
生魚を食べた後の急な腹痛(アニサキス)
生魚を食べた後の急な腹痛(アニサキス)
突然ですが、お刺身やお寿司を食べた直後、急にお腹が痛くなった事はありませんか?
「お腹の中が刺されるように痛い」「夜中に激痛で目が覚めた」…そんな症状がある場合、アニサキスという寄生虫が原因の可能性があります。最近ではスーパーや飲食店でも「アニサキス注意」
といった注意書きを見かける事が増えてきました。それだけ身近になってきたという事ですね。
今回は、アニサキスが原因と思われる腹痛が起きたときの自宅での対処法や、どのタイミングで胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を受けるべきかについて、患者様向けにわかりやすくお話ししたいと思います。
アニサキス症に関しまして、下記医療コラムをご参照ください。
医療コラム アニサキス症とは?胃の激痛に要注意|原因・症状・治療・予防を医師が解説
アニサキスとは、線虫の一種で身近な海の魚介類に寄生していることが多くなっています。これらの魚を生や半生で食べた後に、胃や腸の壁に潜り込もうとする事で激しい腹痛を引き起こす事があります。体長はおよそ2~3cmで、透明な糸くずのような姿をしており、肉眼でも確認できます。ただし、魚の筋肉内に入り込んでいる場合は見つけにくく、気づかずに食べてしまうことがあります。アニサキスは人の体内で成長・繁殖できないため、寄生し続けることはなく、通常は1週間ほどで自然に死滅します。
アニサキスによる腹痛は、いわゆる「食あたり」や「ウイルス性胃腸炎」とは性質が異なり、鋭く強い痛みが特徴です。
生魚を食べてから1時間以内に発症するケースもあれば、6〜12時間後に痛みが出るケースもあります。早ければ食後30分〜1時間で「みぞおち」にズキッとした痛みを感じはじめる方もいます。
この痛みは「胃アニサキス症」と呼ばれ、アニサキスが胃壁に食い込もうとする事で起こる局所炎症反応が主な原因です。
アニサキスが腸に達すると、「腸アニサキス症」として下腹部の痛み、張り感、腸閉塞に似た症状に変化する事もあります。
また、胃の痛みが軽くなったあとに、腸のほうへ移動して再び痛みが出るというパターンもありますので、「一度おさまったから大丈夫」とは言い切れません。
「生魚を食べた直後」「夜間に痛みが急に出た」「胃がキリキリ痛む」などのキーワードに当てはまる場合は、アニサキス症を強く疑ってください。
「病院がすぐに開いていない」「救急に行くべきか迷う」といったとき、自宅で少しでも症状を和らげるためにできる事を整理しておきましょう。
アニサキス症が疑われる場合、最も確実なのが胃カメラ(胃内視鏡検査)です。
我慢すれば治るケースもありますが、症状が6時間以上続く場合や、食事が取れない・嘔吐が続く・全身症状があるなどのときは、できるだけ早く医療機関を受診し胃カメラ検査を受けましょう。
アニサキス感染が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。診断がついた際には、内視鏡を使ってアニサキスの幼虫を直接除去する治療が一般的に行われます。
内視鏡による除去が難しいケースでは、症状を和らげるための薬物療法が選択されます。具体的には、痛みを抑える薬や抗アレルギー薬などが処方されることがあります。また、自然に症状が軽快する場合もありますが、その場合は改善までに1週間以上かかることもあります。
・胃アニサキス症の標準治療
・内視鏡で虫体を摘出すると即座に痛みが消えることが多いです
・緊急内視鏡が必要な場合が多いです
・腸アニサキス症は摘出困難
・痛み止め(NSAIDsなど)投与
・腸閉塞がひどいときは、絶食・輸液管理
・アニサキスは人の体内で長期生存できず、1週間程度で死滅する。
・多くの場合、自然排出を待つ
「様子を見る」だけでは対応が遅れ、症状が悪化する事もあります。
「内視鏡検査(胃カメラ)を受けるのは不安…」と思われるかもしれませんが、確実な診断と即時治療ができる非常に有効な手段です。お腹の痛みがある方、生魚を食べて心配な方は、早めにご相談ください。
TOP