2026年2月13日
「最近おならが多い」「以前よりよく出る気がする」——そんな変化に気づいていませんか。おならは誰にでもある自然な現象ですが、急に回数が増えたり、お腹の張りや便通の変化を伴う場合は注意が必要です。多くは腸内環境や生活習慣が関係していますが、まれに病気が隠れていることもあります。この記事では、おならが多くなる原因、考えられる病気、そして減らすための具体的な対策を整理します。

おならは1日何回が正常?多いと感じる基準
成人のおならの回数は、1日10〜20回程度が一般的とされています。ガスの量にすると約0.6〜1.7リットルほどで、食事内容や腸内での発酵の程度によって変動します。
腸の中では常にガスが作られており、その主な成分は窒素や二酸化炭素、水素、メタンなどです。これらはほぼ無臭で、健康な人でも自然に発生しています。
そのため、1日20回前後であれば通常は異常とはいえません。
重要なのは回数そのものよりも、次のような変化があるかどうかです。
- ・以前より明らかに回数が増えた
- ・強い腹部の張りを伴う
- ・便秘や下痢など便通が変わった
- ・体重減少や血便がある
こうした症状がある場合は、単なる生理現象ではなく、背景に原因が隠れている可能性があります。
おならが多い原因|腸内環境・便秘との関係
おならは、①飲み込んだ空気と、②腸内細菌が食べ物を分解する際に生じるガスから成り立っています。どちらか、あるいは両方が増えると、放屁の回数も増加します。

飲み込んだ空気(呑気)
食事中の早食い、会話、ガム、炭酸飲料などによって空気は自然に体内へ入ります。この空気は一部が胃から腸へ送られ、最終的におならとして排出されます。無意識に空気を多く飲み込む状態を「呑気症」と呼び、ガスが増える原因になります。
腸内細菌とガス産生
腸内には多様な細菌が共存し、食物を発酵させる過程で水素やメタンなどのガスが発生します。食生活の乱れやストレスが続くと腸内環境が乱れ、ガス産生が増えることがあります。
便秘との関係
便秘になると、便が腸内に長時間とどまり、発酵や分解が進みます。その結果、ガスの量が増え、お腹の張りや放屁の増加につながります。
においが変わる理由
ガスの主成分は無臭ですが、腸内でたんぱく質が分解されると、硫化水素などの成分が加わり、においが強くなることがあります。回数だけでなく、急なにおいの変化も体のサインの一つです。
おならが増えやすい生活習慣と食事
食事内容はガス量に大きく影響します。
ガスが増えやすい食品
- ・豆類
- ・玉ねぎ
- ・小麦製品
- ・乳製品(乳糖不耐症の場合)
- ・人工甘味料

これらは**FODMAP(発酵性糖質)**を多く含み、腸内発酵を促進します。
また、
・早食い
・炭酸飲料
・過度なストレス
もガス増加の原因になります。
おならが多いときに疑われる病気
生活習慣を見直しても改善しない場合や、腹痛・下痢・便秘・体重減少などを伴う場合は、次のような疾患が背景にあることがあります。
| 疾患名 | 主な特徴 |
|---|---|
| 過敏性腸症候群(IBS) | 腹痛と便通異常を繰り返し、ガスや腹部膨満感が目立つ |
| 乳糖不耐症 | 乳製品摂取後に下痢や放屁が増える |
| SIBO | 食後の強い膨満感やガス増加 |
| 炎症性腸疾患 | 血便や慢性的な下痢を伴う |
| 大腸がん | 便通の変化、血便、体重減少など |
血便、急な体重減少、強い腹痛が続く場合は早めの受診が必要です。おならの増加だけで大腸がんが疑われることは多くありませんが、症状の変化がある場合は検査で確認することが大切です。
おならを減らす具体的な対策
おならの増加は、生活習慣の見直しで改善することが少なくありません。まずは日常生活の中でできる工夫を取り入れ、それでも改善しない場合は医療的な対応を検討します。
今日からできるセルフケア
日常の小さな習慣の積み重ねが、腸内環境の安定につながります。
- ゆっくり食べる —— 1口30回を目安に噛むことで、空気の飲み込みを減らせます。
- 発酵食品を適量取り入れる —— ヨーグルトや味噌などを継続的に摂ることで腸内環境の安定が期待できます。
- 水溶性食物繊維を意識する —— 海藻類やオクラなどは腸内細菌のエサとなり、腸内発酵のバランスを整えます。
- 適度な運動 —— 1日30分程度の歩行は腸の蠕動運動を促します。
- ストレス管理 —— 睡眠不足や緊張状態は腸の働きに影響します。
医療的なアプローチ
生活習慣を整えても改善しない場合は、原因を医学的に評価することが重要です。
- ・整腸剤や便秘治療薬の処方
- ・低FODMAP食の指導
- ・必要に応じた血液検査や大腸内視鏡検査
受診の目安
次のような症状を伴う場合は、早めの受診が勧められます。

- ・回数の増加が2週間以上続く
- ・腹痛、下痢、便秘、血便を伴う
- ・体重減少や強い倦怠感がある
- ・市販薬で改善しない
おならの増加そのものが重大な病気であることは多くありません。しかし、症状の変化を放置せず、必要に応じて検査で確認することが大切です。
おならの増加だけで大腸がんが疑われることは多くありません。しかし、便通の変化や血便、体重減少などを伴う場合には、原因を確認するための検査が必要になることがあります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、腸の状態を直接確認できる最も確実な方法です。不安な症状がある場合は、早めに専門医へ相談することが安心につながります。


監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール