熊(クマ)肉で腹痛・下血!?|池袋・豊島区で大腸内視鏡検査なら「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」|豊島区大塚の内科・消化器内科・肛門科・内視鏡|大塚駅南口1分|おなかとおしりのクリニック 東京大塚

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熊(クマ)肉で腹痛・下血!?|池袋・豊島区で大腸内視鏡検査なら「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」

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2025年11月07日

熊(クマ)肉で腹痛・下血!?|池袋・豊島区で大腸内視鏡検査なら「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」

熊(クマ)などの野生肉(ジビエ)を食べたあとに腹痛・発熱・下痢・下血などの症状が出た場合、
寄生虫(トリヒナ)やウイルス(E型肝炎)などによる感染が原因の可能性があります。
「時間が経てば治る」と放置せず、できるだけ早く医療機関で検査を受けることが大切です。

熊肉を食べたあとにお腹が痛くなったら

「野生の肉を食べたらお腹が痛い…」「便に血が混じった…」——そんなとき、驚きと不安でいっぱいになると思います。
ここでは、症状が出たときにまず知っておきたい対応と受診の目安を、わかりやすくまとめました。
後半では、原因となる感染症を医学的に詳しく解説します。

東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚の熊肉を焼いている画像

受診を迷ったら、この症状に注意

次のような症状がある場合は注意が必要です:

  • 強い腹痛・下血・黒色便
    消化管出血のサイン。早めの受診が必要です。
  • 発熱・筋肉痛・目のまわりのむくみ(眼の腫れ)
    クマ肉などで感染するトリヒナ症(旋毛虫感染)を疑います。
  • 倦怠感・黄疸(肌や白目が黄色い)
    E型肝炎の可能性があります。

どれか一つでも当てはまる場合は、放置せず検査を受けましょう。

自分でできる応急対応

受診までの間にできることを整理しておきましょう。

  • 脱水を防ぐ:水や経口補水液を少しずつ摂る。
  • 市販の下痢止めは控える:感染を悪化させることがあります。
  • 同じ肉を再加熱して食べない・他人に分けない:二次感染を防ぎます。
  • 食べた内容をメモする:肉の種類、加熱状態、食べた日時を記録。診察時に役立ちます。
水の写真|東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚

野生肉(ジビエ)は「中心までしっかり加熱」が安全の基本

見た目が焼けていても、中心が十分に加熱されていないと感染リスクが残ります。
厚生労働省などの公的機関も、**「野生のお肉は中心までしっかり火を通しましょう」**と呼びかけています。

感染症名 主な原因 潜伏期間 代表的な症状 特徴
旋毛虫
(トリヒナ症)
クマ肉の不十分な加熱 約2〜3週間 発熱・筋肉痛
・むくみ・下痢
**国内でも集団発生**
あり(Trichinella T9)。
E型肝炎
ウイルス
イノシシ・シカ・クマなどのジビエ、豚レバーの不十分加熱 約2〜8週間 倦怠感・発熱
・黄疸・褐色尿
**妊婦・肝疾患
・免疫低下**で重症化に注意。
トキソプラズマ症 野生獣肉の生・半生 数日〜数週 発熱・リンパ節腫脹・筋肉痛 **妊娠中の初感染**は胎児への影響が大きい。

医療機関での検査と治療

検査は症状に応じて行われます。
当院でも必要に応じて、血液検査や内視鏡検査を組み合わせて原因を探ります。

医療機関で行われる主な検査:

  • 血液検査:炎症反応、肝機能、好酸球増加などを確認。
  • 便検査:細菌・ウイルス・寄生虫の有無を調べる。
  • 大腸内視鏡検査:下血や炎症の範囲を確認。
  • 寄生虫抗体検査:トリヒナやトキソプラズマの診断に有用。

治療は原因によって異なりますが、
寄生虫感染ではアルベンダゾールなどの駆虫薬
肝炎では**支持療法(安静・肝機能管理)**が中心です。

もう少し詳しく:病気のしくみと検査のポイント

専門的な視点から、代表的な疾患をもう少し詳しく紹介します。

旋毛虫症(トリヒナ症)

国内でも報告例があり、2016年のツキノワグマ肉による集団発生ではTrichinella T9が同定されています。
筋肉痛・発熱・眼瞼浮腫が特徴で、冷凍しても死なない株があるため、加熱が最も確実な予防です。

👉 実際の事例紹介:
2016年12月、日本でクマ肉を十分に加熱せずに食べた人々にトリヒナ症の集団感染が発生しました。
DNA解析の結果、日本固有の型「Trichinella T9」が原因と確認されています。
この型は冷凍しても死なない耐寒性
をもつことが分かっており、
冷凍=安全ではない」ことを示す重要な事例です。

このような報告からも、クマ肉などの野生肉は中心までしっかり加熱することが何より大切だといえます。

参考文献:Tada K, et al. Outbreak of Trichinella T9 Infections Associated with Consumption of Bear Meat, Japan. Emerg Infect Dis. 2018 Aug;24(8):1532–1535.

E型肝炎

日本の野生イノシシ・シカで広くHEVが検出されています。
生・半生の喫食が主な感染経路で、妊婦では重症化リスクが高いことが知られています。

ウイルスの特徴:

  • 分類:Hepeviridae 科 Orthohepevirus A 属
  • 遺伝子型:HEV-1〜4 がヒト感染に関与。日本では HEV-3/HEV-4 が中心。
  • 感染経路:主に食肉(特にイノシシ・豚レバー)、まれに輸血。

国内の疫学:

日本では、HEV-3/HEV-4型による人獣共通感染型が主流です。
E型肝炎は五類感染症に指定されており、医師による届出が義務付けられています。

2022年に日本で行われた大規模調査では、15種類・5,557頭の野生動物を対象にE型肝炎ウイルス(HEV)の感染状況が調べられました。
結果として、**イノシシでは約12%がHEVに感染したことがある(抗体陽性)ことが分かり、特に体重50kg以上の大型個体では陽性率が18%**と高くなっていました。
また、子イノシシ(piglet)ではウイルスRNAが多く検出され、実際に感染している可能性が高いことも判明しています。

一方で、シカ(ニホンジカ)ではごくまれにしか検出されず、イノシシ以外の野生動物からはほとんど見つかりませんでした。
つまり、日本の野生動物の中ではイノシシがHEVの主な保有源(レザーバー)であり、食肉を通じて人に感染するリスクが最も高いと考えられます。

この研究からも、イノシシやクマなどのジビエを食べる際は、中心までしっかり加熱することが非常に重要であることがわかります。

参考文献:Mendoza MV et al. Nationwide survey of hepatitis E virus infection among wildlife in Japan. J Vet Med Sci. 2022; 84(7):992-1000.

臨床と治療

臨床的特徴:

  • 症状:発熱、倦怠感、黄疸、褐色尿など。
  • 重症化リスク:妊婦、免疫抑制下、肝疾患のある方では重症化の可能性。
  • 検査:IgM/IgG抗体、HEV RNA(RT-PCR)で診断。
  • 治療:多くは自然軽快。慢性化例では ribavirin(リバビリン) が有効とされています。

👉 参考リンク

厚生労働省| E型肝炎ウイルス
国立感染研究所| E型肝炎ウイルスについて

トキソプラズマ症

野生獣肉を十分に加熱せずに食べた場合に感染することがある寄生虫感染症です。
特に妊娠中の初感染では胎児への影響が懸念されるため、妊婦さんは生・半生のジビエやレバーを避けることが大切です。
中心温度67℃以上の加熱で死滅するため、調理温度の管理が重要です。

トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は、哺乳類や鳥類など広い宿主をもつ原虫で、人への感染経路の多くは**食肉中のシスト(感染性嚢子)**です。
国内外での疫学研究からも、クマ肉・シカ肉・イノシシ肉などの加熱不十分なジビエを介した感染例が報告されています。

2022年、Marín-García PJ らは食品媒介トキソプラズマ感染に関する包括的レビューを発表しました(Foods, Toxoplasma gondii in Foods: Prevalence, Control, and Safety. 2022; 11(16):2542.)。
この論文では、肉類だけでなく乳製品・野菜・海産物など、多様な食品でトキソプラズマ汚染が確認されていることが報告されています。
また、現在の食品業界にはトキソプラズマ検出の国際標準法(ISOなど)がまだ存在せず、検査体制や加熱管理の徹底が重要であると指摘しています。

この報告は、「加熱・凍結・衛生的調理」が最も確実な感染防止策であることを裏づけており、
「家庭調理でも中心までしっかり火を通すこと」がもっとも実効性の高い予防であると結論づけています。

参考医療コラムはこちら
ジンギスカンで腹痛・下痢になる原因ベスト3|加熱不足?寄生虫?原因を正しく理解しよう【豊島区・池袋】

池袋・豊島区で腹痛・下血が続く方へ

ジビエやクマ肉を食べたあとに不調がある場合、早めの検査が安心です。
「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」では、患者さんに寄り添いながら、
痛みを抑えたAI搭載内視鏡検査で原因を丁寧に調べます。

当院の特長:

  • AI支援内視鏡で見落としを低減
  • 鎮静+CO₂送気で“痛みの少ない”検査
  • 女性専用トイレ・更衣室を完備
  • 女性医師(火曜担当)による診察対応
  • JR大塚駅南口徒歩1分。池袋・豊島区からもアクセス便利です。
大腸内視鏡検査を行う院長の写真|東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚

Q&A:クマ肉を食べたあとに心配なとき

Q1. クマ肉を食べてからどれくらいで症状が出ますか?

トリヒナは1〜6週間、E型肝炎は2〜8週間で症状が出ることがあります。
発熱や腹痛が出たら、期間に関わらず受診を。

Q2. しっかり火を通せば、安全に食べられますか?

はい。中心までしっかり加熱すれば、ほとんどの感染リスクを防ぐことができます。
ただし、「焼き色」だけでは中まで火が通ったか分からないこともあります。
見た目ではなく、中心温度67℃以上を目安にしましょう。

また、冷凍しても生き残る寄生虫(トリヒナT9など)もいるため、
冷凍保存=安全とは限りません。
「中心まで火を通す」ことが最も確実で安全な方法です。

👉 厚生労働省や食品安全委員会も、
**「野生のお肉は中心までしっかり火を通して」**と呼びかけています。
家庭でも、厚みのあるお肉は弱火でじっくり加熱するのがおすすめです。

Q3. 便に血が混じったり、黒っぽい便が出たらどうすればいいですか?

血の混じった便や黒い便が続くときは、消化管のどこかで出血している可能性があります。
慌てる必要はありませんが、自己判断せず早めの受診をおすすめします。
**黒っぽい便(タール状便)**は、胃や十二指腸など上の方からの出血のことが多く、
鮮やかな赤い便は、大腸や肛門からの出血であることが多いです。
いずれの場合も、大腸内視鏡検査で原因を確認することで、
炎症やポリープ、潰瘍などを正確に診断できます。
当院では、痛みに配慮したAI搭載内視鏡検査を行っており、
不安な方にも安心して受けていただけます。

Q4. 一緒にクマ肉を食べた家族や友人も、受診した方がいいですか?

はい。同じ料理を食べた方には、症状がなくても感染の可能性があります。
旋毛虫(トリヒナ)やE型肝炎ウイルスは、同じ肉から複数人が感染するケースが実際に報告されています。
特に、
妊婦さん
・高齢の方
・肝臓や免疫の病気がある方
は重症化しやすいため、症状がなくても早めに血液検査を受けることをおすすめします。

まとめ

野生肉の不十分加熱による腹痛・下痢・下血は、旋毛虫・E型肝炎・トキソプラズマなどの感染を疑います。

中心までの加熱(目安67℃)が最も重要です。冷凍処理だけでは不十分な場合がありますので注意が必要です。

池袋・豊島区エリアで原因不明の下血・腹痛がある場合は、痛みに配慮したAI搭載内視鏡検査で丁寧に評価いたします。

当院は常に患者さんに寄り添い、安心できる医療を提供することを大切にしています。
気になる症状があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

大腸内視鏡検査結果の説明をする院長の写真|東京都豊島区大塚のおなかとおしりのクリニック 東京大塚

監修:東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士
院長プロフィール

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