
アニサキス(生魚を食べた後に急な腹痛)
アニサキス(生魚を食べた後に急な腹痛)
こんにちは。
突然ですが、お刺身やお寿司を食べた直後、急にお腹が痛くなった事はありませんか?
「お腹の中が刺されるように痛い」「夜中に激痛で目が覚めた」…そんな症状がある場合、アニサキスという寄生虫が原因の可能性があります。最近ではスーパーや飲食店でも「アニサキス注意」
といった注意書きを見かける事が増えてきました。それだけ身近になってきたという事ですね。
今回は、アニサキスが原因と思われる腹痛が起きたときの自宅での対処法や、どのタイミングで内視鏡検査(胃カメラ)を受けるべきかについて、患者様向けにわかりやすくお話ししたいと思います。
アニサキスとは、魚介類に寄生する線虫の一種で、とくにサバ、アジ、イカ、サンマ、サーモンなどによく見られます。これらの魚を生や半生で食べた後に、胃や腸の壁に潜り込もうとする事で激しい腹痛を引き起こす事があります。
この痛みは、「アニサキス症」と呼ばれます。感染から数時間〜十数時間後に症状が現れ、多くの場合は胃や腸にいるアニサキスが暴れている間に痛みがピークを迎えます。
アニサキスによる腹痛は、いわゆる「食あたり」や「ウイルス性胃腸炎」とは性質が異なり、鋭く強い痛みが特徴です。
生魚を食べてから1時間以内に発症するケースもあれば、6〜12時間後に痛みが出るケースもあります。早ければ食後30分〜1時間で「みぞおち」にズキッとした痛みを感じはじめる方もいます。
この痛みは「胃アニサキス症」と呼ばれ、アニサキスが胃壁に食い込もうとする事で起こる局所炎症反応が主な原因です。
アニサキスが腸に達すると、「腸アニサキス症」として下腹部の痛み、張り感、腸閉塞に似た症状に変化する事もあります。
また、胃の痛みが軽くなったあとに、腸のほうへ移動して再び痛みが出るというパターンもありますので、「一度おさまったから大丈夫」とは言い切れません。
「生魚を食べた直後」「夜間に痛みが急に出た」「胃がキリキリ痛む」などのキーワードに当てはまる場合は、アニサキス症を強く疑ってください。
「病院がすぐに開いていない」「救急に行くべきか迷う」といったとき、自宅で少しでも症状を和らげるためにできる事を整理しておきましょう。
アニサキス症が疑われる場合、最も確実なのが**内視鏡検査(胃カメラ)**です。
我慢すれば治るケースもありますが、症状が6時間以上続く場合や、食事が取れない・嘔吐が続く・全身症状があるなどのときは、できるだけ早く医療機関を受診してください。
「様子を見る」だけでは対応が遅れ、症状が悪化する事もあります。
「内視鏡を受けるのは不安…」と思われるかもしれませんが、確実な診断と即時治療ができる非常に有効な手段です。お腹の痛みがある方、生魚を食べて心配な方は、早めにご相談ください。
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