2025年5月02日

はじめに:便潜血や下痢が続く…それってIBS?
「おなかの調子がずっと悪いけれど、検査をしても異常なし。」「便潜血が陽性だったけれど、大腸カメラはしなくても大丈夫?」
そんなふうに言われて、不安を抱えたまま過ごしていませんか?
近年、「過敏性腸症候群(IBS)」と診断される方が増えています。IBSは、腸に器質的異常がなく、ストレスや自律神経の乱れなどによって腹痛や下痢・便秘が繰り返される病気です。若年層にも多くみられるため、「とりあえずIBS」という診断で済まされがちです。
しかし実は、「IBSと診断されたけれど、後に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてみたら炎症性腸疾患(IBD)だった」というケースも少なくありません。IBSの診断には「除外診断」として、大腸カメラが重要なのです。
IBS(過敏性腸症候群)とは?診断基準と症状
◆ IBSの定義(Rome IV 診断基準)
IBSは「慢性的に腹痛と便通異常を繰り返すが、明らかな器質的異常がみられない疾患」と定義されます。
現在、**Rome IV診断基準(2016年改訂)**が広く使用されており、以下が該当すればIBSが疑われます。
【Rome IV 基準】
● 直近3か月間のうち、月に平均1回以上の腹痛があり、
● 以下の2項目以上に該当する:
・排便によって痛みが改善する
・排便回数の変化を伴う
・便形状の変化を伴う
また、発症後6か月症状が持続しているときに疑われます。
◆ IBSのタイプ分類(サブタイプ)
IBSには主に以下の4つのサブタイプがあります:
タイプ | 特徴 |
---|---|
IBS-D(下痢型) | 繰り返す下痢。朝の通勤時や会議中などストレスで悪化しやすい。 |
IBS-C(便秘型) | コロコロ便や残便感が続く。 |
IBS-M(混合型) | 下痢と便秘が交互に起きる。 |
IBS-U(分類不能型) | 上記いずれにも明確に当てはまらない。 |
IBSとIBDの違いとは? ー 便潜血がポイントに
IBSとIBDは名前は似ていますが、まったく異なる病気です。
病名 | 特徴 |
---|---|
IBS(過敏性腸症候群) | 機能的な異常。腸に炎症や潰瘍などの器質的異常はなく、腹痛・下痢・便秘などが繰り返される。 |
IBD(炎症性腸疾患) | クローン病・潰瘍性大腸炎など、腸に慢性的な炎症を起こす難病。出血、粘液便、体重減少、貧血などを伴うことが多い。 |
IBSは命に関わることはまれですが、IBDは長期的な治療や、時に手術が必要になることもある疾患です。見逃しは命取りになりかねません。
ここでカギになるのは大腸カメラや便潜血検査です。
便潜血検査は、便に肉眼で見えないレベルの血液が混ざっているかをチェックするもので、IBSでは通常は陰性ですが、IBDや大腸ポリープ、大腸がんでは陽性になることがあります。
👉医療コラム【便潜血陽性】1度でも陽性なら大腸内視鏡検査を受けましょう
IBSと診断された人が大腸カメラを受けるべき理由
当院では、以下のような場合には大腸カメラの受診をおすすめしています:
・40歳以上でIBS様の症状がある
・便潜血検査で陽性が出た
・腹痛・下痢・便秘が数週間以上続いている
・夜間にも腹痛や下痢がある
・血便や粘液便がある
・体重減少や貧血がある
これらの症状がある場合、「過敏性腸症候群」ではなく、「炎症性腸疾患」や「大腸ポリープ」「大腸がん」が隠れている可能性があります。
IBSは診断が難しい病気ですが、それだけに「本当にIBSかどうか」を確認するための大腸内視鏡検査が重要です。
実際にあったケース紹介
40代女性、以前から過敏性腸症候群と診断され、市販薬で症状を抑えていました。ある日、便潜血検査で陽性となり、念のため当院で大腸カメラを実施したところ、潰瘍性大腸炎の直腸型でした。
症状だけではIBSと見分けがつきませんが、カメラでしっかり観察することで正しい診断に至り、治療方針も大きく変わりました。
当院の大腸カメラの特徴
東京都豊島区「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」では、AIによる病変抽出システムを搭載した最新内視鏡システムを導入し、炎症性腸疾患や大腸ポリープ、大腸がんの早期発見に努めています。
また、鎮静剤および鎮静剤を使い、痛みの少ない挿入技術(軸保持短縮法)により、眠っている間に終わるほど快適な検査を提供しています。
✅ 豊島区・大塚駅徒歩1分
✅ 女性医師の対応も可能(火曜日限定)
✅ 当日検査・土曜検査も相談可
✅ 便潜血陽性の二次検査(大腸内視鏡検査)にも対応

まとめ:過敏性腸症候群の診断にこそ、大腸カメラが必要
過敏性腸症候群は診断が難しく、除外診断によってしか確定できません。とくに、便潜血が陽性だった場合にはIBDや大腸がんの可能性もあるため、早めの大腸内視鏡検査が重要です。
「過敏性腸症候群って言われたけど、まだ検査してない…」
「便潜血が陽性だったけど忙しくてそのままに…」
そんな方は、ぜひ一度、当院での大腸カメラをご検討ください。
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監修:豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍