2025年7月10日

刺身やお寿司を食べたあと、突然おなかの激しい痛みや嘔吐に襲われたら――その原因は「アニサキス(Anisakis)」という寄生虫による食中毒かもしれません。
アニサキスは新鮮そうに見える魚介類にも潜んでおり、治療には胃内視鏡による虫体の確認と除去が唯一の確実な方法です。
豊島区・池袋エリアの「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」では、土曜でも当日対応可能な痛みの少ない胃内視鏡検査を行っており、胃痛・腹痛の原因をすぐに特定し、迅速に治療します。
「刺身を食べておなかが痛い」「夜中に胃がキリキリする」――そんなときは我慢せず、早めにご相談ください。
アニサキス食中毒症の発生件数
「アニサキス症」は春から夏にかけて特に注意が必要です。実際、厚生労働省の食中毒統計でも5〜7月は発生件数が増加する傾向にあります。寿司や刺身など魚介類の生食が増える季節だからこそ、新鮮さの確認や適切な加熱・冷凍処理など予防策を徹底し、つらい腹痛を防ぎましょう。

厚生労働省:アニサキスによる食中毒を予防しましょう
1.アニサキス症の原因と胃への影響
「お寿司や刺身などで生魚を食べた後、突然みぞおちに強烈な痛みが…」
そんな経験をお持ちの方もいるかもしれません。その痛みの原因として近年とても多いのが 食中毒「アニサキス症」 です。アニサキス症は、魚介類を刺身や寿司で生食することで寄生虫アニサキスが人の胃や腸壁に侵入し、激しい炎症を引き起こす食中毒です。日本は刺身・寿司文化が根強いため、近年も症例数が増加しており、厚生労働省の食中毒統計でも上位の原因となっています。この記事では「アニサキス 胃」という視点で、特に胃アニサキス症の症状、診断、治療法、予防策まで医師監修の立場で詳しく解説します。
生魚を安全に楽しむためにも、ぜひ最後までお読みください。
アニサキスとは?
アニサキス感染の症状や治療方法、当クリニックの優れた診療体制まで詳しくご紹介いたします。気になる患者様はこの記事を参考に不安を解消してください。アニサキスに関する問題解決の一歩を踏み出しましょう。
寄生虫の特徴
アニサキスは線虫(回虫の仲間)に分類される寄生虫です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。成虫は海洋哺乳類(クジラ、イルカなど)の胃に寄生し、卵を海中に産みます。幼虫はオキアミや魚類に移り、最終的に海洋哺乳類に食べられてライフサイクルを完結します。
人間は本来の宿主ではないため、体内で成長や繁殖はできません。しかし、人がアニサキス幼虫を含む生魚を食べると、胃や腸の粘膜に侵入し、強いアレルギー性炎症を引き起こします。
寄生する魚介類
アニサキスは多くの魚介類に寄生します。特にリスクが高いものは:

・サバ(しめさば含む)
・イカ
・アジ
・サンマ
・カツオ
・サケ
・タラ
・ホッケ
・キンメダイ
実際には「天然物の魚介類すべてに寄生の可能性がある」と考えるべきです。
冷凍処理をしていない魚を生食する際は、特に注意が必要です。
当院の「アニサキス症」をご参照ください。
刺身・寿司による細菌性食中毒とアニサキスとの違い
生魚を食べた後の腹痛や嘔吐は、アニサキスだけが原因ではありません。細菌による食中毒も非常に多く発生しており、アニサキス症とは症状の出方や治療法が異なります。ここでは、刺身や寿司による主な細菌性食中毒の特徴と、アニサキスとの見分け方を解説します。
腸炎ビブリオによる食中毒
腸炎ビブリオは海水中に生息する細菌で、夏場(6月〜9月)の魚介類に多く付着します。真水や低温に弱いため、適切な洗浄と冷蔵保存が予防のカギとなります。
主な症状
刺身やお寿司を食べた後、12〜24時間以内に以下の症状が現れます:
- 激しい腹痛と水様性下痢
- 発熱(38℃前後)
- 嘔吐、吐き気
アニサキスとの違い:腸炎ビブリオは発熱を伴うことが多く、下痢が主症状です。一方、アニサキスは発熱がほとんどなく、みぞおちの激しい痛みが特徴的です。
サルモネラ菌による食中毒
サルモネラ菌は魚の表面や内臓に付着していることがあり、特に常温で長時間放置された魚介類でリスクが高まります。加熱に弱いため、十分な加熱処理が有効です。
主な症状
食後12〜48時間で発症します:
- 38℃以上の高熱
- 激しい下痢(水様便、時に血便)
- 強い腹痛、嘔吐
- 頭痛、倦怠感
アニサキスとの違い:サルモネラは高熱と激しい下痢が特徴で、全身症状を伴います。アニサキスは胃痛が中心で、発熱や下痢はほとんどありません。
黄色ブドウ球菌による食中毒
黄色ブドウ球菌は調理者の手や調理器具から魚に付着します。常温で放置されると毒素を産生し、この毒素が食中毒を引き起こします。毒素は加熱しても分解されないため、予防が特に重要です。
主な症状
食後30分〜6時間という短時間で症状が出るのが特徴です:
- 激しい吐き気と嘔吐
- 腹痛
- 軽度の下痢
- 発熱はほとんどなし
アニサキスとの違い:黄色ブドウ球菌は発症が非常に早く、嘔吐が主症状です。アニサキスは数時間後に胃痛が出現し、痛みが長時間持続します。
細菌性食中毒の予防法
細菌性食中毒は適切な取り扱いで予防できます。以下のポイントを守り、安全に刺身やお寿司をお楽しみください。
- 迅速な冷蔵保存:購入後はすぐに冷蔵庫へ(10℃以下で保存)
- 調理器具の衛生管理:まな板、包丁は魚専用のものを使用し、使用後は熱湯消毒
- 手洗いの徹底:調理前後は必ず石鹸で手を洗う
- 早めの消費:刺身は当日中に食べる
- 常温放置の禁止:特に夏場は常温に長時間放置しない(2時間以内に食べる)
- 新鮮な魚の選択:目が澄んでいて、身に弾力があるものを選ぶ
寿司や刺身を食べた後のアニサキス症の症状と発症メカニズム
お寿司や刺身を食べた際に、アニサキス幼虫が人の消化管内に侵入します。
1.胃内での侵入
食後数時間以内に胃壁に潜り込みます。
2.腸への移行
胃を通過し、小腸や大腸壁に侵入することも。
3.アレルギー性反応
体が寄生虫を異物と認識し、激しい炎症を起こす。
アニサキスは人の体内で成虫にはなれず、1週間程度で死滅しますが、その間に強い症状を引き起こします。
胃アニサキス症の症状
「アニサキス 胃」で検索する方が多い理由は、胃アニサキス症特有の強烈な痛みがあるからです。
・寿司や刺身など生食から数時間後(典型例は2〜8時間以内)
・みぞおちをえぐるような激痛
・患者さんは「ナイフで刺されたよう」「脂汗が出る」と形容する
・吐き気、嘔吐を伴うことも
・夜間に痛みで救急外来を受診するケースも非常に多く、痛み止めが効きにくいのも特徴です。
腸アニサキス症の症状
・食後12時間〜数日後に発症
・下腹部痛、下痢
・腸閉塞のような症状(腸管内の浮腫、狭窄による)
・腸アニサキス症は内視鏡では発見・摘出が困難なため、診断が難しい場合もあります。CTなど画像診断で腸管
壁の肥厚所見が見られることもあります。
アニサキス症の診断
胃アニサキス症は比較的診断が容易です。
・内視鏡検査がゴールドスタンダード
⇒ 胃粘膜に潜り込むアニサキス幼虫を直接確認
⇒ 鉗子で摘出可能
内視鏡での摘出により症状は劇的に軽快します。

腸アニサキス症は内視鏡で届かない場合が多く:
既往歴(生魚摂取歴)
痛みの部位や発症タイミング
画像検査(CTなど)での腸壁肥厚
などを総合的に評価します。
アニサキス症の治療法
アニサキス感染が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。診断がついた際には、内視鏡を使ってアニサキスの幼虫を直接除去する治療が一般的に行われます。
内視鏡による除去が難しいケースでは、症状を和らげるための薬物療法が選択されます。具体的には、痛みを抑える薬や抗アレルギー薬などが処方されることがあります。
また、自然に症状が軽快する場合もありますが、その場合は改善までに1週間以上かかることもあります。
胃カメラ(胃内視鏡)による摘出
・胃アニサキス症の標準治療
・内視鏡で虫体を摘出すると即座に痛みが消えることが多いです
・緊急内視鏡が必要な場合も多いです
・当院でも鎮静剤を使用し、苦痛を抑えた内視鏡摘出(胃カメラによる)を行っています

保存的治療
・腸アニサキス症は摘出困難
・痛み止め(NSAIDsなど)投与
・腸閉塞がひどいときは、絶食・輸液管理
・アニサキスは人の体内で長期生存できず、1週間程度で死滅する。
・多くの場合、自然排出を待つ
アニサキス症や細菌性食中毒は、適切な治療で回復しますが、そもそも予防できればそれに越したことはありません。実は、食中毒のリスクは季節によって大きく異なります。次に、季節ごとの注意点を見ていきましょう。
季節別:刺身・寿司の食中毒リスクと対策
食中毒のリスクは季節によって大きく変動します。気温・湿度・旬の魚介類によって、注意すべき食中毒の種類が異なるため、時期に応じた対策が重要です。
春〜夏(5月〜9月)
細菌性食中毒が急増する時期
なぜこの時期は危険なのか
気温25℃以上、湿度70%以上になると細菌の増殖スピードが急激に上がります。特に6月〜8月は腸炎ビブリオによる食中毒が年間発生件数の約60%を占めます。
この時期だけの特別な注意点
- 買い物の順番:刺身は最後に購入し、保冷剤と一緒に持ち帰る
- 2時間ルール:常温で2時間以上経った刺身は食べない(細菌が急増)
- クーラーボックス活用:BBQや屋外イベントでは必須
- 外食時の判断:ランチタイムに刺身定食を頼む場合、仕込み時間を考慮
📊 夏場(7〜8月)の腸炎ビブリオ発生件数は、冬場の約10倍に増加します
秋〜冬(10月〜4月)
アニサキス症が増加する時期
なぜこの時期は危険なのか
サバ、サンマ、イカなど秋が旬の魚が多く流通し、生食の機会が増えます。また、気温が低いため「新鮮だから安全」という油断が生まれやすい時期でもあります。
この時期だけの特別な注意点
- 旬の魚ほど注意:脂がのった旬のサバやイワシはアニサキス寄生率が高い
- 釣った魚の処理:釣り後すぐに内臓を取り、氷で冷やす
- しめさばの誤解:酢でしめてもアニサキスは死なない(要冷凍処理)
- 年末年始の注意:お正月のお刺身盛り合わせは種類が多く、リスクも分散
📊 アニサキス症の発生は5月と10月にピークを迎えます(厚生労働省データ)
月別食中毒リスク早見表
| 月 | 主なリスク | 注意すべき魚介類 | リスクレベル |
|---|---|---|---|
| 1〜2月 | アニサキス | ブリ、タラ、ヒラメ | 中 |
| 3〜4月 | アニサキス | サワラ、初鰹 | 中 |
| 5〜6月 | アニサキス+細菌 | イカ、アジ | 高 |
| 7〜9月 | 細菌性食中毒 | 全ての魚介類 | 最高 |
| 10〜11月 | アニサキス | サバ、サンマ、イカ | 高 |
| 12月 | アニサキス | 寒ブリ、タラ | 中 |
季節ごとのリスクを理解したところで、具体的にどのような予防策を取れば良いのでしょうか。次のセクションでは、今日から実践できる予防法を詳しく解説します。
アニサキスによる寿司・刺身による食中毒を防ぐために
アニサキス症を予防するためには、魚の取り扱いや調理時(寿司、刺身)の工夫が大切です。購入する際はできるだけ新鮮な魚を選び、丸ごと1匹の場合はなるべく早く内臓を取り除きましょう。内臓部分は生で食べるのを避けることも重要です。また、目視でアニサキス幼虫を確認し、丁寧に取り除くようにしてください。
なお、酢や塩、醤油、わさびなどの一般的な調味料ではアニサキス幼虫を死滅させることはできません。安心して生魚を楽しむためにも、冷凍処理や加熱調理など確実な方法を取り入れましょう。
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト アニサキス症
おなかとおしりのクリニック 東京大塚の紹介
おなかとおしりのクリニック 東京大塚は、東京都豊島区に位置している消化器内科、肛門科、内視鏡専門のクリニックです。最新の医療機器を導入し、胃腸の不調を抱える患者様に適切かつ迅速な診療を提供しています。
JR山手線大塚駅、東京さくらトラム大塚駅前から徒歩1分
おなかとおしりのクリニック 東京大塚は、JR山手線大塚駅、東京さくらトラム大塚駅前から徒歩わずか1分の距離にあります。この抜群のアクセスの良さにより、仕事帰りや少しあいた時間帯にも立ち寄りやすく、たくさんの患者様に利用頂いております。
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女性の内視鏡検査に優しいおなかとおしりのクリニック 東京大塚の患者様サポート
おなかとおしりのクリニック 東京大塚では、消化器内視鏡専門医を取得した女性医師による胃カメラ検査、大腸カメラ検査、肛門診察を行っております(火曜日限定)。
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・院内には半個室の下剤服用スペースを設けており、検査前の準備も周囲を気にせず落ち着いて行えます。
こうした環境づくりを通じて、女性の患者様が不安なく内視鏡検査を受けられるよう、細やかなサポートを心がけています。
アニサキス症に対する当日診療検査(胃カメラ検査)のメリット
当日予約の胃カメラ検査(胃内視鏡検査)はアニサキス症のように、突発的な体調不良に対して迅速に対応できる点が大きな魅力です。
忙しい日常でも安心の当日診療
おなかとおしりのクリニック 東京大塚では、当日検査にも対応しており、急な体調不良や軽度の症状でもすぐに受診できます。これにより、お仕事やご家庭の予定を大きく変えることなく、安心して健康チェックを行っていただけます。
緊急時に役立つ当日対応
アニサキスによる胃の不調などは、症状が出たら早めの治療が大切です。当院では当日内視鏡検査にも対応しており、こうした緊急時にも安心してご相談いただける体制を整えています。
当日診療を受けるための手順
当院で当日診療を希望される場合は、まずお電話でご連絡ください。その際に受付時間や必要な持ち物をご確認いただくとスムーズです。ご来院時には保険証や身分証明書をお持ちください。

刺身・寿司の食中毒に関するよくある質問
・耐えられない激しい腹痛
・繰り返す嘔吐で水分が取れない
・血便・黒色便
・38.5℃以上の高熱
・意識がもうろうとする
当院では土曜も含め、当日の胃カメラ検査に対応しています。
・黄色ブドウ球菌:30分〜6時間
・アニサキス(胃):2〜8時間
・腸炎ビブリオ:12〜24時間
・サルモネラ:12〜48時間
・アニサキス(腸):12時間〜数日
一般的に、刺身を食べてから3日以内に症状がなければ 食中毒の可能性は低いです。
まとめ
アニサキス症は、生魚(寿司、刺身)を安全に楽しむ文化が根付く日本では身近な食中毒のひとつです。特に春から夏にかけては発生件数が増える傾向があり、正しい知識と予防策を知ることが大切です。
東京都豊島区「おなかとおしりのクリニック 東京大塚」では、突然の胃の痛みにも迅速に対応できる当日内視鏡検査を行っており、経験豊富な消化器内視鏡専門医が診断から治療までをサポートします。
急な症状でお困りの際も、安心してご相談ください。皆様が安心して魚介類を楽しめるよう、確実な診断と治療を通じて健康を守るお手伝いをいたします。
東京都豊島区(巣鴨、池袋、駒込、板橋、北区、王子、文京区対応)で内視鏡検査をご希望の際は、おなかとおしりのクリニック 東京大塚をご利用ください。

監修:東京都豊島区 おなかとおしりのクリニック 東京大塚
院長 端山 軍(MD, PhD Tamuro Hayama)
資格:日本消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会指導医・専門医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
元帝京大学医学部外科学講座准教授
医学博士