大腸がんについて

こんにちは。「おなかとおしりのクリニック東京大塚」です。
大腸がんは、日本人にとって非常に身近な病気となっています。早期発見が重要だという話を耳にする機会も多いかと思いますが、実際に「大腸カメラ（大腸内視鏡検査）を受けるタイミングはいつが良いのか？」「どんな症状があれば受診すべきなのか？」と迷われる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、大腸がんの早期発見の重要性や、検査を受けるべきタイミング、自覚症状などについてわかりやすく解説いたします。また、大腸ポリープや炎症性腸疾患、大腸憩室、大腸粘膜下腫瘍、感染性腸炎、過敏性腸症候群など、大腸がんとの関連が深い疾患についても触れていきます。

なぜ大腸がんの早期発見が重要なのか？

大腸がんは、初期の段階ではほとんど症状がない事が多く、知らず知らずのうちに進行してしまう事があります。しかし、早期の大腸がんは内視鏡による切除が可能であり、治癒率も非常に高いのです。

特に早期発見された大腸がんは、内視鏡的切除で完治する可能性があり、開腹手術や抗がん剤治療といった大がかりな治療を避けられるケースも多くあります。

これが、大腸がんの早期発見が何よりも重要である理由です。大腸がんの死亡率を下げるためには、無症状のうちに見つける、つまり「早期発見」がカギとなります。

大腸がんになりやすい人の特徴とは？

大腸がんの発症リスクを高める要因はいくつかあります。以下の項目に該当する方は、特に注意が必要です。

• 50歳以上の方（年齢とともにリスクは上昇）
• 大腸がんの家族歴（親・兄弟姉妹など近親者に大腸がんを患った方がいる）
• 大腸ポリープを指摘された事がある方（特に腺腫性ポリープ）
• 炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎、クローン病）を長期間患っている方
• 肥満傾向のある方
• 加工肉（ハム・ソーセージ・ベーコンなど）や赤身肉を多く摂取する食生活
• 食物繊維の摂取が少ない食習慣
• 運動不足や長時間の座位が多い生活スタイル
• 喫煙歴がある方
• アルコールを大量に摂取する方
• 糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を持っている方
• 夜勤などによる生活リズムの乱れ
• ストレスが多い環境に長期間さらされている方

これらの因子は、単独でもリスクを高めますが、複数が重なるとさらに危険性が高まります。
症状がなくても、こうした要因に該当する方は、予防的な意味でも定期的に大腸カメラの受診を検討する事が望まれます。

大腸がんの症状には「無自覚」と「自覚症状」があります

大腸がんは「沈黙のがん」とも呼ばれる事があり、早期段階ではほとんど無症状、つまり無自覚である事が特徴です。実際に、健康診断などの便潜血検査や内視鏡検査によって偶然発見されるケースが多くあります。

無自覚のケース

無症状の大腸がんは、特に直腸やS状結腸に小さな病変として発生する事が多く、日常生活に支障をきたす事がありません。このため、以下のような方は自覚症状がなくても積極的に検査を受ける事が推奨されます。

• 定期健診で便潜血陽性と判定された方
• 50歳以上の健康な成人
• 大腸がんの家族歴がある方
• ポリープを切除した事がある方

無症状の大腸がんであっても、内視鏡検査によって早期に発見されれば治療成績は非常に良好です。

自覚症状が現れる場合

がんが進行するにつれて、以下のような「自覚症状」が現れる事があります。

• 血便（鮮血、暗赤色）
• 便に粘液が混じる
• 排便習慣の変化（便秘と下痢の繰り返し）
• 急に便が細くなる（鉛筆状便）
• 残便感が続く
• 腹痛、腹部膨満感
• 体重減少（原因不明）
• 食欲不振
• 貧血（特に鉄欠乏性貧血）
• 疲労感、倦怠感
• お腹がゴロゴロ鳴る頻度が増える
• 排便時の痛み
• 肛門の違和感
• おならの回数や臭いが変化
• 嘔吐や吐き気
• 腹水（お腹に水がたまる）
• お腹を押すとしこりを感じる
• 肝臓に転移して黄疸が出る事も
• 腰や背中の鈍い痛み
• 微熱が続く

これらの症状はすべてが大腸がんに特有なわけではなく、感染性腸炎や過敏性腸症候群、大腸憩室症、炎症性腸疾患などでも見られる事があります。そのため、「いつもと違う」と感じる体の変化があった際は、軽視せずに内視鏡検査を受ける事が大切です。

検査が必要な疾患と大腸がんとの関連

大腸がんと関連がある、または鑑別診断が必要な疾患について理解する事は、早期発見にとって非常に重要です。以下に、大腸カメラ検査が推奨される主な疾患と、それぞれと大腸がんとの関連について詳しくご説明します。

大腸ポリープ

大腸ポリープの中でも「腺腫性ポリープ」は、放置すると大腸がんへと進行する可能性があります。大腸がんの多くはこの腺腫性ポリープから発生すると考えられており、定期的な検査とポリープの切除によって予防が可能です。

炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎、クローン病）

これらの疾患は、慢性的な腸の炎症を引き起こします。特に潰瘍性大腸炎は発症から8～10年を超えると大腸がんのリスクが高まり、年1回以上の内視鏡検査が推奨されます。クローン病も長期間の罹患で同様にリスクが上昇します。

大腸憩室症

大腸憩室自体は良性ですが、炎症を繰り返す憩室炎は診断上大腸がんとの鑑別が重要になります。出血や腹痛などの症状がある場合には、大腸カメラで正確な診断が必要です。

大腸粘膜下腫瘍

大腸の粘膜下に発生する腫瘍で、良性と悪性（がん）との判別が難しい場合があります。組織検査や内視鏡的観察により、大腸がんとの区別が求められます。

感染性腸炎

細菌やウイルスによる腸の炎症ですが、一部の感染性腸炎では出血や粘液便が見られ、大腸がんの症状と似ている事があります。症状が長引く場合には、念のため内視鏡検査が必要です。

過敏性腸症候群（IBS）

機能性疾患で大腸がんとの直接的な関係は薄いですが、腹痛や下痢、便秘などの症状が似ているため、がんを除外するために内視鏡検査が勧められる事があります。

これらの疾患に心当たりがある方は、症状が落ち着いていても定期的なフォローアップと大腸カメラによる精密検査が大切です。症状が重なる場合、単なる炎症や機能性疾患と判断する前に、大腸がんの可能性も念頭に置いて診断を行う必要があります。

大腸カメラを受けるタイミングとは？

大腸がんの早期発見のためには、以下のようなタイミングで大腸カメラを受けるのが望ましいとされています。

• 50歳を超えたら、一度は検査を受ける
• 家族に大腸がんの既往がある場合は、40代から検査を始める
• 上記のような症状が現れたら、すぐに検査を受ける
• ポリープの切除歴がある場合は、医師の指示に従って定期検査を受ける

定期的な検査が、大腸がんの早期発見、早期治療につながります。

「おなかとおしりのクリニック東京大塚」では、患者様の不安をできる限り軽減するよう、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸カメラを提供しています。検査前後の説明も丁寧に行い、安心して受けていただける体制を整えています。

大腸がん、早期発見、症状に関する正しい知識を持ち、ご自身の健康を守るためにも、気になる症状がある方、検査を受けるべきか迷っている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。