以前の大腸カメラでつらい思いをした方へ
以前の大腸カメラでつらい思いをした方へ

「大腸カメラは痛い」と聞いて検査をためらっていませんか。あるいは、以前の検査で強い痛みを経験し、「もう二度と受けたくない」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、大腸内視鏡検査で痛みを感じやすい方には、いくつかの共通した特徴があることが国内外の臨床研究で報告されています1)-3)。ご自身がどのタイプに当てはまるかを知り、適切な対策をとることで、検査の負担は大きく減らせるとされています。
本ページでは、大腸カメラが痛い人の特徴、痛みが起こる仕組み、そして痛み・怖さを減らすための当院の取り組みについて、消化器内視鏡専門医が解説します。
先に結論
大腸カメラの痛みには大きな個人差があります。痛みの主な原因は「腸が引き伸ばされること(ループ形成)」と「送気によるお腹の張り」であり、体型・手術歴・腸の形状によって痛みの出やすさが変わるとされています。痛みが出やすい特徴に当てはまる方でも、挿入技術・CO2送気・鎮静剤を組み合わせることで負担は大きく軽減できるとされています。
以下に当てはまる方は、大腸カメラで痛みを感じやすい傾向があると報告されています1)-3)。ただし、あくまで統計上の傾向です。当てはまる方でも問題なく検査を終えられることは多く、逆に当てはまらない方でも痛みを感じる場合があります。
痛みを感じやすいとされる方のチェックリスト
女性は男性に比べて骨盤腔が狭く、S状結腸の屈曲が強い傾向があるとされています。スコープが屈曲部を通過する際に腸が引き伸ばされやすく、痛みにつながりやすいと考えられています。また、子宮や卵巣が大腸に近接しているため、婦人科疾患やその手術の影響を受けやすいことも一因とされています。
腹腔内のスペースが小さく、腸が固定されにくいため、スコープを進める際に腸がたわんで「ループ」を形成しやすいとされています。ループができると腸間膜が引っ張られ、これが痛みの主な原因になると考えられています。
開腹手術のあとには、腸と周囲の組織が癒着していることがあります。癒着があると腸が動きにくく、スコープの通過時に固定された部分が引き伸ばされて痛みが出やすいとされています。子宮筋腫・卵巣・虫垂炎・帝王切開などの手術歴のある方は、事前に必ずお知らせください。挿入方法や鎮静の計画に反映します。
慢性的な便秘の方は腸管が長く、屈曲が強い傾向があるとされています。スコープの走行距離が長くなり、通過に時間がかかることで、お腹の張りや痛みを感じやすくなる場合があります。
若い方は腹壁の緊張が強いことに加え、初めての検査への不安も重なって痛みを感じやすい傾向があると報告されています。不安や緊張は痛みの感じ方そのものを増幅させることが知られており、「怖い」という気持ち自体が痛みの一因になり得るとされています。
一度つらい経験をされると、次の検査では心理的にも身体的にも緊張が強くなり、さらに痛みを感じやすくなるという悪循環に入りやすいとされています。ただし、前回の痛みの原因(癒着・腸の形状・検査方法など)を把握して対策をとれば、次回は大きく印象が変わることも少なくありません。
大腸そのものには、切ったり触れたりする痛みを感じる神経はほとんどありません。検査中の痛みの多くは、次の2つの仕組みで起こるとされています。
① 腸が引き伸ばされる痛み(ループ形成)
スコープを押し進める際、たわみやすいS状結腸で腸がループ状に伸ばされると、腸を支える腸間膜が引っ張られて痛みが生じるとされています。痩せ型の方や癒着のある方で起こりやすい痛みです。
② 送気によるお腹の張り
腸の中を観察するために気体を入れて膨らませる必要があり、この膨満感が張りや痛みとして感じられることがあります。従来の空気送気では検査後もお腹の張りが残りやすいとされています。
つまり、痛みの多くは「腸の形状・状態」と「検査の技術・方法」の掛け合わせで決まります。だからこそ、痛みが出やすい特徴をお持ちの方ほど、検査方法と医療機関の選び方が重要になります。
前述の2つの原因(ループ形成と送気による張り)に対して、当院では鎮静剤だけに頼らず、挿入技術・機器・薬剤を組み合わせた対策を行っています。鎮静剤を使用しても、挿入技術が不十分であれば痛みが出ることがあるとされており、土台となるのは技術と検査方法です。痛みが出やすい特徴に当てはまる方ほど、こうした対策の有無が検査の負担を大きく左右します。

腸を伸ばしながら押し進めるのではなく、腸のひだをたぐり寄せて短縮し、スコープを直線的に保ちながら挿入する方法です。ループ形成による痛みを起こしにくい挿入法とされており、当院ではこの方法を基本としています。院長は消化器内視鏡専門医・指導医として、大学病院時代から多数の大腸内視鏡検査に携わってきました。
空気の代わりに、腸から吸収されやすい炭酸ガスを使用しています。CO2は空気に比べて速やかに体内に吸収されるため、検査中・検査後のお腹の張りが軽減されるとされています。
細径でしなやかにカーブに追従するOlympus社の最新内視鏡システム(EVIS X1)を使用し、屈曲の強い方の負担にも配慮しています。機器の詳細は大腸カメラ検査ページの「当院の特徴」をご覧ください。
ご希望や適応に応じて、鎮静薬と鎮痛薬を併用し、うとうとした状態で検査を受けていただけます。上記の「痛みを感じやすい特徴」に当てはまる方には、とくに鎮静剤の使用をおすすめする場合があります。薬剤の種類・費用・当日の運転制限などの詳細は、大腸カメラの鎮静剤(麻酔)の解説記事で詳しくご説明しています。
検査中に体の向きを変えたり、看護師がお腹を軽く押さえたりすることで、ループの形成を防ぎながら挿入を進めます。痛みが出た場合は無理に進めず、その都度対応を調整します。
「以前の大腸カメラが激痛で、途中で中止になった」という方も、あきらめる必要はないとされています。痛みの原因(癒着・腸の長さ・検査方法)を踏まえて計画を立て直すことで、検査を完遂できるケースは多くあります。
当院では、事前の診察で前回の検査の状況(どの時点で痛かったか、鎮静剤の有無、手術歴など)を詳しくお伺いし、鎮静の方法・スコープの選択・挿入計画を個別に検討します。前回の検査結果や紹介状をお持ちの場合は、ぜひご持参ください。
大腸がんの早期発見のために。過去のつらい経験を理由に検査を避け続けると、大腸ポリープや大腸がんの発見が遅れるおそれがあります。便潜血陽性を指摘された方、血便のある方、ご家族に大腸がんの方がいる方は、つらかった経験があっても一度ご相談ください。
痛みだけでなく、「恥ずかしい」「何をされるのかわからなくて怖い」という不安も、検査をためらう大きな理由とされています。当院では次のような配慮を行っています。

個人差があります。痛みの多くは腸が引き伸ばされること(ループ形成)と送気による張りが原因とされており、挿入技術・CO2送気・鎮静剤の使用によって負担を軽減できるとされています。無理なく受けられる方法を一緒に検討しますので、ご不安な方はご相談ください。
女性、痩せ型・小柄な方、お腹や骨盤の手術歴のある方(癒着)、便秘がちで腸が長い方、若く緊張の強い方、過去の検査でつらい経験のある方は、痛みを感じやすい傾向があると報告されています。当てはまる方には鎮静剤の使用などの対策をご提案します。
多くの場合、受けられるとされています。前回痛みが出た原因(癒着・腸の形状・検査方法など)を事前の診察で確認し、鎮静の方法や挿入計画を個別に立て直すことで、検査を完遂できるケースは少なくありません。前回の検査結果や紹介状があればご持参ください。
鎮静剤で不安や痛みは大きく和らぐとされていますが、完全にゼロになるとは限りません。癒着が強い方などでは一時的に痛みを感じることがあります。鎮静剤の種類・費用・当日の運転制限については鎮静剤の解説記事で詳しくご説明しています。
送気による張りが数時間残ることがありますが、当院ではCO2送気を用いることで軽減に努めています。検査後の腹痛が長く続く場合の対応は大腸カメラ後の腹痛についての記事をご覧ください。
可能です。まずは外来で、検査の流れや不安な点についてご相談いただけます。検査を受けるかどうかは、ご説明を聞いたうえでお決めいただいて構いません。
参考文献:
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