
咽頭がん
咽頭がん
皆様は「咽頭がん」という病気をご存じでしょうか。
名前を耳にした事はあっても、具体的にどのような病気かよくわからない、という方も多いかもしれません。
今回は、「咽頭がん」とはどんな病気なのか、どんな症状が現れるのか、そして予防や早期発見のためには何が重要なのかについて、分かりやすく丁寧にお話ししていきます。
咽頭がんは、咽頭と呼ばれるのどの部分に発生する悪性の腫瘍です。咽頭は、鼻の奥から食道や喉頭へと続く部分で、空気や食べ物の通り道として重要な役割を果たしています。
咽頭がんはその発生する部位によって、鼻咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんと分かれていますが、特に近年、中咽頭がんや下咽頭がんの患者様が増加傾向にあります。
咽頭がんの主な原因として挙げられるのが、喫煙や過度の飲酒、そしてHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染などです。特に喫煙や飲酒は、咽頭の粘膜に慢性的な刺激を与え、がん化のリスクを高める事が分かっています。
また、近年注目されているのがHPV感染で、これは性行為を通じて感染する事があります。HPV感染に起因する咽頭がんの場合、比較的若い世代にも増えてきているのが特徴です。
ここで咽頭がんの原因をもう少し詳しく見ていきましょう。
喫煙はタバコに含まれる数千種類の化学物質の中に発がん性物質があり、これが咽頭の粘膜を傷つけ、がん化を促します。また、飲酒に関しても、アルコールが分解される過程で発生するアセトアルデヒドという物質が粘膜を刺激し、がんのリスクを高めるとされています。飲酒と喫煙が重なると、さらにそのリスクは増大します。
さらに、ストレスや疲労がたまり免疫力が低下すると、咽頭の粘膜が弱まり、感染症やがん化しやすい環境となる可能性も指摘されています。日常生活のストレスを上手に発散し、十分な休息や睡眠をとる事も大切です。
「咽頭がん」の症状にはどのようなものがあるでしょうか。
咽頭がんは初期のうちはほとんど症状が出ない事が多く、症状が現れた時には進行している場合も少なくありません。
ただし、注意深く観察すれば早期に気づく事も可能です。たとえば、のどの違和感や異物感、飲み込みにくさ、声のかすれなどが初期症状として現れやすいとされています。
また、首のリンパ節の腫れやしこりが出る事もあります。これらの症状は風邪や疲れなどでも見られる事がありますが、症状が長く続く場合や、徐々に悪化していく場合は注意が必要です。
さらに、進行すると食べ物や飲み物が飲み込みにくくなり、痛みを伴う場合があります。体重が急に減少したり、血の混じった痰が出る事もあります。耳の痛みや頭痛、さらには鼻血なども見られる場合があり、これらの症状が継続的に現れるようであればすぐに医療機関を受診する事が重要です。
咽頭がんは、がんの中でも比較的治療が難しい種類に分類されます。その主な理由は、初期の症状が軽微であり、見逃されがちであるため、診断された時点ですでに進行している場合が多い事にあります。だからこそ、早期発見が非常に重要である事を、まず強くお伝えしたいと思います。
咽頭がんの治療には大きく分けて手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)の3つがあります。早期発見が実現すれば、治療の選択肢が増え、身体にかかる負担も大幅に軽減できる可能性があります。
まず、咽頭がんが早期に発見された場合、腫瘍が小さく限局しているため、内視鏡を使った低侵襲な手術での治療が可能になります。従来の開腹・開口手術に比べ、術後の回復も早く、痛みも少ないため患者様の生活の質(QOL)も高く保つ事が可能です。また、早期の場合は放射線療法や化学療法を併用する必要も少なく、治療による副作用も軽くて済むケースがほとんどです。
一方、がんが進行した段階で見つかった場合、治療法の選択が限られます。腫瘍が周辺の組織に広がっている場合、手術でがんを取り切る事が困難になる事もあります。そのような場合は、広範囲の切除が必要になる事があり、声帯や嚥下機能の一部を失うなど生活に大きな影響が出る事もあります。さらに、術後に放射線療法や化学療法を長期間行う必要性が高まり、治療に伴う身体的・精神的な負担も大きくなります。
また、咽頭がんの特徴として、がん細胞がリンパ節へと転移しやすいという事も挙げられます。早期の段階ではまだ転移していない場合が多いため、がんが広がる前に見つける事がとても重要になるのです。リンパ節に転移した場合、治療の範囲や難易度がさらに上がり、長期的な治療が必要となるケースが増えます。
咽頭がんの治療においてもう一つ重要な点は、治療後のフォローアップです。
がん治療後も再発リスクがあるため、定期的に内視鏡検査や画像検査を行い、経過をしっかりと観察していく必要があります。特に再発の場合は症状が出にくいため、自覚症状がないまま再発が進む事も少なくありません。そのため、医療機関での定期的な検診は非常に重要です。
咽頭がんの予防のためには、まず生活習慣を見直す事が非常に重要です。
たばこを吸っている方は禁煙を、飲酒量が多い方は適正な範囲に抑えるように努めましょう。また、バランスの良い食生活や適度な運動もがん予防に役立つ事が明らかになっています。野菜や果物を積極的に摂る事で、抗酸化作用があるビタミン類を取り入れ、がんのリスクを下げる事ができます。
また、口腔内や喉の衛生状態も咽頭がん予防に重要です。定期的な歯科検診を受け、口の中の健康を維持する事が、咽頭の粘膜環境を整える助けになります。さらに、HPV感染を予防するためには、HPVワクチン接種を検討する事も一つの方法です。そして何より、定期的な健康診断を受ける事が早期発見につながります。
当院「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」では、咽頭がんを早期発見するための内視鏡検査を積極的に行っています。内視鏡検査では咽頭の細かな病変までしっかり確認する事が可能です。当院では経験豊富な専門医が検査を担当しますので、患者様には安心して検査を受けていただけます。症状がなくても、定期的に内視鏡検査を受ける事で、早期発見、ひいては早期治療に繋がります。
また、検査に対する不安がある方も少なくありません。当院ではそのような不安を軽減するため、検査前にしっかりとしたカウンセリングを行い、患者様の不安や疑問を解消したうえで検査を行っています。また、内視鏡も最新の機器を導入し、なるべく苦痛を感じさせないように工夫していますので、安心してご相談ください。
咽頭がんは決して珍しい病気ではありません。早期に見つける事さえできれば、治療の可能性は大幅に高まります。ご自身の健康を守るために、早めの検査、定期的なフォローアップをぜひ心がけていただきたいと思います。
気になる症状があれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。皆様の健康を守るお手伝いをさせていただきたいと願っております。
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