2025年11月30日

いぼ痔(痔核)は、肛門周囲の血管が腫れてイボ状になる病気で、成人の約半数が一生のうちに一度は経験するといわれています。「恥ずかしくて病院に行けない」「市販薬で治るのか知りたい」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大腸肛門外科専門医が、いぼ痔の症状や原因から最新の治療法、自宅でできる対処法まで、医学的根拠に基づいて分かりやすく解説します。「いつ病院に行くべきか」「どんな治療があるのか」といった疑問にも、具体的にお答えしていきます。

いぼ痔(痔核)とは?内痔核・外痔核の違いをやさしく解説
いぼ痔は、医学的には「痔核(じかく)」と呼ばれ、肛門周囲の静脈がうっ血して腫れ上がり、イボ状の塊ができる病気です。便秘やいきみによって肛門に負担がかかると、血流が滞り、血管が膨らんで痔核が形成されます。
痔核は発生する場所によって「内痔核」と「外痔核」の2種類に分類されます。この2つは症状や治療法が大きく異なるため、正しく理解することが重要です。

| 項目 | 内痔核 | 外痔核 (血栓性外痔核) |
|---|---|---|
| 発生場所 | 歯状線より内側(直腸側) | 歯状線より外側(肛門皮膚側) |
| 主な症状 | 出血、脱出(イボが外に出る) | 痛み、腫れ、しこり |
| 痛みの有無 | 通常は痛みがない(神経が少ない) | 強い痛みを伴うことが多い |
| 出血の特徴 | 鮮紅色の出血が多い | 出血は比較的少ない |
| 見た目 | 排便時に赤いイボが出ることがある | 肛門周囲に青紫色の腫れやしこり |
歯状線とは?痛みの有無を決める重要なライン
歯状線(しじょうせん)は、肛門と直腸の境界にあるギザギザした線で、「痛い痔」と「痛くない痔」を分ける重要な境界線です。
この歯状線を境に、神経の種類がまったく異なります。
歯状線より内側(直腸)
痛みを感じる神経がほとんどない
痛みが出にくい
歯状線より外側(肛門)
痛みを感じる神経が非常に豊富
(血栓性外痔核)
強い痛みを伴う
歯状線より内側には痛みを脳に伝える神経がほとんどなく、一方で外側には知覚神経が密集しています。これは肛門が外界と接する場所であり、異物や傷を素早く察知するための体の防御機能です。
内痔核と外痔核が同時に存在する状態を「混合痔核」といいます。内痔核が長期間脱出を繰り返すうちに、炎症が歯状線の外側にも広がり、出血と痛みの両方が現れます。詳しくは後述の重症度分類で解説します。
いぼ痔の主な症状|痛み・出血・腫れ・しこりの特徴
いぼ痔の症状は、内痔核と外痔核で大きく異なります。「痛みがないのに出血する」場合は内痔核、「突然の激痛と腫れ」がある場合は血栓性外痔核の可能性が高いです。
内痔核の特徴:痛みはないが出血に注意
内痔核は直腸粘膜の下にある「上直腸静脈叢(じょうちょくちょうじょうみゃくそう)」という血管の集まりがうっ血して腫れたものです。

内痔核でよく見られる症状
痛みを伴わない出血が最も多い症状です
出血量が多い場合もあります
イボが脱出することがあります
スッキリしない感覚が続きます
進行度による症状の違いは内痔核(重症度分類)で詳しく解説します。
外痔核の主な症状
外痔核は歯状線より外側にできるため、知覚神経が豊富で強い痛みを伴うのが特徴です。特に血栓性外痔核は激痛を引き起こします。
血栓性外痔核でよく見られる症状
朝起きたら急に肛門が激痛、座れない・歩けないほど痛むことも
豆粒大から親指大の硬いしこりができます(血栓性外痔核)
下着が当たる、拭くだけでも激痛が走ります
炎症により肛門全体が腫れることがあります
※ 血栓性外痔核の痛みは発症後2〜3日がピークです。早期受診していただくことででおしりの痛みを軽減できます(詳しくはH2-5)。
いぼ痔の原因|便秘・妊娠・加齢・生活習慣との関係
いぼ痔は、肛門周囲の静脈に過度な圧力がかかり続けることで発症します。排便時の強いいきみや長時間の座位によって血流が滞り、血管が膨張して痔核が形成されます。
いぼ痔の主な原因
便秘・強いいきみ
便秘で硬い便を出そうと強くいきむと、肛門周囲の静脈に大きな圧力がかかります。これが繰り返されると血管が膨張し、痔核が形成されます。いぼ痔の最も多い原因です。
妊娠・出産
妊娠中は子宮が大きくなり骨盤内の静脈を圧迫するため、肛門周囲の血流が滞ります。また、出産時の強いいきみも痔核の原因となります。妊婦の約半数が痔核を経験するとされています。
長時間の座位
デスクワークや長距離運転など、長時間座り続けると肛門周囲の血流が悪化します。特に柔らかいクッションに座ると肛門部分が沈み込み、うっ血しやすくなります。
加齢による組織の弱化
年齢とともに肛門を支える組織(支持組織)が弱くなり、痔核ができやすくなります。特に40代以降で発症率が高まります。
食生活・運動不足
食物繊維不足や水分摂取不足は便秘の原因となります。また、運動不足は腸の動きを鈍らせ、便秘を悪化させます。アルコールや香辛料の過剰摂取も肛門への刺激となります。
これらの原因が複数重なることで、いぼ痔のリスクはさらに高まります。原因を理解することで、適切な予防と対処が可能になります。具体的な対処法についてはいぼ痔は自宅で治せる?、再発予防についてはH2-8で詳しく解説します。
いぼ痔で病院に行くべきサインは?受診タイミングと放置のリスク
いぼ痔は「恥ずかしい」「怖い」という理由で受診をためらう方が多い病気です。しかし、肛門からの出血や痛みは、いぼ痔以外にも重大な病気のサインである可能性があります。
ここでは、すぐに病院に行くべき症状と、放置した場合の危険性について解説します。
こんな症状があれば必ず受診を
以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関(肛門外科・消化器外科)を受診してください。
すぐに病院へ行くべきサイン
少量でも、いぼ痔以外に大腸がん・直腸がん・炎症性腸疾患の可能性があります。自己判断は危険です。
座れない、歩けない状態は血栓性外痔核や嵌頓痔核の可能性。早急な処置が必要です。
嵌頓痔核(かんとんじかく)の可能性。締め付けられて血流が途絶え、壊死するリスクがあります。
上部消化管出血(胃・十二指腸潰瘍など)の可能性。いぼ痔とは異なる重大な病気のサインです。
めまい、立ちくらみ、倦怠感などは、慢性的な出血による貧血の可能性があります。
「いぼ痔だろう」という自己判断で放置することは非常に危険です。患者自身で「いぼ痔かどうか」を正確に判断することはできません。診断には肛門鏡を用いた専門医の診察が必要です。
専門医の診察で何をするのか?
「肛門を診られるのが恥ずかしい」という理由で受診をためらう方が多いですが、診察は短時間で終わります。
いぼ痔を放置すると、以下のような深刻なリスクがあります
症状、出血の量や色、痛みの有無、排便習慣などを確認します。
肛門周囲を観察し、外痔核や脱出した内痔核を確認します。指で触って痔核の状態を調べます。
肛門鏡という筒状の器具を挿入し、肛門内部を直接観察します。内痔核の有無や程度を正確に診断できます。
診察時間は通常5〜10分程度です。専門医は毎日多くの患者を診ており、患者が感じるほど「恥ずかしい」とは捉えていません。早期発見・早期治療のために、勇気を持って受診しましょう。
重症度の詳細については「いぼ痔の種類と重症度分類(Goligher分類)|治療方針の目安」で、具体的な治療法については「いぼ痔の治療法|薬・ゴム輪結紮・ALTA・手術まで徹底解説」で詳しく解説しています。
いぼ痔の種類と重症度分類(Goligher分類)|治療方針の目安
いぼ痔の重症度を客観的に評価するために、国際的に広く使用されている「Goligher分類(ゴリガー分類)」があります。この分類は治療方針を決定する重要な指標となります。
ここでは、Goligher分類の内容と、各段階での治療方針の考え方について解説します。

Goligher分類(ゴリガー分類)とは
Goligher分類は、1975年にイギリスの外科医Goligherによって提唱された内痔核の重症度分類です。イボが肛門からどの程度脱出するかを基準に、Ⅰ度からⅣ度までの4段階に分類されます。
この分類は「脱出の程度」のみで判定します。出血量や痛みの有無は分類基準には含まれません。
| 分類 | 脱出の状態 | 具体的な様子 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | 脱出しない | イボは肛門内にとどまり、外から見えない。自覚症状は出血のみのことが多い |
| Ⅱ度 | 排便時に脱出するが、自然に戻る | 排便時にイボが出てくるが、排便後は自然に肛門内に戻る |
| Ⅲ度 | 脱出後、指で押さないと戻らない | 排便時にイボが出て、自分で指で押し込まないと戻らない(用手的還納) |
| Ⅳ度 | 常に脱出したまま。押しても戻らない | イボが常に肛門の外に出ており、指で押しても戻らない(還納不能) |
各段階での治療方針の目安
Goligher分類は治療方針を決める「目安」として使われますが、実際の治療法は患者の年齢、症状の程度、生活への支障、本人の希望などを総合的に考慮して決定されます。
保存的治療が中心です。生活習慣の改善、便秘の解消、薬物療法(軟膏・坐薬・内服薬)で症状をコントロールします。
薬物療法で改善しない場合、ALTA療法(注射療法)やゴム輪結紮などの低侵襲治療が選択肢になります。
ALTA療法または手術療法が推奨されます。脱出の頻度や患者の希望により治療法を選択します。
手術療法が第一選択となります。常に脱出している状態では、根治を目指す手術が必要です。
各治療法の詳細(ALTA療法の仕組み、ゴム輪結紮の方法、手術の種類、入院期間、術後の経過など)については、「いぼ痔の治療法|薬・ゴム輪結紮・ALTA・手術まで徹底解説」で詳しく解説します。
外痔核にはGoligher分類は適用されない
Goligher分類は内痔核のみを対象とした分類です。外痔核(特に血栓性外痔核)には適用されません。外痔核の治療方針は、痛みの程度や血栓の大きさによって判断されます。
いぼ痔の治療法|薬・ゴム輪結紮・ALTA・手術まで徹底解説
いぼ痔の治療法は、重症度(Goligher分類)や症状の程度、患者の希望によって選択されます。大きく分けて「保存的治療」「低侵襲治療」「手術療法」の3つがあります。
ここでは、それぞれの治療法の特徴と適応について解説します。
保存的治療(薬物療法)
軽度のいぼ痔(主にⅠ度〜Ⅱ度)に対しては、まず薬物療法と生活習慣の改善から始めます。
ステロイド成分が炎症を抑え、局所麻酔成分が痛みを和らげます。止血成分が出血を抑える効果もあります。
静脈強化薬(フラボノイド製剤など)が血管の壁を強化し、うっ血を改善します。便を柔らかくする緩下剤も併用されます。
薬物療法は症状を和らげる対症療法であり、痔核そのものを縮小させる効果はありません。生活習慣が改善されなければ再発します。
低侵襲治療(ALTA療法・ゴム輪結紮)
Ⅱ度〜Ⅲ度のいぼ痔で、薬物療法で改善しない場合に選択される治療法です。

ALTA療法(四段階注射法)- 切らずに治す画期的な治療
ALTA療法は、痔核に「硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸(ALTA)」という薬剤を注射することで、切らずに痔核を縮小・消失させる画期的な治療法です。2005年に日本で承認され、現在では内痔核治療の主流となっています。
🔹 ALTA療法の仕組み
痔核の4箇所に段階的に薬剤を注射する「四段階注射法」により、痔核内で以下の反応が起こります:
- 炎症反応により痔核が縮小
- 線維化により痔核が硬化して固定される
- 数週間〜数ヶ月かけて痔核が退縮・消失
✅ ALTA療法のメリット
- 切らないため術後の痛みが大幅に軽減
- 日帰り〜1泊入院で治療可能(従来の手術は3〜7日入院)
- 早期の社会復帰が可能(多くの場合、翌日から日常生活可能)
- 再発率が低い(適切に施行すれば手術と同等の効果)
- 肛門の変形が少なく、機能が温存される
⚠️ ALTA療法の注意点
- 全ての痔核に適用できるわけではない(外痔核には使用不可)
- 注射の技術により効果が左右される(熟練した専門医の施術が重要)
- まれに再発する可能性がある
💡 当院の特徴
当院では、ALTA療法の豊富な実績を持つ専門医が、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療を提供しています。「切らない治療」により、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えながら、高い治療効果を実現します。
ゴム輪結紮術
痔核の根元に小さなゴム輪をかけて血流を遮断し、痔核を壊死・脱落させる方法です。
- メリット:外来で施行可能、短時間で終了
- デメリット:適用できる痔核の大きさに制限、脱落時に出血の可能性
手術療法
Ⅲ度〜Ⅳ度の重症例や、他の治療で改善しない場合に選択されます。
結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)
痔核を根元で縛って切除する、最も確実な根治手術です。現在でも標準的な手術法として広く行われています。
- メリット:根治性が高い、再発率が低い
- デメリット:入院が必要(3〜7日程度)、術後の痛み
PPH法(プロラプス・ヘモロイド・ペクシー法)
脱出した粘膜を切除せずに吊り上げて固定する方法です。専用の器械を使用します。
- メリット:術後の痛みが比較的少ない
- デメリット:特殊な器械が必要、適応症例が限られる
日本大腸肛門病学会:痔核の治療
いぼ痔の市販薬|診断後に使えるセルフケア
医師の診察を受け、いぼ痔と診断された後に、症状を和らげる補助的な手段として市販薬があります。ただし、市販薬は対症療法であり、根本的な治療ではありません。
医師の診断後に使える市販薬
肛門からの出血や痛みは、大腸がんなど重大な病気でも起こります。市販薬を使う前に、必ず専門医の診察を受け、「いぼ痔」と診断されていることが前提です。
市販薬の種類
坐薬タイプ
肛門内に挿入して使用します。内痔核の出血や炎症に効果的です。ステロイド成分が炎症を抑え、止血成分が出血を抑えます。
軟膏タイプ
注入器具(ノズル)を使って肛門内に注入し内痔核に使用するほか、指や綿棒で肛門の外側に塗布して外痔核にも使用できます。局所麻酔成分が痛みを和らげ、抗炎症成分が腫れを抑えます。
市販薬は症状を和らげる対症療法であり、いぼ痔そのものを治すわけではありません。1〜2週間使用しても改善しない場合は、必ず医療機関を受診してください。
いぼ痔の再発予防と生活習慣改善|排便習慣・食事・運動でできる対策
いぼ痔は治療後も、生活習慣が変わらなければ再発するリスクが高い病気です。再発を防ぐためには、肛門に負担をかけない生活習慣を継続することが不可欠です。
ここでは、再発予防のために日常生活で実践すべき具体的な対策を解説します。
排便習慣の改善
排便時の肛門への負担を減らすことが、再発予防の最も重要なポイントです。
いきみを減らす
トイレで長時間いきむことは、肛門周囲の静脈に強い圧力をかけ、痔核の原因となります。排便は3分以内を目安にし、出ない場合は一度トイレを出ましょう。無理にいきまないことが最も重要です。
便意を我慢しない
便意を我慢すると便が硬くなり、排便時に強くいきむ必要が生じます。便意を感じたらできるだけ早くトイレに行く習慣をつけましょう。
トイレにスマホを持ち込まない
スマホを見ながらの排便は、無意識に長時間座り続けることにつながります。これが肛門への負担を増やし、痔核を悪化・再発させる大きな原因です。
温座浴を習慣化する
40℃程度のぬるめのお湯に肛門を浸ける温座浴を、排便後と就寝前に行いましょう(1回5〜10分)。血行が改善され、肛門括約筋の緊張がほぐれます。
便秘を解消する食事と水分摂取
便秘はいぼ痔の最大の原因です。食生活の改善により、柔らかい便を作ることが再発予防の基本です。
食物繊維を積極的に摂る
食物繊維は便を柔らかくし、排便をスムーズにします。1日20〜25gを目標に摂取しましょう。
- 野菜:ごぼう、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、にんじん
- 果物:りんご、バナナ、キウイ、プルーン
- 穀物:玄米、全粒粉パン、オートミール
- 豆類:納豆、大豆、レンズ豆、ひよこ豆
- 海藻・きのこ:わかめ、ひじき、しいたけ、えのき
水分を十分に摂る
1日1.5〜2リットルの水分摂取を心がけましょう。水分不足は便を硬くする最大の原因です。朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むと、腸の動きが活発になります。
長時間座る仕事の方へ|座りっぱなしを避ける工夫と適度な運動
長時間の座位は肛門周囲の血流を悪化させます。日常生活で動く機会を増やしましょう。
適度な運動を習慣化する
ウォーキング、軽いジョギング、ストレッチなど、適度な運動は腸の動きを活発にし、便秘を解消します。1日30分程度の運動を目標にしましょう。
※ただし、自転車やバイクなど、肛門を直接圧迫する運動は避けるか、時間を短くしましょう。
長時間の座位を避ける
デスクワークや長距離運転の場合、1時間に1回は立ち上がり、軽く歩くことを習慣にしましょう。トイレに立つ、コピーを取りに行くなど、意識的に動く機会を作ります。
クッションの工夫
柔らかすぎるクッションは肛門部分が沈み込み、圧迫が強くなります。適度な硬さのあるクッション、またはドーナツ型クッション(中央に穴が開いているもの)を使用すると、肛門への圧迫を軽減できます。
その他の注意点
過度のアルコール摂取や香辛料の多い食事は、肛門への刺激となり症状を悪化させることがあります。適量を心がけましょう。
体が冷えると血行が悪くなり、肛門周囲のうっ血が進みます。特に冬場は下半身を温かく保ちましょう。
ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、便秘や下痢の原因となります。十分な睡眠と休息を取りましょう。
これらの生活習慣を継続することで、いぼ痔の再発リスクを大幅に減らすことができます。治療後も油断せず、肛門に優しい生活を心がけましょう。
当院のいぼ痔治療の特徴
1 切らずに治すALTA療法の豊富な実績
当院では、切らない痔核治療「ALTA療法(四段階注射法)」に力を入れています。ALTA療法は、痔核に薬剤を注射することで痔核を縮小・消失させる画期的な治療法です。従来の手術と比べて術後の痛みが大幅に少なく、日帰りで治療可能なため、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられます。
2 肛門外科専門医による正確な診断
いぼ痔の診断には肛門鏡を用いた専門的な診察が必要です。当院では、肛門外科専門医が丁寧に診察し、内痔核・外痔核の状態を正確に把握した上で、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案します。「恥ずかしい」と感じる方も多いですが、診察時間は5〜10分程度で、プライバシーに最大限配慮しています。
3 患者様の生活スタイルに合わせた治療選択
当院では、薬物療法、ALTA療法など、幅広い治療選択肢をご用意しています。患者様の重症度だけでなく、お仕事の都合、入院の可否、痛みへの不安など、ライフスタイルやご希望を丁寧にお聞きした上で、最適な治療計画を一緒に考えます。
📞 まずはお気軽にご相談ください
「いぼ痔かもしれない」「出血があって不安」「恥ずかしくて受診をためらっている」など、どんな些細なことでも構いません。早期発見・早期治療が、治療期間の短縮と再発予防につながります。

いぼ痔に関するよくある質問(Q&A)
A. いぼ痔は医学的には「痔核(じかく)」と呼ばれ、肛門周囲の静脈がうっ血して腫れ上がり、イボ状の塊ができる病気です。
内痔核:歯状線より内側にでき、神経が少ないため痛みがほとんどなく、出血が主症状。進行すると脱出します。
外痔核:歯状線より外側にでき、知覚神経が豊富なため強い痛みを伴い、急な腫れ・しこりが特徴です。
A. 症状は内痔核と外痔核で異なります。
【内痔核】
- 鮮紅色の出血(痛みなし)
- 排便時の脱出
- 肛門の違和感
【外痔核】
- 突然の激痛
- 外側の青紫色のしこり
- 触れるだけで痛い
A. 主な原因は次の通りです。
- 便秘・強いいきみ:最も多い原因
- 妊娠・出産:静脈圧の上昇
- 長時間座位:血流が悪化しうっ血
- 加齢:肛門支持組織が弱くなる
- 食生活・運動不足:便秘や腸の動き低下
A. まず医師の診断が必須です。出血は大腸がん・直腸がんでも起こります。
軽度であれば市販薬で症状を和らげられますが、痔核自体を治す効果はありません(対症療法)。
根治するには:ALTA療法、ゴム輪結紮、手術が必要です。
A. 次の症状があれば早急に受診してください。
緊急性が高い症状:
- 肛門からの出血(少量でも)
- 激痛で座れない・歩けない
- イボが戻らない
- 黒色便(タール便)
- 貧血症状(めまい・倦怠感)
出血は重大疾患の可能性もあるため、自己判断は危険です。
A. 重症度に応じて治療が異なります。
【軽度:Ⅰ度〜Ⅱ度】
薬物療法+生活習慣改善
【中等度:Ⅱ度〜Ⅲ度】
・ALTA療法(切らない注射治療)
・ゴム輪結紮術
【重症:Ⅲ度〜Ⅳ度】
手術療法(結紮切除術、PPH法)
A. ALTA療法は、硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸(ALTA液)を注射し、切らずに痔核を縮小させる治療です。
メリット:
- 術後の痛みが少ない
- 日帰り〜1泊入院で可能
- 翌日から日常生活OK
- 肛門機能を温存しやすい
ただし、外痔核には適応がありません。
A. 再発予防には生活習慣の改善が不可欠です。
- 排便習慣:いきまない、便意を我慢しない、トイレ3分以内
- 便秘改善:食物繊維20〜25g、水分1.5〜2L
- 長時間座位を避ける:1時間ごとに立つ
- 温座浴:40℃で5〜10分を1日2〜3回
- 運動:ウォーキングなど30分
A. 治療期間は重症度と治療法、生活習慣によって大きく異なります。
- 薬物療法:症状は緩和するが痔核は治らない
- 根治療法:ALTA・ゴム輪結紮・手術
便秘や長時間座位のある方は治癒が遅れやすく、生活改善が重要です。
A. 多くの方が同じ不安を抱えていますが心配いりません。
- 診察は通常5〜10分程度
- 専門医は毎日多数の患者を診ている
- プライバシーに最大限配慮
- 肛門鏡検査は数分で終了
受診が遅れると悪化する可能性があります。早期受診が最善の治療につながります。
まとめ
いぼ痔(痔核)は、肛門周囲の静脈がうっ血して腫れ上がる病気で、成人の約半数が一生のうちに一度は経験するとされています。内痔核と外痔核では症状や治療法が大きく異なり、正確な診断には専門医による肛門鏡検査が必要です。
治療について
いぼ痔の治療法は、重症度(Goligher分類Ⅰ度〜Ⅳ度)に応じて選択されます。軽度であれば薬物療法と生活習慣の改善、中等度以降はALTA療法(四段階注射法)やゴム輪結紮などの低侵襲治療、重症例では手術療法が推奨されます。
重要な点は、市販薬や処方薬は症状を和らげる対症療法であり、痔核そのものを治す効果はないということです。痔核を根本的に治すには、ALTA療法、ゴム輪結紮、または手術が必要です。
当院の特徴
当院では、切らない痔核治療「ALTA療法」に力を入れています。ALTA療法は、痔核に薬剤を注射することで痔核を縮小・消失させる治療法で、従来の手術と比べて術後の痛みが大幅に少なく、日帰りで治療可能です。早期の社会復帰を実現し、患者様の負担を最小限に抑えます。
いぼ痔でお悩みの方、「恥ずかしい」「怖い」と受診をためらっている方、出血や痛みがあって不安な方は、どうぞお気軽にご相談ください。肛門外科専門医が、患者様一人ひとりの症状とライフスタイルに合わせた最適な治療をご提案します。
早期発見・早期治療が、早期回復への近道です。

監修:東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士
院長プロフィール