2026年9月04日
一度胃カメラを受けたあと、「次はいつ受ければいいのだろう」と迷う方は少なくありません。日本消化器内視鏡学会の見解をもとに、標準的な間隔と、ピロリ菌感染歴がある方の考え方を、消化器内視鏡専門医の立場から解説します。
胃カメラは何年おきに受けるべき?
結論として、日本消化器内視鏡学会は、これまでにピロリ菌に感染したことがない方には定期的な内視鏡検査を特に勧めていません。一方、ピロリ菌を除菌した後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生が残っている場合は、胃がんになる危険性はゼロにはならないため、2〜3年に1回の内視鏡検査を受けることを推奨しています。当院では、除菌後の方に対して、これより頻度の高い1年に1回の受診を推奨しています。
症状がある場合は、間隔の目安を待たないでください
胃の痛み、胸やけ、黒色便、原因不明の体重減少などの症状がある場合は、次の検査予定を待たず、早めの受診をお勧めします。
ピロリ菌感染の有無による頻度の違い
胃カメラの適切な頻度は、ピロリ菌感染の有無によって大きく変わります。ここでは学会の見解に沿って、感染歴がある方とない方、それぞれの考え方を整理します。

除菌後も定期検査が必要な理由
日本消化器内視鏡学会は、ピロリ菌を除菌した後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生が残っている場合、胃がんになる危険性はゼロにはならないため、除菌前と同様に2〜3年に1回の内視鏡検査を受けることを推奨しています。当院では、これよりも頻度の高い1年に1回の胃カメラ検査を推奨しています。萎縮の程度や既往によって適切な間隔には個人差がありますので、検査を受けた際に医師とご相談ください。
ピロリ菌に感染したことがない場合
一方、これまでにピロリ菌に感染したことがない方は、胃がんになる危険性が低いことから、学会も定期的な内視鏡検査を積極的には勧めていません。ただし、症状がある場合や検診として受ける場合はこの限りではありません。
自治体の胃がん検診(対策型検診)の頻度との違い
自治体などが行う胃がん検診(対策型検診)では、50歳以上を対象に2年に1回の間隔が基本とされています。これは無症状の方を対象にした集団検診としての基準であり、日本消化器内視鏡学会が示す2〜3年間隔とは、目的や対象が異なる基準です。混同しやすいので、区別しておくと安心です。豊島区にお住まいの方の検診制度については、豊島区の胃がん検診についての記事で解説しています。
日本の胃がん罹患率は世界でも高い水準
胃がんは、日本を含む東アジアで特に多くみられるがんです。国立がん研究センターが参画した国際共同研究(がん罹患の国際比較・CI5第12版)によると、年齢による影響を除いて比較しても、日本の胃がん罹患率は欧米諸国よりおよそ5〜10倍高いと報告されています。新たに胃がんと診断される方の数でも、日本は世界的に上位に位置しているとされています。
一方で、日本は胃がん検診による早期発見の体制が整っていることもあり、5年生存率は国際的に見ても高い水準にあります。がんが胃の中にとどまった段階で見つかる割合は、日本ではおよそ6割にのぼるとする報告もあり、早期発見が生存率の向上につながっていると考えられています。

海外のガイドラインとの比較
参考までに、海外の消化器病学会が示す経過観察の間隔もご紹介します。国や学会によって間隔の目安には差がありますが、リスクの程度に応じて間隔を調整するという基本的な考え方は共通しています。
ヨーロッパの消化器内視鏡学会(ESGEなど)のガイドラインは、2025年に「MAPS III」として改定されています。高度な萎縮性胃炎や腸上皮化生がある方に対しては3年に1回の内視鏡検査を推奨しており、この間隔は本人の出身地域によらず一律とする方針が明記されています。一方、萎縮が軽度で、家族歴などの他のリスク要因もない場合は、経過観察は特に必要ないとされています。アメリカの消化器病学会(AGA)のガイドラインは腸上皮化生がある方に焦点を当てており、ヨーロッパの基準に比べるとやや慎重な(積極的な経過観察をあまり推奨しない)立場を取っています。
ただし、これらのガイドラインは、胃がんの罹患率が日本よりかなり低い欧米の医療体制を前提に作られたものです。前述の通り、日本は胃がんの罹患率がもともと高い地域にあたるため、海外の基準をそのまま当てはめるのが適切かどうかは慎重に考える必要があります。当院が除菌後の方に、より頻度の高い1年に1回を推奨しているのは、日本における胃がんの罹患率の高さも踏まえたうえでの判断です。
| 対象 | 日本消化器内視鏡学会(JGES) | 欧州ガイドライン(MAPS III) | 当院の推奨 |
|---|---|---|---|
| 萎縮性胃炎・腸上皮化生がある方(除菌後を含む) | 2〜3年に1回 | 3年に1回(出身地域によらず一律) | 1年に1回 |
| ピロリ菌未感染・低リスクの方 | 定期検査は特に勧めない | 経過観察は特に不要(他のリスク要因がない場合) | 症状があれば随時受診 |
※早期胃がんの内視鏡治療歴がある方への推奨(学会は「少なくとも年1回」)については、海外ガイドラインとの直接比較ができるデータを確認できていないため、この表には含めていません。詳しくはよくあるご質問をご覧ください。
そもそも何歳から受けるべきか
「何年おき」と合わせて気になるのが「そもそも何歳から受けるべきか」という点です。詳しくは胃カメラは何歳から受けるべきか解説した記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
検査への不安がある方へ
「頻度はわかったけれど、検査そのものが苦手」という方も少なくありません。当院では鎮静剤を使用した検査も行っています。詳しくは鎮静剤についてのコラムをご覧ください。バリウム検査との負担の違いが気になる方は胃カメラとバリウムはどっちが辛いか比較した記事もあわせてご覧ください。

よくあるご質問
胃カメラは何年に1回受けるべきですか?
日本消化器内視鏡学会は、これまでにピロリ菌に感染したことがない方には定期的な内視鏡検査を特に勧めていません。一方、除菌後に萎縮性胃炎などが残っている方には2〜3年に1回を目安としており、当院ではこれより頻度の高い1年に1回を推奨しています。
ピロリ菌を除菌した後も検査は必要ですか?
はい。除菌後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生が残っている場合、胃がんのリスクはゼロにはならないため、定期的な検査が必要です。学会は2〜3年に1回を目安としていますが、当院ではより頻度の高い1年に1回を推奨しています。
毎年受けた方がいいですか?
症状がなく、ピロリ菌感染歴もない場合、毎年の受診が必須というわけではありません。ピロリ菌の除菌歴がある方は、当院では1年に1回を推奨しています。
内視鏡治療でポリープやがんを切除した場合はどうなりますか?
はい。治療を受けた部位とは別の場所に、新たな早期胃がんが発生する危険性があります(日本消化器内視鏡学会によると5年間で10人に1人程度)。そのため、少なくとも年に1回の胃内視鏡検査が勧められます。詳しい間隔は担当医にご確認ください。
海外でも同じ間隔で検査をするのですか?
目安となる間隔は国や学会によって差があります。ヨーロッパの最新ガイドライン(2025年改定のMAPS III)では、萎縮性胃炎などがある方に3年に1回という基準が示されていますが、これは胃がんの罹患率が日本よりかなり低い欧米を前提にしたものです。日本は胃がんの罹患率が欧米より5〜10倍高いとされており、当院ではこうした背景も踏まえて、より頻度の高い1年に1回を推奨しています。
まとめ
胃カメラの頻度は一律ではありません。日本消化器内視鏡学会は、これまでにピロリ菌に感染したことがない方には定期検査を特に勧めていない一方、除菌後に萎縮性胃炎などが残る方には2〜3年に1回を目安としており、当院ではさらに頻度の高い1年に1回をご案内しています。ご自身に合った頻度を知りたい方は、まずは検査でご相談ください。
参考文献
- 日本消化器内視鏡学会「胃内視鏡検査は何年に1回受ければいいですか」jges.net
- Dinis-Ribeiro M, et al. Management of epithelial precancerous conditions and early neoplasia of the stomach (MAPS III). Endoscopy. 2025. PubMed
- Recent Guidelines on the Management of Patients with Gastric Atrophy: Common Points and Controversies. Dig Dis Sci. 2020.(MAPS・AGA比較)Springer
- 国立がん研究センター「世界の最新がん罹患状況の公表(CI5第12版)」2023年 ncc.go.jp
- 日経メディカル「東アジアに多い胃がんは、胃がん検診で生存率が大幅に改善」2026年 nikkeibp.co.jp
参考文献
- 日本消化器内視鏡学会「胃内視鏡検査は何年に1回受ければいいですか」jges.net
- Dinis-Ribeiro M, et al. Management of epithelial precancerous conditions and early neoplasia of the stomach (MAPS III). Endoscopy. 2025. PubMed
- Recent Guidelines on the Management of Patients with Gastric Atrophy: Common Points and Controversies. Dig Dis Sci. 2020.(MAPS・AGA比較)Springer
- 国立がん研究センター「世界の最新がん罹患状況の公表(CI5第12版)」2023年 ncc.go.jp
- 日経メディカル「東アジアに多い胃がんは、胃がん検診で生存率が大幅に改善」2026年 nikkeibp.co.jp
まとめ
胃カメラの頻度は一律ではありません。日本消化器内視鏡学会は、これまでにピロリ菌に感染したことがない方には定期検査を特に勧めていない一方、除菌後に萎縮性胃炎などが残る方には2〜3年に1回を目安としており、当院ではさらに頻度の高い1年に1回をご案内しています。ご自身に合った頻度を知りたい方は、まずは検査でご相談ください。
当院は豊島区・大塚駅南口から徒歩1分。消化器内視鏡専門医が、あなたに合った検査間隔についてもご相談を承っています。
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記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 スクリーニング医・専門医・指導医
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医・評議員
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール