2025年10月05日

「カレーを食べたあとにお腹がゴロゴロして下痢になった」「毎回カレーを食べるとお腹が痛くなる」――そんな経験はありませんか?
実はその原因、スパイスの刺激だけでなく、ウェルシュ菌による食中毒の可能性もあります。
ここでは、カレーで起こりやすい腹痛・下痢の原因を医学的に正確に解説し、
長引く症状への対処法や検査の必要性についてもご紹介します。

カレーを食べた後にお腹が痛くなる主な原因
① 食中毒(ウェルシュ菌・黄色ブドウ球菌など)
カレーは調理後に大鍋で保温・放置されやすい料理であり、「ウェルシュ菌」食中毒の原因として特に有名です。
ウェルシュ菌とは?
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、自然界や人の腸内、土壌に広く存在する細菌です。
酸素の少ない環境(嫌気性)で増殖し、加熱後も芽胞(がほう)という耐熱構造の形で生き残る特徴があります。
この芽胞は100℃で数分間の加熱にも耐えるため、「一晩寝かせたカレー」でも完全に死滅しません。
調理後に室温でゆっくり冷めていく過程で菌が増殖し、摂取すると腸内で毒素(エンテロトキシン)を放出して腹痛・下痢を起こします。

ウェルシュ菌食中毒の特徴
潜伏期間:6〜18時間(平均10時間前後)
主な症状:下痢・腹痛(発熱・嘔吐は少ない)
症状の持続:1〜2日で自然に軽快することが多い
感染経路:煮込み料理(カレー・シチュー・スープ)などを常温で長時間放置
ウェルシュ菌による食中毒の予防策
・調理後はすぐに小分けして冷蔵庫へ
・再加熱時は中心温度75℃以上で1分以上
・夏場は室温で長時間保管しない
・翌日のカレーは、鍋のまま放置せず、浅い容器で速やかに冷却
ウェルシュ菌による下痢は一過性のことも多いですが、高齢者や体力の低下した方では脱水を起こすこともあり注意が必要です。
厚生労働省:<身近な危険 食中毒>
② スパイスの刺激(カプサイシンや精油成分)
カレーに含まれるスパイスは、消化を助ける一方で、胃腸への刺激になることがあります。
とくに唐辛子の辛味成分「カプサイシン」は腸の蠕動(ぜんどう)を活発にし、下痢を誘発することがあります。
また、クミン・クローブ・シナモンなどに含まれる精油成分は、**過敏性腸症候群(IBS)**の方で症状を悪化させることがあります。
おなかとおしりのクリニック 東京大塚
医療コラム:辛い物を食べたらおしりが痛い?専門医が原因(カプサイシン)と対策をやさしく解説
③脂質や乳製品の影響
ルーや油脂の多いカレーは、脂質の摂りすぎによって消化不良を起こしやすくなります。
また、ミルクカレーやヨーグルト入りカレーでは、乳糖不耐症(乳糖を分解できない体質)の方が腹痛・下痢を起こすことがあります。
食後すぐ? 半日後? 発症時間で原因を見分ける
・食後1〜2時間以内の腹痛・下痢 → スパイスや脂質による刺激性下痢
・6〜12時間後に発症 → ウェルシュ菌などによる食中毒の可能性
東京都保健医療局:ウェルシュ菌
受診の目安
次のような場合は、自己判断せず内科・消化器内科を受診してください。
・下痢や腹痛が2日以上続く
・発熱、血便、強い腹痛がある
・家族や同席者も同様の症状を呈している
・脱水(口の渇き、尿の減少、めまい)がみられる
下痢が続く場合は「大腸内視鏡検査」を
一時的な食中毒であれば自然に治まりますが、2週間以上下痢が続く場合や繰り返す場合には、
単なる食あたりではなく、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)や大腸ポリープ・大腸がんなどの可能性もあります。
おなかとおしりのクリニック 東京大塚の大腸内視鏡検査の特徴
・最新のAI内視鏡(EVIS X1 + End-Brain Eye)による高精度大腸内視鏡検査
・鎮静剤および鎮静剤を用いた苦痛の少ない大腸内視鏡検査
・豊島区の**大腸がん検診(便潜血陽性)**にも対応
繰り返す下痢やお腹の違和感がある方は、早期の大腸内視鏡検査をおすすめします。
早期発見・早期治療が、将来の健康を守る第一歩です。

おなかとおしりのクリニック 東京大塚のアクセス
住所:〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-34-7 大塚Carna 2階
最寄り駅:
JR山手線「大塚」駅 南口 徒歩1分(池袋から1駅・約2分/巣鴨から1駅)
都電荒川線「大塚駅前」停留場 徒歩1分
東京メトロ丸ノ内線「新大塚」駅 徒歩約8分
バス:都バス(都02・上60 )「大塚駅前」下車すぐ
目印:大塚駅南口ロータリー至近の**医療モール「大塚carna」**内、エレベーターで2階
駐輪:建物周辺にコイン駐輪場あり/近隣コインパーキング複数
対応エリア:豊島区(大塚・池袋・東池袋・巣鴨・駒込)ほか、文京区・北区・板橋区からもアクセス良好
ご予約・お問い合わせ:WEB予約/お電話(03-6912-5995)に対応。便潜血陽性、長引く下痢・腹痛、血便がある方は早めにご相談ください。
まとめ
・カレー後の下痢は「ウェルシュ菌」や「スパイス刺激」など複数の要因が考えられる
・「一晩寝かせたカレー」は特に注意
・発症時間から食中毒か刺激性かを見分ける手がかりになる
・長引く下痢は大腸内視鏡検査で原因を確認することが大切
よくある質問(FAQ)
Q. カレーを再加熱したのに下痢になりました。どうして?
A. ウェルシュ菌は熱に強い芽胞を持つため、再加熱しても完全に死滅しません。常温放置時間が長いと繁殖してしまいます。
Q. 辛くないカレーでもお腹を壊します。なぜですか?
A. スパイス以外にも脂質や乳製品が原因のことがあります。油分の多いルーやヨーグルト入りのカレーにも注意しましょう。
Q. 下痢が何日も続きます。どんな病気が考えられますか?
A. 感染性腸炎以外にも、炎症性腸疾患や大腸ポリープなどが原因の場合があります。長引くときは大腸内視鏡検査をおすすめします。

監修:東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士
院長プロフィール