2026年8月13日
「そろそろ胃カメラを受けた方がいいのかな」と感じても、何歳から受けるべきかの基準がわからず先延ばしにしていませんか。胃がん検診の対象年齢を中心に、リスクが高い場合に早めに検討すべきケースまで、消化器内視鏡専門医の立場から解説します。
胃カメラは何歳から受けるべき?
結論として、症状がない方の目安は50歳からです。国の指針では、自治体などが行う胃がん検診(対策型検診)の対象年齢は50歳以上とされています。一方、ピロリ菌感染歴や家族歴がある方は、40代からの受診が検討されます。

50歳が目安とされる理由
胃がんは40代後半から罹患率が上がり始め、50代以降で明確に増加する傾向があります。国の指針では、以前は40歳以上を対象にバリウム検査を毎年行う運用でしたが、指針の改定後は50歳以上・2年に1回が基本となりました。40歳代の方への胃部X線検査(バリウム検査)は、現在は例外的な位置づけです。
40代でも早めの受診を検討すべき方
一律の年齢基準だけでなく、次のような方は40代からの受診を検討する価値があります。
ピロリ菌感染歴がある方
ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍の原因になるだけでなく、放置すると胃がんにつながることがあります。感染歴がある方、除菌治療を受けた方は、40代からの受診を検討してください。
ご家族に胃がん・食道がんの既往がある方
血縁者に胃がんや食道がんの既往がある場合、一般的な目安より早めの受診が検討されます。気になる方は、事前の診察でご家族の病歴をお伝えください。
症状がある方
胃の痛み、胸やけ、黒色便、原因不明の体重減少などの症状がある場合は、年齢に関わらず早めの受診をお勧めします。
一律の年齢基準だけでなく、次のような方は40代からの受診を検討する価値があります。
ピロリ菌感染歴がある方
ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍の原因になるだけでなく、放置すると胃がんにつながることがあります。感染歴がある方、除菌治療を受けた方は、40代からの受診を検討してください。
ご家族に胃がん・食道がんの既往がある方
血縁者に胃がんや食道がんの既往がある場合、一般的な目安より早めの受診が検討されます。気になる方は、事前の診察でご家族の病歴をお伝えください。
20代・30代で胃カメラが必要になるケース
基本的に無症状の20代・30代で定期的な胃カメラは必須ではありませんが、次のような場合は年齢に関わらず検討してください。
- ご家族に若くして胃がん・食道がんと診断された方がいる場合
- 慢性的な胃の症状が続いている場合
- ピロリ菌感染が判明している場合
海外との比較:年齢基準は国によって異なる
胃がんは国によって発生率が大きく異なるため、検診の対象年齢も国ごとに異なります。参考までにご紹介します。
韓国は日本と並んで胃がんの発生率が高い国です。韓国の国家がん検診プログラムでは、40歳から74歳を対象に2年に1回の内視鏡検査が推奨されており、85歳以上では推奨されていません。バリウム検査は推奨されておらず、内視鏡検査が中心になっています。日本より対象年齢がやや若く設定されている点が特徴です。
一方、アメリカでは胃がんの発生率が低いため、年齢だけを基準にした一般住民向けの検診は行われていません。米国消化器病学会(AGA)は2024年、年齢だけを基準にした一律のスクリーニングは費用対効果の面で成り立たないとしたうえで、高リスクとみなされる集団に絞った検診を推奨する方針を示しています。ここでいう高リスク集団には、胃がんの発生率が高い地域からの一世移民、家族に胃がんの既往がある方、特定の遺伝性疾患をお持ちの方などが含まれ、日本出身の移民の方もこれに該当するとされています。
日本・韓国のように胃がんの発生率が高い国では年齢を基準にした検診が行われ、アメリカのように発生率が低い国ではリスクを絞った検診が行われる、という違いがあります。当院が40代からの受診をご案内しているのも、日本が胃がんの発生率の高い国にあたることを踏まえたものです。
| 国・地域 | 胃がんの発生率 | 検診の対象年齢 | 主な方法 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 高い(欧米の5〜10倍) | 50歳以上(内視鏡)、40歳からバリウムも可 | 2年に1回 |
| 韓国 | 日本よりさらに高い | 40〜74歳(85歳以上は非推奨) | 内視鏡2年に1回(バリウムは非推奨) |
| アメリカ | 低い | 一般住民向けの年齢基準なし | 高リスク者のみ個別に検討 |
何年おきに受けるべきかについて
「何歳から」と合わせて気になるのが「その後どのくらいの間隔で受けるべきか」という点です。詳しくは胃カメラは何年おきに受けるべきか解説した記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
検査への不安がある方へ
「年齢的にはそろそろだと思うけれど、検査が怖くて踏み出せない」という声もよく伺います。当院では鎮静剤を使用した検査も行っています。詳しくは鎮静剤についてのコラムをご覧ください。バリウム検査との負担の違いが気になる方は胃カメラとバリウムはどっちが辛いか比較した記事もあわせてご覧ください。
豊島区にお住まいの方へ
豊島区にお住まいの50歳以上の方は、区の胃がん検診制度を利用して費用負担を抑えて胃カメラ検査を受けることができます。詳しくは豊島区の胃がん検診についての記事をご覧ください。
よくあるご質問
胃カメラは何歳から受けるべきですか?
症状がない方の目安は50歳からです。ピロリ菌感染歴や家族歴がある方は、40代からの受診が検討されます。
20代・30代でも胃カメラは必要ですか?
基本的には必須ではありませんが、症状がある場合やご家族に若くして胃がんと診断された方がいる場合は、年齢に関わらず受診を検討してください。
何歳まで胃カメラを受けた方がいいですか?
一律の上限年齢はありません。ご高齢の方は全身状態や持病によって検査の可否・方法が変わりますので、かかりつけ医にご相談ください。
ピロリ菌に感染していると何歳から受けるべきですか?
明確な年齢基準はありませんが、ピロリ菌感染歴がある方は40代からの受診が検討されます。除菌治療後も胃がんのリスクはゼロにはならないため、定期的な検査が推奨されます。
海外でも同じ年齢から検診を受けるのですか?
国によって異なります。韓国は日本より発生率が高く、40歳からの内視鏡検診が推奨されています。一方、発生率が低いアメリカでは年齢だけを基準にした一般住民向けの検診はなく、高リスクの方に絞って検討されます。
まとめ
胃カメラは、症状がない方であれば50歳が一つの目安ですが、ピロリ菌感染歴や家族歴があれば40代からの受診も検討する価値があります。ご自身がどのタイミングで受けるべきか迷ったら、まずは診察でご相談ください。
参考文献
- 国立がん研究センター「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」canscreen.ncc.go.jp
- 日本消化器がん検診学会雑誌「韓国の胃がん内視鏡検診の実情」J-STAGE
- AGA Clinical Practice Update on Screening and Surveillance in Individuals at Increased Risk for Gastric Cancer in the United States. Gastroenterology. 2024. Gastroenterology
- Stomach (Gastric) Cancer Screening (PDQ). National Cancer Institute. NCBI Bookshelf
当院は豊島区・大塚駅南口から徒歩1分。消化器内視鏡専門医が、あなたに合った受診タイミングについてもご相談を承っています。
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記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医・評議員
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール