
おなら(異常に多い・においが強い)
おなら(異常に多い・においが強い)
「最近、おならの回数が多い気がする」「においがいつもと違って、異常に臭い気がする」──そんなお悩み、誰にでも一度はあるかもしれません。でも、それがずっと続いていたり、においが我慢できないほど強烈だったりすると、「これってどこか悪いのかな?」と不安になりますよね。
おならは単なる生理現象の一つ。でも、おならの変化は胃腸の健康状態を映し出す“鏡”のような存在でもあるのです。今回は、おならが続く原因やその背景にある病気、そして必要な検査について、医療の視点からやさしく解説します。
まず最初に知っておいてほしいのは、おならが出るのは誰でも当たり前という事です。
私たちの腸の中では、食べた物を消化・吸収する際にガスが発生します。それが肛門から出ていくのが“おなら”。ですので、おならが出る事自体は正常な生理現象なのです。
ですが、「最近とにかく回数が増えている」「音やにおいが気になる」「家族にも指摘される」──そんなときは、食事内容や生活習慣、さらには体の内部に原因が潜んでいる可能性があります。
おならが増える・臭くなる一番多い原因は、実は日々の食生活です。特に以下のような食べ物は、腸内でガスを発生させやすく、おならの原因になりやすい事で知られています。
腸内で発酵しやすく、ガスの発生源になりやすい食品です。
食物繊維や硫黄成分を多く含み、おならのにおいを強くします。
飲み物自体にガスが含まれているため、飲みすぎるとお腹が張りやすくなります。
乳糖を分解しにくい体質(乳糖不耐症)の方では、腸内で発酵しガスが発生します。
動物性たんぱく質が腸内で腐敗すると、硫化水素などの悪臭ガスを発生させます。
消化に時間がかかり、腸内環境を乱す原因になる事があります。
このような食べ物を多く摂る事で、おならのにおいがきつくなったり、回数が増えたりするのです。
もちろん、体に悪いというわけではありません。あくまで「摂りすぎ」や「腸内環境との相性」が関係しているため、バランスの良い食生活が大切です。
おならの原因が食事にある場合、一時的なもので済む事がほとんどです。
しかし、「気をつけているのに続く」「明らかにおかしい」と感じるときは、胃や腸の病気が隠れている可能性があります。ここからは、「おならが臭い」「おならが続く」場合に考えられる代表的な病気についてご紹介します。
ストレス、不規則な生活、偏った食事などが原因で腸内環境が乱れると、善玉菌よりも悪玉菌が増えます。悪玉菌が作り出すガスは、特ににおいがきついのが特徴です。便秘や下痢を繰り返している方は注意が必要です。
「ガス型IBS」と呼ばれるタイプでは、腸にガスがたまりやすく、頻繁なおならや膨満感が主な症状となります。精神的なストレスが発症の引き金になる事も多く、若い方にも多い疾患です。
本来あまり細菌のいないはずの小腸に、細菌が異常に増えてしまう病気です。腸内での発酵が過剰になり、大量のガスや悪臭を伴うおならが発生します。栄養の吸収が悪くなる事もあるため、慢性疲労や体重減少を伴う事も。
「おならが臭い」「排便習慣が変わった」「血便がある」などの症状がある場合は、大腸にポリープや腫瘍がある可能性も否定できません。腸内で異常な発酵が進み、ガスが発生しやすくなる事があります。
「おなら=腸の問題」と思われがちですが、実は胃の調子も深く関係しています。胃酸の分泌がうまくいかないと、食べ物の消化が不十分なまま腸に送られ、そこで過剰に発酵してしまいます。
胃もたれ、げっぷ、食欲不振などがある方は、胃の不調が原因で腸にも影響を及ぼしている可能性があります。そのため、胃と腸の両方をしっかり診る事が大切です。
「おならが続く」「においが強烈」といった症状が長引く場合、最終的に内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)をおすすめします。
内視鏡検査では、胃や大腸の粘膜を直接観察する事ができ、
といった点をしっかり確認できます。症状が軽くても、「何もなければ安心」「早期に見つかれば対処が早い」──その意味でも、検査は非常に有効です。
おならの変化は、ちょっとした事のようでいて、実は体からの大切なサインです。食事の内容や生活習慣を見直しても改善しないときは、自己判断せずに医師に相談してみてください。
そして、必要に応じて内視鏡検査を受ける事で、原因を明らかにし、安心を得る事ができます。
「おならだから大丈夫」と放置せず、「最近いつもと違うな」と感じたら、それが胃腸の不調の始まりかもしれません。
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