2026年4月27日
胃がんは日本人に多いがんの一つですが、早期に発見できれば治癒が十分に期待できる病気です。そのために重要なのが定期的な胃がん検診です。本記事では、消化器内視鏡専門医が、バリウム検査と胃カメラ検査の違い、対象年齢や受診頻度、費用、当日の流れまでを詳しく解説します。検診を初めて受ける方、どちらの検査を選ぶか迷っている方の参考になれば幸いです。

胃がん検診とは|なぜ受けるべきか
胃がん検診は、症状が出る前の段階で胃がんやその前駆病変を発見するための検査です。ここでは、日本における胃がんの現状と、検診で発見できる代表的な病変について整理します。なぜ「症状が出てから」ではなく「症状がないうち」に受けるべきなのかを理解することが、検診の価値を正しく捉える第一歩です。
日本人の胃がんの現状
胃がんは日本人が罹患するがんの中で、男女ともに4番目に多いがんです(2021年・全国がん登録)。一方で、早期(ステージI)に発見できた場合の5年生存率は96.3%(国立がん研究センター・2021年公表データ)と極めて高く、進行してから発見された場合と比べて治療成績が大きく異なります。
胃がん検診で発見できる病変
胃がん検診では、単に「がんがあるかどうか」だけでなく、将来的なリスクも含めて総合的に評価できます。胃がんそのものだけでなく、以下のような関連疾患やリスク因子も同時に評価できます。
・早期胃がん・進行胃がん
・胃ポリープ(胃底腺ポリープ・過形成性ポリープなど)
・ピロリ菌感染・萎縮性胃炎(胃がんの最大のリスク因子)
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
・食道疾患(逆流性食道炎・食道がんなど)
特にピロリ菌感染は胃がんの強力なリスク因子であり、胃カメラ検査であれば感染の有無や胃粘膜の状態を直接評価し、必要に応じて除菌治療につなげることができます。
胃カメラとバリウム検査|違いと選び方
胃がん検診には主に「バリウム検査(胃X線検査)」と「胃カメラ検査(胃内視鏡検査)」の2種類があります。それぞれ検査方法・診断精度・費用・身体負担が異なり、どちらを選ぶかによって発見できる病変の範囲も変わってきます。このセクションでは、それぞれの特徴を整理した上で比較表で違いを一目でご確認いただき、最後に消化器内視鏡専門医としての推奨をお伝えします。

バリウム検査(胃X線検査)の特徴
バリウム検査は、造影剤であるバリウムを飲み、X線で胃の形や粘膜の凹凸を撮影する検査です。費用が比較的安価で、放射線技師が撮影を担当できることから、自治体検診でも広く採用されてきました。一方で、粘膜を直接観察することはできず、組織採取(生検)やピロリ菌検査は行えません。異常所見が見つかった場合は、後日改めて胃カメラによる精査が必要になります。また放射線被曝があり、検査後にはバリウム排出のための下剤服用も必要です。
胃カメラ検査(胃内視鏡検査)の特徴
胃カメラ検査は、細いスコープを口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。微小な早期がんや粘膜のわずかな色調変化まで確認でき、必要に応じて組織採取(生検)やピロリ菌検査を同時に行えます。鎮静剤を使用すれば苦痛の少ない検査が可能で、放射線被曝もありません。費用はバリウム検査よりやや高くなりますが、診断精度と一度で完結できる利便性を考えると、総合的には胃カメラが優位です。
比較表|専門医としての推奨
早期胃がんの発見精度、ピロリ菌感染の同時評価、異常時の組織採取まで一度で完結する点から、可能であれば胃カメラ検査をお勧めします。バリウム検査で異常が見つかった場合、結局は胃カメラでの精査が必要になるため、最初から胃カメラを選ぶ方が患者さんの負担も時間も少なく済みます。
おなかとおしりのクリニック東京大塚
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
胃がん検診の対象年齢と受診頻度
一般的には「50歳以上は2年に1回」が目安ですが、ピロリ菌感染歴や家族歴がある方は40代からの胃カメラ検査をお勧めします。胃がん検診は「いつから」「どのくらいの頻度で」受けるべきかが重要なポイントです。国が示す指針は一つの基準ですが、個々のリスク要因によって推奨される開始年齢や頻度は変わります。ここでは、国の指針を踏まえた標準的な受診タイミングと、40代から検討すべきケース、さらにピロリ菌陽性・除菌後の方に推奨される頻度について解説します。
国の指針と40代で検討すべきケース
厚生労働省の指針では、胃がん検診は50歳以上の方を対象に2年に1回、バリウム検査(胃部X線検査)または胃内視鏡検査で実施することが推奨されています(ただし当分の間、胃部X線検査については40歳以上・1年に1回も可とされています)。以下に該当する方は40代からの受診を検討することをお勧めします。
・ピロリ菌感染歴がある、または除菌治療後の方
・ご家族に胃がんの既往がある方
・慢性胃炎や胃潰瘍の既往がある方
・喫煙習慣や過度の飲酒習慣のある方
・塩分の多い食事が習慣化している方
ピロリ菌陽性・除菌後の方の受診頻度
ピロリ菌感染が判明した方、および除菌治療を終えた方も胃がんのリスクは残存するため、定期的な経過観察が必要です。特に胃体部の萎縮が強い方、胃潰瘍や早期胃がんの既往がある方は、年1回の胃カメラ検査が推奨されます。リスクに応じた適切な間隔については、検査時に医師がご案内します。ご自身のリスクや適切な検査間隔がわからない場合は、一度ご相談ください。
胃がん検診の費用|公費・自費・保険の違い
胃がん検診の費用は、受診の目的や症状の有無によって「自治体による公費検診」「健康保険診療」「自費診療(人間ドック等)」のいずれかに分かれます。どの区分に該当するかで自己負担額は大きく変わるため、事前に理解しておくことが重要です。ここでは、豊島区にお住まいの方が利用できる助成制度、症状がある場合の保険診療の目安、そして自費で受ける場合の費用感までを整理します。
自治体の胃がん検診(豊島区の助成制度)
各自治体では住民を対象とした胃がん検診を実施しており、豊島区にお住まいの方も助成制度を利用して自己負担を抑えて受診することができます。対象年齢、検査種別(バリウムまたは胃内視鏡)、自己負担額は自治体ごとに異なるため、豊島区の公式情報や受診券の案内をご確認ください。当院は豊島区の胃がん検診(胃内視鏡)の実施医療機関です。詳しい受け方や助成の使い方は、関連記事「豊島区の胃がん検診|助成制度と受け方」でも解説しています。
保険診療/自費の場合の費用目安
■ 症状がある場合(保険診療)
胃痛、吐き気、黒色便、食欲不振などの症状があり、医師が必要と判断した場合は健康保険が適用されます。3割負担で約4,000〜10,000円程度が目安です(観察のみの場合は4,000〜5,000円、鎮静剤・生検・ピロリ菌検査を併施すると8,000〜10,000円程度)。
■ 自費(人間ドック等)
症状がなく予防目的で胃カメラを受ける場合は自費診療となります。施設により15,000〜25,000円程度が一般的な目安です。当院でも自費ドックのご相談を承っております。
胃カメラ検査当日の流れ
胃カメラ検査は、前日の食事準備から当日の検査、そして検査後の過ごし方まで、一連の流れを踏んで進みます。初めて受ける方でも不安なく準備いただけるよう、ここでは時系列に沿って「前日の食事・準備」「当日の流れ」「検査後の注意点」を解説します。事前に全体像を把握しておくことで、当日の戸惑いを減らし、検査をスムーズに受けていただけます。

検査前日の食事・準備
・前日の夕食は21時までに軽めに済ませる
・アルコールは控える
・消化の悪い食品(繊維質の多い野菜、ごま、海藻など)は避ける
・当日朝食は摂らない(少量の水・お茶は可)
・普段服用しているお薬の扱いは事前にご相談ください(特に抗血栓薬・糖尿病薬)
当日の流れと検査後の注意点
1. 受付・問診(約5分)
2. 前処置:消泡剤の内服、鎮痙剤の注射、局所麻酔(10〜15分)
3. 鎮静剤の投与(ご希望の方)
4. 検査本番(5〜10分)
5. リカバリールームで休憩(30分〜1時間)
6. 医師からの結果説明
検査後の注意点
・鎮静剤を使用した日は、車・バイク・自転車の運転は不可
・食事は検査後1時間以降、軽めのものから再開
・生検を行った場合は、当日の飲酒・激しい運動を控える
・喉の違和感は数時間で回復します
当院の胃がん検診の特徴
AI搭載内視鏡システム
(Olympus EVIS X1)
微細な病変をAIがリアルタイムで検出支援し、見落としのリスクを最小化します。
鎮静剤使用で
苦痛の少ない検査
うとうととした状態で検査を受けられ、「気づいたら終わっていた」というお声を多数いただいています。
火曜日は
女性医師が担当
女性医師による検査をご希望の方も、安心して受診いただけます。
ピロリ菌検査・
除菌治療にも対応
検査で感染が疑われた場合、そのまま除菌治療まで一貫して対応可能です。
大腸カメラとの
同日検査が可能
一度の来院で胃・大腸の両方を検査でき、来院回数と前処置の負担を軽減できます。
JR大塚駅南口
から徒歩1分
豊島区・文京区・北区・板橋区からのアクセスも良好です。

よくあるご質問

記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール