2025年10月29日

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を控えている方にとって、前日の食事選びは検査の成功を左右する上で重要なポイントです。「何を食べていいのか分からない」「コンビニで買える食品はある?」「検査食は必要?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、消化器内視鏡専門医の監修のもと、大腸内視鏡検査前日の食事について徹底解説します。低残渣食の基本、時間帯別のメニュー例、コンビニで買える食品リスト、避けるべき食材まで、検査を安全かつスムーズに受けるための実践的な情報をお届けします。
当院では年間1,500件以上の大腸内視鏡検査を実施しており、患者様からいただく食事に関する質問をもとに、この完全ガイドを作成しました。
大腸内視鏡検査前の「低残渣食」とは?
大腸内視鏡検査を成功させるためには、前日の食事で「低残渣食(ていざんさしょく)」を摂ることが不可欠です。しかし、多くの患者様から「低残渣食って何?」「普通の食事と何が違うの?」というご質問をいただきます。ここでは、低残渣食の定義から、なぜ必要なのか、どのような食品が適しているのかまで、基礎知識を詳しく解説していきます。
低残渣食がなぜ必要か
大腸内視鏡検査では、腸の粘膜の状態を詳しく観察し、小さな大腸ポリープや病変を見逃さないことが重要です。そのため、検査前には大腸内をできるだけきれいな状態にする必要があります。この「腸内をきれいにする」ために重要な役割を果たすのが「低残渣食」です。
低残渣食(ていざんさしょく)とは、食物繊維や脂肪が少なく、消化吸収されやすい食品で構成された食事のことです。「残渣(ざんさ)」とは、消化されずに腸内に残る食べ物のかすを指します。
検査前日に低残渣食を摂ることで、以下のメリットがあります:
- 腸壁に食べ物のかすが付着せず、明瞭な観察が可能になる
- 下剤の効果が十分に発揮され、前処置がスムーズに進む
- 検査の延期や再検査のリスクが減少する
- 検査中の不快感が軽減される
- 小さなポリープや早期がんの発見率が向上する

食物繊維と脂肪を避けるべき理由
食物繊維について:
食物繊維は通常、腸の健康に良いとされていますが、大腸内視鏡検査の前日には避けなければなりません。食物繊維は消化されにくく、そのままの形で大腸内に残ってしまうため、以下のような問題を引き起こします:
- 不溶性食物繊維(野菜の繊維、海藻、きのこなど)は消化酵素では分解されず、大腸まで届いて残渣として残りやすい
- 下剤を飲んでも完全に排出されない場合がある
- 検査時の視野を妨げ、病変の見逃しにつながる
ごぼう、れんこん、たけのこ、海藻類、きのこ類などは、検査の2〜3日前から控えることが推奨されます。
脂肪について:
脂質は最も胃内滞留時間が長く、消化に時間がかかる栄養素です。そのため、検査前日に脂肪分の多い食事を摂ると、以下のような問題が生じます:
- 胃や腸内に長時間留まり、消化に時間がかかる
- 検査当日までに完全に消化されない可能性がある
- 消化されなかった脂肪が大腸内に残り、検査時の視野を妨げる
- 検査当日に残便の原因となる
揚げ物、脂身の多い肉、バター、生クリームなどの高脂肪食品は避けましょう。
「前日に食べてOK・NGな食品一覧表」
大腸内視鏡検査前日の食事選びで最も重要なのは、「何を食べていいのか、何を避けるべきか」を明確に理解することです。ここでは、実際の診療現場で患者様からよくいただく質問をもとに、食品カテゴリー別に「食べてOKな食品」と「NGな食品」を分かりやすく一覧表にまとめました。迷ったときはこの表を参考にしてください。
🍽️ 大腸内視鏡検査前日の低残渣食 食品一覧表
| 分類 | 食品例 |
|---|---|
| 穀物類 | 白米(おかゆ)、うどん、食パン |
| タンパク質 | 白身魚、鶏ささみ、卵、豆腐 |
| 野菜 | 大根、かぶ(皮をむいて)、じゃがいも(少量) |
| その他 | ヨーグルト、プリン、ゼリー(果肉なし)、スポーツドリンク |
| 分類 | 食品例 |
|---|---|
| 食物繊維が多い食品 | 玄米、全粒粉パン、海藻類、きのこ類、ごぼうなどの根菜類 |
| 脂肪の多い食品 | 揚げ物、脂身の多い肉、バター、生クリーム |
| 種や皮のある食品 | トマト、きゅうり、ぶどう、キウイフルーツ |
| 刺激物 | 辛いもの、アルコール、炭酸飲料 |
食べてもOKな食品の詳細
低残渣食として適している食品は、消化吸収されやすく、腸内に食べたものが残りにくいという特徴があります。ここでは、カテゴリー別により詳しく解説します。
✅ 食べてもOKな食品の詳細
白米、おかゆ、うどん、食パンなど、精製された白い炭水化物が基本です。これらは食物繊維が少なく、消化されやすいため検査前日に適しています。
- 白米・おかゆ: 最もおすすめの主食。特におかゆは水分が多く消化が早い
- うどん: 柔らかく煮込んだものを選ぶ。具材は入れない
- 食パン: 全粒粉ではない白いパン。バターやジャムは避ける
脂肪の少ないタンパク質は、実は消化が早く、検査前日でも安心して食べられます。
- 白身魚: 鯛、ヒラメ、カレイなど淡白な魚。焼く・蒸す・煮るで調理
- 鶏ささみ・胸肉: 皮を取り除いて調理。蒸し鶏がおすすめ
- 卵: 半熟卵、卵焼き、茶碗蒸しなど。生卵も可
- 豆腐: 絹ごし豆腐、木綿豆腐ともにOK。冷奴や湯豆腐で
野菜は基本的に食物繊維が多いため制限されますが、以下のものは皮をむいて柔らかく調理すればOKです。
- 大根: 皮をむいて柔らかく煮る
- かぶ: 皮をむいて煮物に
- じゃがいも: 少量であれば可。マッシュポテトなど
- ヨーグルト: プレーンタイプ。果肉入りは避ける
- プリン: 市販のなめらかなプリン
- ゼリー: 果肉なしの透明なゼリー
- スポーツドリンク: ポカリスエット、アクエリアスなど
❌ 絶対に避けるべきNG食品
検査の精度を下げる可能性のある食品は、少量でも避ける必要があります。
- 玄米・雑穀米: 白米に比べて食物繊維が多い
- 全粒粉パン・胚芽パン: 精製されていない穀物
- 海藻類: わかめ、ひじき、昆布、海苔など全て
- きのこ類: しいたけ、えのき、しめじなど全種類
- 根菜類: ごぼう、れんこん、たけのこ
- 揚げ物: 天ぷら、唐揚げ、フライなど
- 脂身の多い肉: 豚バラ、牛カルビ、鶏皮
- 加工肉: ソーセージ、ベーコン、ハム
- バター・生クリーム: 洋菓子、クリーム系料理
- トマト: 種が残りやすい
- きゅうり: 種と皮が消化されにくい
- ぶどう: 皮と種
- キウイフルーツ: 種が多い
- いちご: 表面の種
キウイフルーツの種がよく腸内に残っているのを見かけるので注意が必要です。小さな種でも検査の妨げになることがあるため、検査の2〜3日前から控えることをおすすめします。
- 辛いもの: 唐辛子、わさび、カレー
- アルコール: ビール、ワイン、日本酒など全て
- 炭酸飲料: コーラ、サイダーなど
- カフェイン: 濃いコーヒー、紅茶(薄いものは可)
- 乳製品: 牛乳、チーズ(ヨーグルトは除く)
【時間帯別】検査前日の食事スケジュール
「何を食べるか」も大切ですが、「いつ食べるか」も検査の成功に大きく影響します。ここでは、検査前日の朝食・昼食・夕食それぞれの理想的なタイミングとメニュー例をご紹介します。このスケジュールを参考にすることで、検査当日に腸内をきれいな状態で迎えることができます。
検査前日の朝食は、比較的自由度が高い時間帯です。ただし、消化に時間がかかるものは避けましょう。
- 朝は時間に余裕があるため、しっかり噛んで食べる
- 水分も十分に摂る(お茶、白湯など)
- 量は通常の7〜8割程度に抑える
昼食から徐々に食事量を減らしていきます。消化に良いものを中心に、軽めの食事を心がけましょう。
- 具材の入ったうどんは避ける
- 油を使わない調理法を選ぶ
- 量は通常の6〜7割程度
検査前日で最も重要なのが夕食のタイミングです。遅くとも19時までには食べ終えることが推奨されます。
- 量は通常の半分程度(腹5〜6分目)
- できるだけ消化の良いものを選ぶ
- よく噛んでゆっくり食べる
- 19時以降は固形物を摂らない
飲んでOKなもの
- 水
- 麦茶、ほうじ茶
- スポーツドリンク
- 透明なりんごジュース
飲んではいけないもの
- 牛乳、乳飲料
- 果肉入りジュース
- アルコール
- 濃いコーヒー、紅茶
- 水分は十分に摂る(脱水予防)
- 早めに就寝する(睡眠不足は腸の動きを悪くする)
- 医療機関から処方された下剤がある場合は、指示通りに服用
コンビニで買える低残渣食リスト【2025年版】
「仕事が忙しくて料理する時間がない」「一人暮らしで自炊が難しい」という方も多いのではないでしょうか。実は、コンビニエンスストアでも低残渣食に適した食品があります。ここでは、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの主要3社で購入できる、検査前日におすすめの食品をご紹介します。
- 原材料表示を必ず確認する
- シンプルな食材のものを選ぶ
- 加工度が低いものを優先
- 迷ったらサラダチキンと白米が安全
- 複数の具材が入っているものは避ける
🎯 検査食『エニマクリンeコロン』とは
「食事選びが難しい」「間違えて食物繊維を摂ってしまいそう」という不安を抱える方におすすめなのが、大腸内視鏡検査専用の検査食です。当院では「エニマクリンeコロン」をおすすめしています。ここでは、検査食のメリットや使い方、実際の患者様からの評価についてご紹介します。
エニマクリンeコロンとは
エニマクリンeコロンは、大腸内視鏡検査のために開発された専用の検査食です。朝・昼・夕の3食分がセットになっており、電子レンジで温めるだけで食べることができます。
(水溶性食物繊維配合)
成分で構成
効果を高める
考慮した設計

前日の水分補給で注意すべきこと
大腸内視鏡検査前日は、固形物の制限だけでなく、水分補給も重要なポイントです。適切な水分摂取は、腸管洗浄剤の効果を高め、脱水を防ぐために欠かせません。ここでは、飲んでOKな飲み物、避けるべき飲み物、そして水分補給のタイミングについて詳しく解説します。
📊 1日の目安量
- 2リットル以上を目標
- こまめに少しずつ飲む
- 特に夕食後から就寝前までしっかり補給
以下の飲み物は、検査の妨げになる可能性があるため避けてください。
- コップ1〜2杯(200〜400ml)
- 白湯や麦茶がおすすめ
- 1時間ごとにコップ1杯(200ml)
- こまめに補給
- 500ml以上を目標
- 最も重要な時間帯
- 19時以降も水分はOK
- コップ1杯(200ml)
- 脱水予防
検査2日前(前々日)の食事について
前々日は通常通りのお食事で問題ありませんが、できるだけ消化の良いメニューを選んでいただくことで、翌日(前日)の食事制限が楽になり、検査における腸内の準備もよりスムーズに進みます。
前々日にOKな食品
穀物類
- 白米、パン、うどん、パスタ
タンパク質
- 白身魚、鶏むね肉(脂身の少ない部位)、卵料理、豆腐
乳製品
- ヨーグルト(プレーンタイプ)
果物
- 完熟バナナ(1本程度)、りんご(すりおろし)

📍アクセス
おなかとおしりのクリニック 東京大塚
東京都豊島区南大塚3-34-7 大塚carna2階
JR大塚駅南口より徒歩1分/池袋・巣鴨・駒込からも5分圏内とアクセス良好

大腸内視鏡検査前のよくある質問(FAQ)
避けるもの:辛い物、アルコール、脂っこい食事、硬い食べ物
期間:通常1週間程度、医師の指示に従ってください
まとめ|検査をスムーズに受けるために
前日の食事を少し工夫するだけで、検査の精度と快適さは大きく変わります。
- 消化のよい白い食材を選ぶ
- 食物繊維や脂っこい料理は避ける
- 水分はしっかり摂る
- 大腸内視鏡検査専用食「エニマクリンeコロン」を活用する
当院では、AI技術を活用した痛みを抑えた大腸内視鏡検査を行っており、患者様に安心して検査を受けていただける環境を整えています。初めての方もどうぞお気軽にご相談ください。

監修:東京都豊島区おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医・指導医
日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医・指導医・評議員
日本外科学会認定 外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定 消化器外科専門医・指導医
日本がん治療認定医機構認定 がん治療認定医
日本消化器外科学会認定 消化器がん外科治療認定医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士 など
院長プロフィール

