2026年1月29日
肛門周辺や性器にイボができた場合、尖圭コンジローマの可能性があります。この疾患はヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症で、痛みやかゆみがほとんどないため気づきにくいのが特徴です。この記事では、尖圭コンジローマの症状、感染経路、診断方法、治療法について専門医が詳しく解説します。
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の6型・11型が主な原因で発症する性感染症です。「尖圭(せんけい)」とは「先が尖っている」という意味で、性器や肛門周辺にイボ状のできものが現れます。
HPVには100種類以上の型がありますが、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型は低リスク型に分類され、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPV(16型・18型)とは異なります。性行為によって感染し、男女ともに発症します。症状が出ない無症候性感染者も多く、知らない間にパートナーに感染させてしまうこともあります。
主な症状とセルフチェック
尖圭コンジローマの典型的な症状は、性器や肛門周辺にできる小さなイボです。初期は1〜3mm程度の先が尖った形状ですが、進行すると数が増え、カリフラワー状に成長します。色は白、ピンク、赤、褐色とさまざまです。
男性の発症部位
- 亀頭(カリ首周辺)
- 包皮の内側
- 陰茎
- 陰嚢
- 肛門周辺・尿道内
女性の発症部位
- 大陰唇・小陰唇
- 膣前庭
- 膣内・子宮頸部
- 会陰・肛門周辺
女性の場合、膣内や子宮頸部に発症すると外から確認できないため、発見が遅れるケースがあります。オーラルセックスにより口腔内や咽頭に感染することもあり、口内炎と間違われることもありますが、尖圭コンジローマのイボには痛みがない点で区別できます。
こんな症状があったら要注意
- イボの表面がザラザラしている
- 複数のイボが集まっている
- 徐々にサイズが大きくなっている
- 痛みやかゆみはほとんどない
HPVの感染原因と潜伏期間
尖圭コンジローマの主な感染経路は性行為(膣性交・肛門性交・オーラルセックス)です。性器同士の接触だけでなく、皮膚や粘膜の小さな傷からウイルスが侵入します。コンドームを使用していても、カバーされない部分からの感染リスクがあるため、完全な予防は困難です。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は平均2〜3ヶ月ですが、早ければ3週間、長い場合は8ヶ月かかることもあります。この長い潜伏期間のため、「いつ」「誰から」感染したのかを特定することは非常に難しく、新たに診断されても最近のパートナーが原因とは限りません。
また、出産時の産道感染により新生児の咽頭や呼吸器にイボができる「多発性咽頭乳頭腫」を発症するリスクもあります。まれにタオルや下着の共有による間接感染の報告例もあります。
感染しやすい人の特徴
・複数の性的パートナーがいる
・免疫力が低下している(糖尿病、HIV感染、がん治療中など)
・喫煙している(1日の本数が多いほどリスク上昇)
・免疫抑制剤を服用している
診断と似た症状の見分け方
尖圭コンジローマの診断は、主に視診(目視での確認)と問診(性行為歴の確認)で行います。イボの形状、色、発症部位から判断しますが、似た症状を持つ他の疾患と区別することが重要です。
尖圭コンジローマと間違えやすい症状
| 症状名 | 特徴 | 感染性 |
|---|---|---|
| フォアダイス | 黄白色の粒状、表面が滑らか | なし(生理現象) |
| 真珠様陰茎小丘疹 | 白色のイボが真珠のように一列に並ぶ | なし(生理現象) |
| 包皮腺(タイソン腺) | 白色の細長い形状、左右対称 | なし(皮脂腺の膨張) |
| 尖圭コンジローマ | 表面がザラザラ、不規則な配置 | あり(HPV感染) |
これらは尖圭コンジローマと見た目が似ていますが、健康な方でも見られる生理的な現象です。フォアダイスは皮脂腺が目立っているもので、陰茎や陰嚢に黄白色の小さな粒として現れます。真珠様陰茎小丘疹は亀頭の周辺に真珠のように並ぶ小さな突起です。包皮腺(タイソン腺)は包皮小帯(裏筋)の周辺にある皮脂腺が膨らんだものです。いずれも性感染症ではなく、他人に感染することはありません。
遺伝子診断法(HPV DNA検査)もありますが、尖圭コンジローマでは保険適用外です。ヘルペスや梅毒の初期症状でもイボが出ることがあるため、専門医による正確な診断が必要です。自己判断せず、泌尿器科(男性)・婦人科(女性)を受診しましょう。
治療方法と再発予防
尖圭コンジローマの治療は、表面のイボを除去することが中心です。ウイルス自体を完全に排除することは現在の医療では困難で、体内に潜伏したウイルスが再び活性化して再発することがあります。
主な治療法
1. 液体窒素による凍結療法
- イボを-196℃で凍結させて壊死させる
- 1〜2週間ごとに繰り返し(数回〜10回以上)
- 保険適用、痛みは数秒程度
2. 電気焼灼療法
- 電気メスでイボを焼き切る
- 局所麻酔を使用
- 1回で複数のイボを処置可能
3. 薬物療法(イミキモドクリーム)
- 免疫を高めてウイルスの増殖を抑制
- 夜寝る前に塗布し、朝洗い流す(1日おき)
- 赤みやただれなどの副作用に注意
4. レーザー蒸散
- 炭酸ガスレーザーで焼灼
- 出血が少なく傷跡が残りにくい
- 自費診療の場合が多い
再発予防のポイント
- 治療後3ヶ月は定期的に経過観察
- 性行為は治療完了まで控える
- パートナーも同時に検査・治療を受ける
- 免疫力を維持する(十分な睡眠・禁煙)
予防とワクチン接種
尖圭コンジローマの最も効果的な予防法は、HPVワクチンの接種です。性行為の経験がない段階でワクチンを接種することで、高い予防効果が期待できます。
HPVワクチンの種類
| ワクチン名 | 予防できるHPV型 | 対象 |
|---|---|---|
| ガーダシル(4価) | 6・11型(尖圭コンジローマ) 16・18型(子宮頸がん) |
男女とも接種可能 |
| シルガード9(9価) | 上記+31・33・45・52・58型 | 現在は女性のみ |
小学6年生〜高校1年生の女性は定期接種(公費)の対象です。男性は任意接種(自費)となりますが、咽頭がん予防のためにも推奨されます。すでに感染している型には効果がありませんが、他の型への予防効果は維持されます。
その他の予防法
- コンドームの正しい使用(完全な予防は困難だが一定の効果)
- 複数のパートナーとの性行為を避ける
- パートナーに症状がある場合は性行為を控える
よくある質問
まとめ
尖圭コンジローマは性器や肛門周辺にイボができる性感染症で、HPV6型・11型が原因です。痛みやかゆみが少ないため気づきにくく、放置すると増殖・巨大化します。治療法には液体窒素、電気焼灼、薬物療法などがありますが、再発率が高いため定期的な経過観察が重要です。
性器にイボのような症状がある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。
受診科目
男性:肛門科・泌尿器科・皮膚科
女性:肛門科・婦人科
東京都豊島区「おなかおしりのクリニック 東京大塚」では、経験豊富な日本大腸肛門病学会認定専門医が、丁寧な診察と的確な診断で、患者様一人ひとりに寄り添った最適な治療を提供いたします。
肛門周囲のいぼや尖圭コンジローマでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール

