2026年2月02日
空腹時に胃がキリキリ痛む症状は、
胃炎や胃・十二指腸潰瘍などが原因のことが多く、
放置すると悪化する場合があります。
特に「食事をすると一時的に楽になる胃痛」は、
消化器の病気が隠れているサインかもしれません。
この記事では、空腹時に胃が痛くなる原因から、
自宅でできる対処法、受診の目安まで医師が解説します。
空腹時になぜ胃が痛くなるのか?

空腹時の胃痛の多くは、胃酸の過剰分泌が関係しています。
通常、胃は食べ物を消化するために胃酸を分泌しますが、空腹状態が長く続くと、胃の中に食べ物がないにもかかわらず胃酸が分泌され続けます。この胃酸が胃の粘膜を直接刺激することで、痛みやキリキリとした不快感が生じるのです。
特に以下のような時間帯に症状が出やすいのが特徴です:
・早朝(起床時): 夕食から時間が経ち、胃が空の状態
・食事と食事の間: 昼食前や夕方など、空腹を感じる時間帯
・深夜: 夕食後から時間が経過し、胃酸が過剰に分泌される
また、空腹時の胃痛は「食事をすると一時的に楽になる」という特徴があります。これは、食べ物が胃酸を中和し、胃の粘膜への刺激が和らぐためです。
空腹時の胃痛で考えられる病気
空腹時に胃が痛む場合、以下のような疾患が考えられます。
1. 胃・十二指腸潰瘍
空腹時の胃痛で最も多い原因です。胃酸によって胃や十二指腸の粘膜が傷つき、えぐれた状態(潰瘍)ができています。
主な症状
- 空腹時のみぞおち周辺の痛み(キリキリ、ズキズキ)
- 食事をすると一時的に痛みが和らぐ
- 胸やけ、げっぷが多い
- 黒色便(タール便)が出ることも
原因
- ピロリ菌感染(約60-70%)
- 痛み止め(NSAIDs)の長期服用
- ストレス
- 喫煙、過度の飲酒
放置すると出血や穿孔(胃に穴が開く)など、命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、早期の治療が重要です。
2. 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
胃の粘膜に慢性的な炎症が続いている状態です。日本人の約50%がピロリ菌に感染しており、その多くが慢性胃炎を発症していると言われています。
主な症状
- 空腹時の鈍い胃痛
- 食後の膨満感
- 食欲不振
- 胃もたれ
長期間放置すると、胃がんのリスクが高まることがあるため、定期的な検査が推奨されます。
3. 機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)
内視鏡検査などで明らかな異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な胃の症状が続く状態です。日本人の約10-20%が該当すると言われています。
主な症状
- 食後の膨満感、早期満腹感
- みぞおちの痛みや灼熱感
- 胃もたれ
原因
- 胃の運動機能低下
- 内臓知覚過敏
- ストレス、不安
- 生活習慣の乱れ
4. 逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。
主な症状
- 胸やけ
- 空腹時の胃痛
- 酸っぱいものが上がってくる感じ
- 喉の違和感
5. 胃がん(初期)
初期の胃がんでは、慢性胃炎や胃潰瘍と似た症状が現れることがあります。
注意すべき症状
- 症状が徐々に悪化する
- 体重減少
- 食欲不振が続く
- 黒色便
40歳以上で空腹時の胃痛が続く場合は、一度胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
空腹時に胃痛の症状がでたときの対処法
空腹時に胃が痛くなったら、以下の方法を試してみましょう。
消化の良いものを少量食べる
最も効果的な対処法は、何か食べることです。食べ物が胃酸を中和し、痛みを和らげてくれます。
おすすめの食べ物
– おかゆ、うどん
– バナナ
– ヨーグルト
– 白身魚
– 温かいスープ
避けるべき食べ物
– 揚げ物、脂っこいもの
– 辛いもの、刺激の強い香辛料
– コーヒー、炭酸飲料
– アルコール
– 酸味の強い果物(柑橘類など)
温める
胃の周りを温めることで、血行が良くなり痛みが和らぐことがあります。
- 使い捨てカイロを服の上から当てる
- 温かいお茶をゆっくり飲む
- 入浴して体を温める
正しい姿勢で休む
痛みが強いときは、以下の姿勢で休みましょう。
- 右側を下にして横になる: 胃の出口が右側にあるため、消化を助けます
- 上体を少し起こす: 胃酸の逆流を防ぎます
- 膝を軽く曲げる: 腹部の緊張を和らげます
ストレスを和らげる
ストレスは胃酸の分泌を増やします。
- 深呼吸をする
- 好きな音楽を聴く
- 散歩などの軽い運動をする
- 十分な睡眠をとる
空腹時に胃痛が出現したときに病院を受診すべきサイン
以下のような症状がある場合は、早めに消化器内科を受診してください。
激しい痛みが続く: 日常生活ができないほどの強い痛み
– 黒色便(タール便): 胃や十二指腸からの出血の可能性
– 吐血: コーヒーのかすのような黒い嘔吐物
– 冷や汗、顔面蒼白: 大量出血のサイン
– 突然の激痛: 穿孔(胃に穴が開く)の可能性
クリニックで行う検査

空腹時の胃痛が続く場合は、まず問診で症状の出る時間帯(空腹時・夜間など)や、
服用中の薬(痛み止めなど)、生活習慣を確認します。
必要に応じて、原因を正確に調べるために内視鏡検査(胃カメラ)を行います。
胃炎や胃・十二指腸潰瘍の有無を直接確認でき、必要があればピロリ菌検査も同時に行えます。
また、症状や所見に応じて血液検査(貧血の有無など)を行うことがあります。
腹部超音波やCTは、他の病気が疑われる場合に追加で行います。
空腹時の胃痛を予防する生活習慣
日常生活を見直すことで、空腹時の胃痛を予防できることがあります。
食事のポイント
規則正しい食事時間を守る – 1日3食、決まった時間に食事をとる – 朝食を抜かない(空腹時間が長くなると胃酸が過剰に) – 夕食は就寝の3時間前までに済ませる
食事の内容に気をつける – よく噛んでゆっくり食べる(1口30回が目安) – 腹八分目を心がける – 刺激の強い食べ物は控える(辛いもの、酸味の強いもの) – 消化の良い食材を選ぶ(白身魚、豆腐、卵など)
空腹時間が長くなる場合 – 間食で小さなおにぎりやビスケットを食べる – 低脂肪の牛乳やヨーグルトを飲む – 食事の回数を増やし、1回の量を減らす(1日4-5回の分食)
生活習慣の改善
ストレス管理 – ストレスは胃酸分泌を増やし、胃の粘膜を弱めます。 – 十分な睡眠(7-8時間)をとる – 適度な運動習慣をつける(週2-3回、30分程度) – リラックスできる時間を作る – 趣味や好きなことをする時間を持つ
避けるべき習慣 – 喫煙(胃の血流を悪化させる) – 過度の飲酒(胃粘膜を傷つける) – カフェインの摂りすぎ(胃酸分泌を促進) – 痛み止め(NSAIDs)の長期服用 就寝時の工夫 – 枕を高めにして、上体をやや起こして寝る – 就寝前の食事を避ける – 夜食や深夜の間食を控える – 寝る前のアルコールを避ける
よくある質問(Q&A)
Q1. 空腹時の胃痛はすぐに病院に行くべきですか?
痛みが軽く、数日で治まる場合は様子を見ても構いません。ただし、1週間以上続く場合や、痛みが徐々に強くなる場合は、必ず受診してください。 特に40歳以上の方は、一度胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
Q2. 空腹時に胃が痛い時に食事をすると痛みが治まることがあるのはなぜですか?
食べ物が胃酸を中和するためです。これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍の典型的な症状で、「空腹時痛」と呼ばれています。 このような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
Q3. 空腹時に胃痛が続くときに市販の胃薬はどれくらい飲んでいいですか?
市販薬は一時的な対処に留め、症状が1週間以上続く場合は服用を中止し、医師の診察を受けてください。 市販薬で症状を抑え続けることで、重大な病気の発見が遅れる可能性があります。
Q4. ストレスで胃が痛くなることはありますか?
はい、ストレスは胃酸の分泌を増やし、胃の血流を悪化させるため、胃痛の原因になります。 機能性ディスペプシアの多くはストレスが関与しています。
Q5. ピロリ菌の除菌は必要ですか?
ピロリ菌に感染している場合、除菌治療を受けることを強くおすすめします。 除菌により胃潰瘍の再発率が大幅に下がり、将来的な胃がんのリスクも減少します。
まとめ
空腹時に胃痛が出現するかたは、早めに消化器内科を受診し、内視鏡検査を受けることが大切です。
薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせることで、多くの患者さんで良好な予後が得られます。
気になる症状がある方は、放置せずに専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
東京都豊島区「おなかおしりのクリニック 東京大塚」では、経験豊富な消化器病認定専門医が、丁寧な診察と的確な診断で、患者様一人ひとりに寄り添った最適な治療を提供いたします。
空腹時に胃痛の症状が出てお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール