2026年4月03日
「帯状疱疹ワクチンは本当に打つべき?副作用は大丈夫?」
このように悩まれている方は非常に多いです。
結論から言うと、50歳以上の方は接種を検討する価値が高いワクチンです。
特に近年は予防効果の高い「シングリックス」というワクチンが登場し、帯状疱疹の発症や後遺症(神経痛)を大きく減らせるようになりました。
一方で、
「副作用が強いと聞いて不安」
「どのワクチンを選べばいいのかわからない」
といった疑問も多く聞かれます。
この記事では、消化器専門医の立場から
・本当に打つべきか
・副作用の実際
・ワクチンの違い
・費用や補助制度
まで、わかりやすく解説します。
帯状疱疹ワクチンは打つべき?
帯状疱疹は年齢とともに発症リスクが高くなり、特に50歳以降で急増します。
また、発症後に強い痛みが長期間続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」は生活の質を大きく低下させます。
そのため現在は、50歳以上の方にワクチン接種が推奨されています。

接種をおすすめする理由
・発症リスクを大幅に減らせる
・ 重症化・後遺症を予防できる
・ 高齢になるほどメリットが大きい
接種を特におすすめする人
・50歳以上の方
・ ストレスや疲労が多い方
・ 持病がある方(免疫低下)
参考文献:GSK-帯状疱疹後神経痛
副作用は大丈夫?帯状疱疹ワクチンの安全性
ワクチンで最も気になるのが副作用です。
結論としては、多くは軽度で一時的なものですが、種類によって差があります。
よくある副反応
・接種部位の痛み・腫れ
・ 発熱 倦怠感
・ 筋肉痛
シングリックスは副反応が強い?
シングリックスは効果が高い一方で、
局所の痛みや発熱が出やすい傾向があります。
ただし、多くは数日以内に改善します。
重い副作用(まれ)
アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)は非常にまれですが、可能性はゼロではありません。
ワクチンの種類|シングリックスと生ワクチンの違い
現在、日本で接種できる帯状疱疹ワクチンは大きく2種類あります。
効果・副作用・接種回数が大きく異なるため、自分に合った選択が重要です。

2種類の違いを一目で比較
| 項目 | 不活化ワクチン (シングリックス) |
生ワクチン (乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」) |
|---|---|---|
| ワクチンの種類 | 不活化ワクチン | 生ワクチン |
| 予防効果 | 高い | 比較的低め |
| 効果の持続 | 長い | 不活化ワクチンより短い |
| 接種回数 | 2回 | 1回 |
| 副反応 | 出やすい | 比較的少ない |
| 接種できる人 | 免疫が低下している方でも接種可能な場合がある | 免疫が低下している方には接種できない |
| 費用 | 高い | 比較的安い |
| 向いている方 | しっかり予防したい方 | 費用や副反応をできるだけ抑えたい方 |
不活化ワクチン(シングリックス)の特徴(現在の主流)
シングリックスは、現在もっとも推奨されている帯状疱疹ワクチンです。
・予防効果が非常に高い(約90%以上)
・帯状疱疹後神経痛(PHN)も強力に予防
・免疫が低下している方でも接種可能
一方で、
・接種部位の痛み:約70〜80%
・接種後の発熱:約10〜20%
👉 「副反応はやや強いが、それ以上に効果が高い」ワクチン
生ワクチン(ビケン)の特徴
従来から使用されているワクチンで、負担が少ないのが特徴です。
・接種は1回のみ
・副反応は比較的軽い
・費用が安い
ただし、
・予防効果は約50〜60%とやや低い
・免疫が低下している方は接種できない
👉 「手軽だが、効果は控えめ」な選択肢
副作用の違い
副作用はワクチン選びで最も気になるポイントです。

| 項目 | 不活化ワクチン (シングリックス) |
生ワクチン (乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」) |
|---|---|---|
| 接種部位の痛み | 出やすい | 比較的少ない |
| 発熱 | みられることがある | 比較的まれ |
| 倦怠感・筋肉痛 | 出やすい | 比較的少ない |
| 日常生活への影響 | 数日ほどつらく感じることがある | 大きな影響は比較的少ない |
| 全体の特徴 | 副反応はやや出やすいが、予防効果が高い | 副反応は比較的軽いが、予防効果は不活化ワクチンに劣る |
帯状疱疹ワクチンの効果|どれくらい予防できる?
①発症予防効果
不活化ワクチン:50〜59歳で約97%、60〜69歳で約97%、70歳以上でも約91%という非常に高い予防効果が報告されています。
生ワクチン:50〜59歳で約70%、60歳以上で約50〜60%。
②帯状疱疹後神経痛(PHN)の予防効果
帯状疱疹後神経痛とは、皮疹が治った後も長期間続く神経の痛みです。高齢になるほど発症しやすく、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
不活化ワクチン:PHNの発症を約89〜91%抑制
生ワクチン:PHNの発症を約65〜67%抑制
効果はいつから?接種後どれくらいで出る?
シングリックスは2回目の接種完了から約1〜2ヶ月後に免疫が安定するとされています。生ワクチンは接種後約2〜6週間で効果が現れ始めます。
③効果の持続期間
約10年程度持続すると報告されています。
参考文献:① Oxman MN, et al.; Shingles Prevention Study Group. A vaccine to prevent herpes zoster and postherpetic neuralgia in older adults. N Engl J Med. 2005;352(22):2271-2284. DOI: 10.1056/NEJMoa051016
② Lal H, et al.; ZOE-50 Study Group. Efficacy of an adjuvanted herpes zoster subunit vaccine in older adults. N Engl J Med. 2015;372(22):2087-2096. DOI: 10.1056/NEJMoa1501184
費用・回数・補助制度について
帯状疱疹ワクチンは種類によって費用が大きく異なります。
特にシングリックスは2回接種が必要なため合計費用は高くなりますが、その分、発症予防効果が高いのが特徴です。
一方、生ワクチンは1回で接種でき、費用を抑えられる点がメリットです。
それぞれの特徴を理解したうえで、ご自身に合ったワクチンを選ぶことが大切です。
| ワクチン | 1回あたりの費用 | 合計費用 |
|---|---|---|
| シングリックス (不活化ワクチン) |
約20,000〜22,000円 | 約40,000〜44,000円(2回分) |
| 生ワクチン | 約8,000〜10,000円 | 約8,000〜10,000円(1回分) |
※費用は医療機関によって異なります。
補助制度
2024年4月より、帯状疱疹ワクチンが定期接種(B類疾病)に追加されました。対象年齢の方は、自治体の補助を受けることで費用の一部または全額が公費負担となります。
定期接種の対象年齢(全国共通)
・65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳(各年齢の誕生日を迎えた方)
接種の流れ

STEP 1:医療機関に予約する
かかりつけ医や、帯状疱疹ワクチンを取り扱っているクリニックに電話またはWeb予約をしてください。事前にワクチンの在庫確認もしておくとスムーズです。
STEP 2:問診・診察
当日は問診票に記入し、医師による診察を受けます。服用中の薬・アレルギー・体調などを正直にお伝えください。
STEP 3:接種
上腕(二の腕)の皮下または筋肉内に注射します。所要時間は5〜10分程度です。
STEP 4:接種後の経過観察
接種後15〜30分はクリニック内で待機していただきます。アナフィラキシーなどの急激な副反応が出ないかを確認するためです。
STEP 5:2回目の接種(シングリックスの場合)
シングリックスは2回接種が必要です。1回目の接種から2ヶ月後(目安)に2回目を接種します。なるべく同じ医療機関での接種をおすすめします。
帯状疱疹とはどんな病気?
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じ**水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)**が原因で起こります。子どものころに水ぼうそうを経験した人のウイルスは、治癒後も神経節に潜伏し続けます。
加齢・過労・ストレス・病気などで免疫力が低下したとき、潜伏していたウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症します。
主な症状
・初期症状:体の片側(胸・背中・顔・腰など)にピリピリ・ズキズキとした痛み
・数日後:赤い斑点・水ぶくれが帯状に出現
・約2〜4週間後:水ぶくれがかさぶたになり治癒
合併症
皮膚症状は治まっても、神経の痛みだけが長期間残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」に移行するケースがあります。
日本での発症率
日本人の約3人に1人が生涯に一度は帯状疱疹を発症すると言われています。年間発症者は約60〜70万人にのぼります。
よくある質問(FAQ)
帯状疱疹ワクチンは打ったほうがいいですか?
50歳以上の方には接種が推奨されています。
特に、帯状疱疹後神経痛(長引く痛み)を予防できる点が大きなメリットです。
不活化ワクチンと生ワクチンはどちらがいいですか?
予防効果を重視する場合はシングリックスが推奨されます。
一方、副反応や費用を抑えたい場合は生ワクチンも選択肢になります。
帯状疱疹ワクチンの接種回数は1回だけでも効果はありますか?
不活化ワクチン(シングリックス)は2回接種で十分な効果が得られます。
1回のみでは効果が不十分とされています。
費用はどれくらいかかりますか?
シングリックスは2回で約4〜5万円、
生ワクチンは1回で約1万円前後が目安です。
ワクチン接種は予約が必要ですか?
多くの医療機関で事前予約が必要です。
在庫状況や接種スケジュールの調整のため、事前の確認をおすすめします。
まとめ
帯状疱疹ワクチンは、
特に50歳以上の方にとって有効な予防手段です。
副作用は一定程度ありますが、
それ以上に「発症予防・後遺症予防」という大きなメリットがあります。
迷っている方は、一度医師にご相談ください。

記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
消化器がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール