2026年2月13日
下痢のときの食事は、消化にやさしいおかゆ・うどん・バナナなどが基本です。一方で、脂っこい料理や乳製品、刺激物は症状を悪化させることがあります。本記事では、下痢中に食べてよいもの・避けるべきもの、水分補給のポイント、受診が必要なサインまで医師がわかりやすく解説します。
下痢のときに食べてよい食品一覧
下痢のときの食事は、「温かく・やわらかく・脂質が少ない」ものが基本です。
腸に負担をかけにくい食品を以下にまとめました。

| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 主食 | おかゆ、やわらかいうどん、 食パン(トーストなし) |
| たんぱく質 | 白身魚(蒸し・煮)、鶏ささみ、半熟卵、豆腐 |
| 野菜 | にんじん(煮物)、マッシュポテト、 裏ごしかぼちゃ |
| 果物 | バナナ、すりおろしりんご |
| その他 | くず湯、葛餅 |
- 必ず温かい状態で
- ・十分に火を通し、やわらかくするする
- 脂質・刺激が少ないものを選ぶ
消化にやさしい食事の3つの条件
下痢中の食事は、次の3つを目安に選びましょう。
① 温かいこと
冷たい食べ物や飲み物は腸の動きを刺激し、症状を悪化させることがあります。常温以上、できれば体温に近い温度が望ましいです。
② 脂質が少ないこと
脂質は消化に時間がかかります。揚げ物やバター、生クリームなどは控え、脂身の少ない白身魚や鶏ささみを選びましょう。
③ 十分に火を通し、やわらかいこと
硬い食材や繊維の多い食品は刺激になることがあります。煮る・蒸す・すりおろすなど、消化しやすい状態に整えてください。
調理のコツ
- 煮込んでやわらかくする
- 裏ごし・すりおろしでなめらかにする
- 油を使わない調理法を選ぶ
この3つを意識することで、腸への負担を抑えながら食事を続けやすくなります。
下痢のときに避けるべき食品・飲み物
下痢中は、次のような食品は控えましょう。腸を刺激し、症状が悪化することがあります。
| カテゴリ | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 脂っこいもの | 揚げ物、ラーメン、カレー、ステーキ | 消化に時間がかかる |
| 乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイス | 一時的に乳糖を消化しにくいことがある |
| 刺激物 | 唐辛子、わさび、こしょう、キムチ | 腸粘膜を刺激する |
| アルコール | ビール、ワイン、日本酒 | 腸の分泌を促し脱水を助長する |
| カフェイン | コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク | 腸の動きを活発にする |
| 冷たいもの | 冷水、氷菓子、冷やし中華 | 腸を刺激することがある |
| 食物繊維が多いもの | ごぼう、こんにゃく、きのこ類 | 物理的刺激になることがある |
| 人工甘味料 | ソルビトール含有ガム・飴 | 少量であれば問題にならないことが多いが、症状が続く間は控えるのが望ましい。 |
回復期まで避けたいもの
- 乳製品:一時的な乳糖不耐状態になることがあるため、回復後も少量から試しましょう。
- カフェイン:利尿作用があり、脱水を助長する可能性があります。
症状が落ち着くまでは控えましょう。
下痢中の正しい水分補給|経口補水液(ORS)の使い方
下痢では水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)が失われます。脱水を防ぐため、こまめな補給が重要です。

経口補水液(ORS)とは
水分・ナトリウム・糖質が適切な比率で配合された飲料です。腸で吸収されやすい設計になっており、下痢や嘔吐時の脱水対策として推奨されています。
市販品の例:
・OS-1(大塚製薬)
・アクアサポート(明治)
・アクアライトORS(和光堂)
飲み方のポイント
- ・一度に大量に飲まず、少量をこまめに
- ・コップ半分程度を30〜60分ごとに
- ・常温で摂取する
- ・必要量は症状や体格に応じて調整する
スポーツドリンクとの違い
スポーツドリンクは糖分が多く、電解質濃度が低めに設計されています。軽度の場合に少量であれば問題にならないこともありますが、脱水対策としてはORSの方が適しています。
症状を悪化させない食べ方のコツ
食品選びだけでなく、「どう食べるか」も重要です。
① 一度にたくさん食べない
一度に多く食べると腸に負担がかかります。食事量を減らし、1日4〜6回に分けて摂ると負担を抑えやすくなります。
(例)
重湯 → おかゆ → やわらかいうどん → 豆腐や白身魚へと段階的に進めます。
② よく噛んでゆっくり食べる
十分に咀嚼することで、消化を助けやすくなります。急いで食べず、ゆっくりと時間をかけましょう。
③ 回復段階に応じて徐々に戻す
急性期(症状が強い時)
・重湯・おもゆ中心
・無理に固形物をとらない
症状が落ち着いてきた時
・おかゆ・うどん
・やわらかい食品を追加
ほぼ回復した時
・白身魚・豆腐
・徐々に通常食へ(脂質はまだ控えめ)
焦って通常食に戻すと症状がぶり返すことがあります。体調をみながら段階的に進めましょう。
下痢の原因別にみる食事の注意点
下痢は原因によって対処法が異なります。代表的なタイプごとに整理します。
① 感染性腸炎(急性下痢)
特徴:ウイルスや細菌による急性の水様性下痢
食事のポイント:脱水予防を最優先。無理に食べる必要はありませんが、摂取できる場合は消化にやさしい食品を少量から開始します。
※嘔吐が強い場合は水分中心に。
② 過敏性腸症候群(IBS-D)
特徴:ストレスや特定食品で繰り返す慢性下痢
食事のポイント:FODMAP(発酵性糖質)の多い食品で悪化することがあります。症状が改善したら、1種類ずつ少量から再導入し、悪化する食品を特定します。
※過度な制限は推奨されません。
③ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
特徴:慢性炎症に伴う血便や下痢
食事のポイント:活動期は消化に負担の少ない食事を中心に。寛解期はバランスのよい食事を基本とします。自己判断で多くの食品を長期間制限することはおすすめできません。専門医の管理下で調整します。
④ 浸透圧性下痢
特徴:乳糖不耐症や人工甘味料などが原因
食事のポイント:原因物質を避けることで改善することが多いです。乳糖不耐が疑われる場合は乳製品を一時的に控えます。
下痢が続く場合に受診すべきタイミング
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

すぐに受診を検討すべき症状
・血便(赤い血や黒いタール状便)
・高熱が持続する
・強い腹痛が続く
・尿量減少、めまい、ぐったりするなどの脱水症状
・数日たっても改善しない下痢
特に注意が必要な方
・高齢者(脱水や重症化のリスクが高い)
・乳幼児(体重減少やぐったり感)
・糖尿病・腎疾患・心疾患などの基礎疾患がある方
・海外渡航後に発症した場合
下痢止めの使用について
市販の止瀉薬は症状を一時的に抑えますが、細菌性腸炎が疑われる場合には慎重な判断が必要です。自己判断で長期間使用せず、症状が強い場合は医師に相談しましょう。
食事を気をつけても改善しない場合はご相談ください
下痢が長引く場合、感染症や炎症性腸疾患、過敏性腸症候群などが隠れていることがあります。
当院では
・便検査
・血液検査
・必要に応じた大腸内視鏡検査
を行い、原因に応じた治療を行っています。

豊島区・池袋・大塚・巣鴨エリアで下痢にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

記事監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
がん治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール