2026年8月04日
「胃カメラも大腸カメラも受けてくださいと言われたけれど、平日に何度も休みを取るのは難しい」——健康診断で指摘を受けた方から、こうしたお声をよくいただきます。実は、胃カメラと大腸カメラは条件を満たせば同じ日にまとめて受けることができます。消化器内視鏡専門医として20年以上診療にあたってきた立場から、同時検査のメリット・デメリット、向いている方の特徴、当日の流れまでを解説します。
胃カメラと大腸カメラは同じ日に受けられる
結論からお伝えすると、胃カメラと大腸カメラは同じ日にまとめて受けることが可能です。

どちらも「胃腸の中を空にした状態で内視鏡を挿入する検査」という共通点があり、鎮静剤の使用や検査後の休憩といった流れも重なる部分が多いため、続けて実施しやすい検査です。ご希望とお身体の状態が合えば、当院でも同日検査についてご相談いただけます。
胃カメラと大腸カメラを同時に受ける3つのメリット
同時検査を選ぶ方が増えている理由は、主に次の3点に集約されます。

① 通院・スケジュール調整の負担が1回で済む
胃カメラ・大腸カメラは、それぞれ準備から回復まで含めると半日仕事です。別々の日に受けると2回分の予定を空ける必要がありますが、同時に受ければ1回で済みます。忙しい現役世代の方や、遠方から通院される方には特に大きなメリットです。
② 食事制限・下剤の負担が一度で済む
大腸カメラの前には前日からの食事制限と下剤の内服が必要です。胃カメラも検査当日は絶食が必要になります。同時に受けることで、こうした準備を1回にまとめられます。
③ 鎮静剤・点滴の負担も1回に
検査のたびに緊張したり、点滴のための注射を我慢したりするのが苦手という方も少なくありません。同時に受ければ、こうした身体的・精神的な負担も1回にまとめることができます。
同時に受ける際に知っておきたいデメリット・注意点
メリットばかりが強調されがちですが、同時検査には知っておくべき注意点もあります。良い面だけでなく、こうした点も含めてご説明した上でご相談いただくようにしています。
鎮静剤の使用が前提になりやすい
2つの検査を続けて行うため、鎮静剤を使わずに受けるのは身体的な負担が大きくなります。当院の胃カメラは経口で行う場合、全例で鎮静剤を使用していますので、同時検査でもこの流れに沿った対応となります。鎮静剤の仕組みについては胃カメラの鎮静剤についてのコラムで詳しく解説しています。
症状がない場合は自費診療になることがある
無症状の方が「念のため」両方受ける場合、保険適用にならず自費診療となるケースがあります。一方、胃の痛みや便通異常など消化器症状がある場合は、保険診療の対象になることもあります。費用の考え方は胃カメラの費用についてのコラムで詳しく解説しています。
実施できる医療機関が限られる
同時検査には、内視鏡専門医の配置や検査後の休憩スペースなど一定の体制が必要なため、対応できる医療機関は限られます。事前にクリニックのホームページ等で対応可否をご確認されることをおすすめします。
同時検査が向いている方・慎重な判断が必要な方
ここからは、同時検査の適応について、もう少し専門的な観点から整理します。
同時検査を検討しやすい方
- 健康診断や人間ドックで便潜血陽性・胃部異常を指摘された方
- ピロリ菌感染歴がある、または除菌治療後の方
- ご家族に胃がん・大腸がんの既往がある方
- 忙しく、通院回数をできるだけ減らしたい方
慎重な判断が必要な方
以下に該当する場合は、安全を優先し、日を分けて実施することをお勧めする場合があります。持病やお薬の状況によって判断は異なりますので、事前の診察で医師にお伝えください。
- ご高齢の方
- コントロール不良の糖尿病がある方
- 重篤な心疾患・呼吸器疾患をお持ちの方
- 肝硬変、腎不全などの基礎疾患がある方
- 抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を服用中の方
検査中に大腸ポリープが見つかった場合
同時検査で大腸ポリープが見つかった場合の対応も、事前に知っておくと安心です。小さなポリープであれば、多くの場合その場で日帰り切除が可能です。ただし、すべてのポリープをその場で切除できるわけではなく、大きさや部位によっては、入院設備のある連携医療機関へあらためてご紹介することがあります。詳しくは大腸ポリープの日帰り切除について解説したページをご覧ください。
同時検査の当日の流れ
一般的な同時検査の流れは、次のとおりです(順序や所要時間は医療機関により異なります)。

① 問診・鎮静剤の準備
血圧や脈拍などを確認したのち、鎮静剤を使用します。
② 胃カメラの検査
ウトウトとした状態になってから、胃カメラを行います。必要に応じて組織を採取します。
③ 大腸カメラの検査
胃カメラに続けて、大腸カメラを行います。ポリープが見つかった場合は、その場で切除することもあります。
④ 回復・結果説明
鎮静剤が落ち着くまでお休みいただいたのち、医師から検査結果をご説明します。鎮静剤を使用された場合、当日の車・バイクの運転は控えていただく必要があります。
よくあるご質問
胃カメラと大腸カメラ、どちらを先に受けますか?
一般的には、胃の中を空の状態に保ちやすい胃カメラを先に行い、そのあとで大腸カメラを行う順番が多く採用されています。
経鼻胃カメラと組み合わせて同時に受けられますか?
経鼻胃カメラは鎮静剤を使用しない検査です。鎮静剤を使う大腸カメラと組み合わせる場合は、経口・鎮静剤ありでの実施が基本となります。経鼻と経口の選び方はこちらのページで解説しています。
同時検査にはどのくらい時間がかかりますか?
検査自体は合わせて数十分程度ですが、鎮静剤からの回復時間も必要になるため、来院からお帰りまでは半日程度を目安にご予定いただくと安心です。正確な所要時間は当院までお問い合わせください。
見つかった大腸ポリープはその場で切除できますか?
小さなポリープであれば同日に日帰り切除できることが多いですが、大きさや部位によっては切除を見送り、入院設備のある連携医療機関へご紹介することがあります。詳しくは大腸ポリープの日帰り切除ページをご覧ください。
同時検査は保険が適用されますか?
消化器症状がある場合は保険診療、無症状で「念のため」受ける場合は自費診療になることがあります。費用の考え方は費用のコラムで解説しています。
まとめ
胃カメラと大腸カメラの同時検査は、通院や食事制限の負担を大きく減らせる一方、鎮静剤の使用や実施医療機関の制約など、事前に知っておきたい点もあります。ご自身が同時検査に向いているかどうか、まずは診察でご相談ください。
当院は豊島区・大塚駅南口から徒歩1分。消化器内視鏡専門医が胃カメラ・大腸カメラの同時検査についてもご相談を承っています。
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記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール