2025年7月28日

激しい嘔吐や飲酒後に血を吐いた場合、「マロリーワイス症候群」の可能性があります。この記事では、豊島区の消化器内視鏡専門クリニックが、その原因・症状・治療法をわかりやすく解説します。
マロリーワイス症候群とは?
強い嘔吐や腹圧の急上昇などによって、胃と食道のつなぎ目(噴門部)の粘膜が裂けて出血する病気です。お酒を大量に飲んだあとに吐いた際、突然の吐血で発症することが多く、救急外来でもたまにみられます。

症状:突然の吐血が典型的
・吐いたものに鮮やかな赤い血液が混じるのが特徴です。
・胃の中にとどまった血液が消化されると、**黒色便(タール便)**として排出されることもあります。
・出血前にみぞおちの違和感や胸の奥の灼熱感を感じることもありますが、多くは前ぶれなく突然発症します。
原因・発症しやすい状況
マロリーワイス症候群は、**繰り返す嘔吐や急激なお腹への圧力(腹圧)**がかかったときに起こります。
よくある原因
・飲みすぎたあとに強く嘔吐した場合
・胃腸炎や食あたりによる激しい嘔吐
症例報告にある誘因
・妊娠初期の重度のつわり(妊娠悪阻)
・摂食障害(過食後の嘔吐)
診断には胃カメラが有効
マロリーワイス症候群は、内視鏡検査(胃カメラ)で胃と食道の接合部にできた裂創を確認することで診断されます。出血の有無や程度、裂創の位置を確認でき、治療方針の決定に役立ちます。
治療:自然に止まることが多いが油断は禁物
・多くは自然に止血し、保存的治療(絶食・点滴など)で改善します。
・状況に応じて**胃粘膜の保護や再出血予防を目的に、胃酸分泌抑制薬(PPIなど)を短期間使用することがあります。**ただし、マロリーワイス症候群へのPPI投与は保険適応外となる可能性があり、医師の判断が必要です。
・出血が持続する場合には、内視鏡的に止血処置(クリップ、局所注射、熱凝固など)が行われることもあります。これらは標準化された治療法ではなく、あくまで症例に応じて選択される補助的な手段です。
再発を防ぐためにできること
治療後は、再発予防のために生活習慣の見直しが重要です。特に飲酒習慣のある方は注意が必要です。

過度の飲酒を控える
お酒の飲みすぎは嘔吐を引き起こし、再発の大きなリスクとなります。短時間での多量摂取(いわゆる一気飲み)は特に危険です。
胃の保護と胃酸のコントロール
胃酸分泌を抑える薬の継続や刺激物を避けた食生活が予防につながります。
こんなときはすぐに受診を|当院の内視鏡検査体制
吐血は命に関わる出血性疾患のサインである場合もあります。迷わず受診してください。

当院では即日内視鏡検査も対応可能
豊島区・大塚駅すぐの【おなかとおしりのクリニック 東京大塚】では、胃カメラによる迅速な診断に対応しています。強い嘔吐の症状がある場合は早めにご相談ください。
女性医師による検査も可能(火曜限定)
女性の患者さまも安心して検査を受けていただけるよう、火曜日には女性医師が内視鏡を担当しています。
まとめ
お酒を飲んだあとに吐血した場合、マロリーワイス症候群の可能性があります。自然に止血するケースも多いものの、重度の出血を起こすこともあるため、早めに内視鏡検査を受けて正確な診断を受けることが大切です。
当院(おなかとおしりのクリニック 東京大塚)では、内視鏡専門医が丁寧に診察・検査を行い、必要に応じてその場で止血処置も可能です。突然の吐血や強い嘔吐があった際は、お気軽にご相談ください。

監修:東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士