療まで、当院で一貫して対応しています。
診断後に大病院へ紹介してそれで終わりにするのではなく、日常的な経過観察・お薬の調整・採血や内視鏡によるモニタリングまで、地域のかかりつけ医として継続的に診療いたします。
また当院は肛門科も併設しており、痔瘻・肛門周囲膿瘍といったクローン病に伴う合併症の診療も行っています。
肛門の症状を繰り返している方が、実は背景にクローン病が隠れていた、というケースの精密検査にも対応可能です。
大学病院などで診断・治療を受けた後、「自宅や職場から通いやすい場所で継続診療を受けたい」という転院・かかりつけ医探しのご相談も多くいただいています。
紹介状をお持ちでなくても、現在の治療内容を確認のうえ、スムーズに当院での継続診療に移行できるケースが多くなっています。
なお、緊急手術や腸管狭窄・瘻孔への外科的処置が必要な場合、当院での薬物治療で十分な効果が得られない非常に難治性のケースについては、連携する高度医療機関へご紹介し、治療後も再び当院で継続フォローを行う体制を整えています。
潰瘍性大腸炎と同様、「完治」ではなく「寛解(症状がほとんどない状態)の維持」が治療目標となります。栄養療法・薬物療法を継続することで、多くの患者様が安定した生活を送ることができます。
痔瘻の多くは肛門腺の感染が原因で、クローン病とは無関係です。ただし、若年での発症、難治性・再発性の痔瘻、複数箇所にできる痔瘻などはクローン病が背景にある可能性があるため、消化管の精密検査が勧められることがあります。
病状や炎症の部位によって適切な食事内容は異なります。特に栄養療法を行っている場合は、医師・栄養士の指導のもとで食事内容を調整することが大切です。
うつる病気ではないと考えられています。クローン病は感染症ではなく、遺伝的要因と環境要因が関与する免疫の病気と考えられています。ご家族や周囲の方に感染する心配は基本的にありません。
クローン病においては、喫煙が病状の悪化や再燃のリスクを高めることが知られており、禁煙が強く勧められます。潰瘍性大腸炎とは逆の傾向があるため、自己判断せず主治医にご相談ください。
寛解期であれば、多くの方が普段通りの仕事・学業を続けています。栄養療法中は食事の管理が必要になる場合があり、生活スタイルに合わせた調整を主治医と相談しながら進めます。
クローン病は国の指定難病(指定難病96)に認定されており、一定の重症度基準を満たす場合は「特定医療費(指定難病)受給者証」による医療費助成の対象となります。
申請方法や対象基準については当院でもご案内可能です。
寛解期は概ね1〜3ヶ月ごとの通院で経過を確認することが多いですが、使用している薬や病状によって異なります。
大腸内視鏡検査や画像検査は、診断時に加え、治療効果の確認や狭窄・再発のチェックとして医師の判断で定期的に実施します。
Tsutsui A, et al. “Nationwide estimates of patient numbers and prevalence rates of ulcerative colitis and Crohn’s disease in Japan in 2023.” Journal of Gastroenterology, 2025.
難病情報センター「クローン病(指定難病96)」
帝京大学医学部附属病院 IBD(炎症性腸疾患)センター スタッフ紹介
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