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逆流性食道炎とは?症状・原因から治療法まで専門医が徹底解説

2026年1月28日

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流して炎症を起こす病気です。成人の10〜20%が発症しており、胸やけや呑酸などの症状に悩む方が増えています。この記事では、逆流性食道炎の症状・原因・診断・治療法について、専門医の視点から詳しく解説します。

逆流性食道炎とは|胃酸が食道に逆流する病気

逆流性食道炎とは、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することで、食道粘膜に炎症が生じる病気です。通常、食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋という筋肉があり、食べ物を飲み込む時以外は閉じて胃酸の逆流を防いでいます。

しかし、何らかの原因でこの筋肉の働きが弱まると、胃酸が食道へ逆流してしまいます。食道の粘膜は胃と異なり、強い酸性の胃液から自身を守るバリア機能を持っていません。そのため、逆流が繰り返されると、食道粘膜にびらんや潰瘍が生じ、胸やけなどの症状を引き起こします。

日本では成人の10〜20%がこの病気にかかっていると推定されており、特に中高年や高齢者に多く見られます。食生活の欧米化や高脂肪食の普及により、近年患者数が増加傾向にあります。

適切な治療を受けなかった場合、症状が持続することにより日常生活に支障を来すことも知られています。しかし、早期に診断を受け適切な治療を行うことで、健康な人と同程度の生活の質を取り戻すことができます。

逆流性食道炎の症状チェックリスト|胸やけ・呑酸が代表的

逆流性食道炎には多彩な症状がありますが、代表的な症状は胸やけと呑酸です。 また、咳や喉の違和感で耳鼻咽喉科を受診される方も多くいますが、 実は逆流性食道炎が原因となっていることがあります。 以下のチェックリストで3つ以上当てはまる場合は、逆流性食道炎の可能性があります。

症状チェックリスト
胸やけ(胸が焼けるような不快感)
呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)
食後や夜間の胸の痛み・みぞおちの痛み
喉の違和感・イガイガ感
声がれ・声のかすれ
慢性的な咳(肺や心臓に異常がない)
げっぷが頻繁に出る
胃もたれ・お腹の張り
チェックした症状数
0
/ 8 項目
💡 受診の目安
3つ以上の症状に当てはまる場合は、逆流性食道炎の可能性があります。早めに消化器内科を受診することをお勧めします。

これらの症状は、食後や夜間、前かがみの姿勢をとったときに 強くなることが特徴です。胸の痛みが心臓の病気と似ているため、 鑑別診断が重要です。また、食道に炎症があっても症状が全くない 「無症候性逆流性食道炎」もあり、胃内視鏡検査(胃カメラ)で偶然発見されることもあります。

逆流性食道炎の原因|なりやすい人の特徴とメカニズム

逆流性食道炎は、下部食道括約筋の機能低下、胃酸分泌の増加、食道の蠕動運動の低下などが複合的に関与して発症します。これらの要因が重なると、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなり、炎症を引き起こします。

逆流性食道炎になりやすい人の特徴

以下のような生活習慣や体質を持つ方は、逆流性食道炎のリスクが高まります。

  • •食べ過ぎ・早食いの習慣がある:胃内圧が上昇し、逆流が起こりやすくなります
  • •脂肪分の多い食事が多い:脂肪は下部食道括約筋を緩め、胃酸分泌を増加させます
  • •食後すぐに横になる:重力の影響で胃の内容物が逆流しやすくなります
  • •肥満体型:腹圧が高まり、胃が圧迫されて逆流が起こりやすくなります
  • •喫煙習慣がある:ニコチンが胃酸分泌を増やし、唾液分泌を減少させます
  • •過度の飲酒:アルコールは下部食道括約筋を緩め、食道の蠕動運動を阻害します
  • •前かがみの姿勢が多い:デスクワークや畑仕事などで腹圧が上昇します
  • •腹部を締め付ける服装:ベルトやコルセットで腹圧が高まります
  • •便秘がち:腹圧が上昇し、逆流が起こりやすくなります

なぜ逆流が起こるのか?主なメカニズム

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアは、逆流性食道炎の最も重要な原因の一つです。これは、胃の一部が横隔膜の穴(食道裂孔)を通って食道側にはみ出してしまう状態で、解剖学的な体質によるものです。

食道裂孔ヘルニアがあると、下部食道括約筋が正常に機能しにくくなり、胃酸が逆流しやすくなります。手術以外では根本的な治療が難しいため、薬物療法と生活習慣の改善で症状をコントロールします。

腹圧の上昇

腹圧とは、お腹の中の圧力のことです。肥満、前かがみの姿勢、便秘、腹部を締め付ける服装などにより腹圧が高まると、胃が圧迫されて胃の内容物が食道側に押し上げられ、逆流が起こりやすくなります。これが、肥満の方や長時間デスクワークをされる方、ベルトをきつく締める方に逆流性食道炎が多い理由です。

加齢による下部食道括約筋の機能低下

食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋は、通常は閉じており、胃酸や食べ物の逆流を防いでいます。しかし、加齢により筋肉が衰えると、この筋肉の締まりが悪くなり、逆流が起こりやすくなります。

また、一部の薬剤(血圧降下薬、喘息治療薬など)には、副作用として下部食道括約筋を緩める作用があり、逆流性食道炎の原因となることがあります。

逆流性食道炎の診断・検査|内視鏡検査(胃カメラ)による確定診断

逆流性食道炎の診断には、問診で症状を詳しく確認した上で、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を実施します。内視鏡検査により、食道粘膜の炎症の有無やびらん・潰瘍の程度を直接観察し、確定診断を行います。

東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚のロサンゼルス分類のイラスト

内視鏡検査の重要性

逆流性食道炎と似た症状を呈する病気に、食道がんや胃がん、狭心症などがあります。特に食道粘膜のびらんや潰瘍は、逆流性食道炎と食道がんの鑑別が難しい場合があるため、内視鏡検査による正確な診断が不可欠です。

最近では鼻から挿入する経鼻内視鏡があり、口からの内視鏡に比べて苦痛が少なく検査を受けることができます。また、鎮静剤を使用することで、さらに楽に検査を受けられるようになっています。

LA(ロサンゼルス)分類による重症度評価

逆流性食道炎の重症度は、世界的に使用されているLA分類(Los Angeles分類)により6段階で評価されます。グレードN(正常)→M(最小限の変化)→A(軽症)→B(軽症)→C(重症)→D(重症)と進行します。

グレードAとBは軽症型で、粘膜のひだを越えない範囲でびらんが確認されます。グレードCとDは重症型で、粘膜のひだを越えて広範囲にびらんや潰瘍が広がっている状態です。重症度に応じて治療方針が決定されます。

逆流性食道炎の治療法|薬物療法と生活習慣改善が基本

逆流性食道炎の治療は、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせて行います。効果の高い薬剤が登場したことで治りやすい病気になっていますが、再発しやすいため、継続的な管理が重要です。

薬物療法の種類

逆流性食道炎の薬物療法では、胃酸の分泌を抑える薬を中心に、食道粘膜を保護する薬や消化管の運動を改善する薬などを使用します。

薬剤分類 効果と特徴
プロトンポンプ阻害薬(PPI) 胃酸分泌を抑制する最も効果的な薬剤です。プロトンポンプの働きを阻害して胃酸分泌量を減らします。再発防止のために長期投与されることもあります。代表的な薬剤にオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなどがあります。
H2ブロッカー ヒスタミンH2受容体を遮断し、胃酸分泌を抑える薬です。市販薬にも同じ成分のものがありますが、医療用のH2ブロッカーは含有量が多く効果も高くなっています。代表的な薬剤にファモチジン、ラニチジンなどがあります。
消化管運動機能改善剤 胃腸の運動機能と蠕動運動を改善させ、食物の消化を助け、胃での滞留時間を短くします。胃液や食物の逆流を起こりにくくする効果もあります。モサプリド(ガスモチン)、ドンペリドン(ナウゼリン)などが使用されます。
制酸薬 胃酸を中和して症状を和らげ、炎症を軽減します。効果持続時間が短いため、他の薬剤と併用して使用されます。即効性があるため、症状が出たときの頓服として処方されることもあります。
胃粘膜保護薬 食道の粘膜を保護し、炎症の改善を助ける薬です。アルギン酸ナトリウムなどが使用され、胃の内容物の上に保護膜を形成して逆流を防ぐ効果もあります。他の薬剤と併用して使用されます。

治療期間と経過

軽症から中等症の逆流性食道炎では、通常8週間程度の薬物療法で症状が改善します。重症の場合や効果が不十分な場合は、薬剤の増量や変更、併用療法を検討します。

症状が改善した後も、再発予防のために維持療法として薬を継続することがあります。PPIの長期投与により、多くの患者さんで良好な症状コントロールが得られています。

手術療法が検討される場合

重度の食道裂孔ヘルニアがある場合や、薬物療法と生活習慣改善で効果が得られない場合、若年で長期的な薬物療法を避けたい場合などには、腹腔鏡下噴門形成術などの手術療法が検討されます。手術により下部食道括約筋の機能を回復させ、逆流を防ぎます。

東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚の逆流性食道炎の手術のイラスト

逆流性食道炎の予防と再発防止|日常生活で気をつけること

逆流性食道炎は再発しやすい病気のため、薬物療法と並行して生活習慣の改善が非常に重要です。食生活、姿勢、体重管理など、日常生活のさまざまな側面で工夫することで、症状の改善と再発予防につながります。

食生活の改善

・食事内容と食べ方を見直すことで、胃酸の分泌を抑え、逆流を防ぐことができます。
・脂肪分の多い食事を控える:天ぷら、揚げ物、脂身の多い肉などは胃酸分泌を促進します
・タンパク質の過剰摂取を避ける:消化に時間がかかり、胃酸の逆流リスクが高まります
・刺激物を控える:唐辛子などの香辛料、酸味の強いもの、甘いものは症状を悪化させます
・食べ過ぎない:腹八分目を心がけ、ゆっくりよく噛んで食べましょう
・食後すぐに横にならない:食後2〜3時間は座位や立位を保ちましょう
・就寝前3時間は食事を避ける:夜遅い時間の食事は逆流リスクを高めます

嗜好品と逆流性食道炎の関係

喫煙は、タバコの主成分であるニコチンにより胃酸分泌が増加します。逆流した胃酸によって食道が直接傷つけられます。他にも平滑筋を弛緩(緩める)させるといわれており、胃酸を含む胃内容物が食道へ逆流するのを防ぐ胃液の逆流防止機構の一つである下部食道括約筋を弛緩させます。括約筋を弛緩されると、胃酸が食道に逆流します。禁煙は逆流性食道炎の治療において非常に重要です。

アルコールは下部食道括約筋を緩め、食道の蠕動運動を阻害するため、胃酸が逆流しやすく食道に留まりやすくなります。できるだけ控えることが推奨されます。炭酸飲料も胃の内圧を高めるため、避けた方がよいでしょう。

コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは胃酸分泌を促進するため、空腹時は避け、飲む場合は食後にしましょう。

姿勢と体重管理

肥満は腹圧を上昇させる主要な原因です。適度な運動習慣(ウォーキングなど)を取り入れて、適正体重を維持することが重要です。ただし、腹筋運動など腹圧がかかる運動は症状を悪化させることがあるため注意が必要です。

前かがみの姿勢や猫背は腹圧を上昇させます。デスクワークや畑仕事では、定期的に休憩を取り、正しい姿勢を心がけましょう。ベルトやガードル、コルセットなど腹部を強く締め付ける衣類も避けてください。

就寝時は、上半身を少し高くする(頭側を10〜15cm程度上げる)ことで、重力の作用により逆流を防ぐことができます。専用の枕やベッドの頭側を上げる工夫をするとよいでしょう。

便秘の解消

便秘があると腹圧が上昇し、逆流が起こりやすくなります。食物繊維を多く含む食品を摂取し、水分補給を心がけ、適度な運動を行うことで、便秘を改善しましょう。

逆流性食道炎についてよくある質問

Q1: 逆流性食道炎は完治しますか?
A: 薬物療法により症状は改善しますが、食道裂孔ヘルニアなど解剖学的な要因がある場合は根本的な治癒は難しく、再発しやすい病気です。生活習慣の改善と維持療法により、良好な状態を保つことが重要です。
Q2: 胃カメラは必ず必要ですか?
A: 症状が典型的な場合は試験的治療で様子を見ることもありますが、食道がんとの鑑別や重症度評価のため、少なくとも1回は内視鏡検査を受けることが推奨されます。
Q3: 薬はいつまで飲み続けるのですか?
A: 症状が改善した後も、再発予防のために維持療法として薬を継続することがあります。医師と相談しながら、症状や内視鏡所見に応じて治療方針を決定します。
Q4: ピロリ菌除菌後に症状が出ました。関係ありますか?
A: ピロリ菌除菌治療により胃酸分泌が回復し、一時的に逆流性食道炎の症状が出ることがあります。多くは軽度で一時的なものですが、症状が強い場合は医師に相談してください。
Q5: 市販薬で治療できますか?
A: 軽症の場合は市販のH2ブロッカーで症状が改善することもありますが、医療用の薬剤の方が効果が高く、食道がんなど他の病気との鑑別も必要です。症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

まとめ

逆流性食道炎は、適切な治療により症状をコントロールできる病気です。胸やけや呑酸などの症状がある場合は、早めに消化器内科を受診し、内視鏡検査を受けることが大切です。

薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることで、多くの患者さんで良好な予後が得られます。未治療の場合、生活の質が著しく低下することが報告されていますが、治療により健康な人と同程度まで回復することが知られています。

気になる症状がある方は、放置せずに専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

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東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚の診察風景

監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール

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